ある日の日常〜訓練と仕事を添えて
明けましておめでとうございます
気づけばブクマが500越え………しかも先日レビューまで来ました……
本当にいつも読んでくださってありがとうございます
第二特殊戦闘部隊の訓練所は部隊内での定期的な合同訓練や集会などの集まり以外では常時開放されて休日の戦乙女やハウンドの自主トレに使われている。
そんな訓練所の1スペースにて2つの白一色の戦乙女と黒一色のハウンドが特訓をしていた。
「ほらほらほらぁ!!もっと素早く動かないといけないよリクゥ!」
そう言いながら武器を振るうのは白一色の戦乙女は第二特殊戦闘部隊隊長の礼華 愛莉珠である。彼女は自身のメイン武器である2本のサーベルにそれぞれ雷電と冷気を纏わせて笑いながら切り掛かってくる。
「───ッわかっ、て……る!」
それを必死になって躱して反撃するのは愛莉珠のハウンドである大泉 理玖である。彼女の装備はバディの愛莉珠と同じ軍服であるが、装飾が多く全体的に豪華な愛莉珠のものとは違い、こちらは黒一色で肌の露出が顔のみで機能性重視もの。武器は艶消し加工がされた2丁の銃剣付き大型オートマチック式拳銃である。
1丁でも常人はおろか銃火器の扱いに慣れているものでも下手すると反動で手腕が折れる対物ライフルを超える威力を常時出せる化け物銃を理玖は両手に2丁持ち、フルオートで愛莉珠に撃ち込む。
弾切れになったマガジンを排出すると何故か空になる筈のその場所にはいつの間にかマガジンが装填されている。
これは理玖の『空想錬金』を応用した技であり、"オリジナル"のマガジンを自身の影の中に仕込んで弾切れになったら『空想錬金』でマガジンを創り出して空中で装填している。
もちろんこれは鍛錬した。
愛莉珠はその飛んでくる弾丸を流して弾いて両断し、好戦的な笑みで一気に距離を詰めていく。そしてそのまま遠慮無しに雷電と冷気を纏わせた双剣で頭上へと切り掛かる。
それを理玖は銃剣を交差させて受け止める。魔法で作られた雷電と冷気も『魔喰い』で相殺するが、それでも全てとは行かず少しばかり貰っていて唯一肌が出ている顔や軍服の裾には霜が付いている。
一時拮抗状態になった2人だが、理玖は徐々に近くなってくる双剣を力任せに横に逸らした後、当たるかもわからない蹴りを入れた。
案の定、愛莉珠には通用せず、横にずらされた双剣を手放して自身に向かってきた理玖の足を掴み、そのまま身体強化魔法で強化された腕力で理玖を振り回して叩きつけた。
背中を地面に強打されて肺の空気を強制的に全部吐き出された理玖はすぐに反応出来ず、条件反射で身体が硬直してしまった。そして肺に空気を取り込んで少しでも早く起き上がろうとしたその瞬間、愛莉珠に目の前に氷で作られたレイピアを突き付けられた。
「はいおしまい。動きは良くなってきてるけど、やっぱり抑え込まれると雑になっちゃうねリク」
「………………」
愛莉珠にそう宣言された理玖は身体の力を抜いて訓練所の地面に寝転がった。
愛莉珠自身と理玖単体での戦い方は非常に似通っている。違う点は愛莉珠は近距離と遠距離に対して理玖は近距離と中距離であるという点である。
***
訓練が終わった後、戦闘服ごとシャワー室で丸洗いした2人は昼食を取った後、愛莉珠の執務室へと向かい、午後の仕事である書類整理を行っていた。
もっとも、基本的に愛莉珠が嫌々と言いながらサインやらなんやらして理玖がその補佐とグズってサボりがちな愛莉珠の引き留めを行っているが。
愛莉珠はやりたく無いことははっきりと嫌だと言ってサボる。普通ならば許されないが、彼女の実力と統率力と人気の高さで相殺されている。
今まではキレた神崎か現在は自身のハウンドと共にボイド狩りに長期出張している副隊長が連れ戻して無理矢理やらせていたが、現在は理玖が夕飯か昼食を抜いたり何日か夜奈と神崎の家に泊まりに行くと言えば真面目に書類作業をしてくれる様になった。
「リクゥ〜〜………休んでい〜い?」
「まだ40分も経ってないぞ。休むならせめてその山を片付けてからだ」
「ええぇ〜〜〜〜…………」
だがしかし、仕事をしてくれる様にはなったがその分休みの催促が増えた。元々、やりたく無いことはドヤされるまでやらなかったからこれでもまだマシになった方である。
「じゃあ、リクが僕の膝に乗って甘えてくれたらめっちゃ頑張る」
「それは家に帰ってからやる。仕事とプライベートは分けろ」
「えぇ〜〜〜!じゃあやらない休む!」
「…………………」
愛莉珠のあまりの言いように理玖は彼女の事を冷え切った目をしたチベスナ顔で黙り込んでしまった。心なしか周りの空気も冷たくなってきて、理玖の影の中にいる魔狼達の視線も冷たくなっている。
「そんな顔しないでよリク。…………よし交換条件といこうじゃないか」
「いいからさっさとやれ」
未だにそんなことをのたまう愛莉珠に理玖は投げやりな気持ちで言い捨てた。
「僕が理玖を膝に乗せて愛でながら1週間分の仕事を頑張ったら、今度の休みに理玖の好きなプレイをしてあげよう」
「………………………」
何がなんでもやりたく無い愛莉珠の往生際の悪い提案に理玖は垂れ気味の狼耳の先っぽを少し上げて黙り込んだ。これは理玖がビーストになってからついた無意識な癖で何か迷うと耳の先が少し上がるのだ。
「……………布団にまるっと篭って耳元で甘く囁きながらの甘々ちょい過g」
「わかった。………わかったから言うな」
愛莉珠が理玖の好みのプレイを暴露する前に理玖は愛莉珠の提案に乗ることにした。
愛莉珠は理玖の返事を聞くなり花が咲いた様な笑みを浮かべ、自分が座っている椅子を引いて両手を広げて受け止める体勢を作った。
理玖はそのキラキラとした表情の愛莉珠を見て静かに溜め息を付くと、彼女の腕の中に自ら収まった。
そうして愛莉珠は少し強めに理玖を抱きしめた後、頬を両手で挟みグリグリと揉んだ。それまでムスッとした顔をしていた理玖だったが、強めの抱きしめと揉み揉みで表情が緩んで喜びを表現するかの様に尻尾を大きく振り出した。
理玖は愛莉珠に身体を許したあの日以降、少しばかり変化があった。それは感情の表現が人並みになったことである。
今までは感情の振れ幅に問わず顔がほとんど動かなかったが、現在は表情豊かとまではいかないもののそれなりに動く様になっていた。
そんなまるで犬が大好きな飼い主にされて嬉しがってる様にしか見えない理玖に愛莉珠は顔を綻ばせて、そのまま流れる様にキスをしようとしたが、その行動に勘付いた理玖が彼女の腕から抜け出した。
「………………仕事中」
「リクだって嬉しそうにしてたじゃんか。キスの1つや2つくらいはいいじゃない?夜だとそれ以上の事やってるんだしさ」
「………それでも駄目なものは駄目だ。………………… 」
理玖が顔を赤くして最後に小さく呟いた言葉を持ち前の超聴力 (愛犬限定)で拾った愛莉珠はニンマリと笑みを浮かべて、サッと理玖を自分の腕の中に掻き戻して彼女の顔に頬ずりをした。
ちなみにされている理玖は特に抵抗せずに大人しく頬ずりされた。
「あ、そうだリク。今月の末に僕、リクが通ってる学校に行くからね」
「……は?なんで?」
愛莉珠の急な暴露に理玖は目が点になった。
「講演会だよ。リクの学校って都心部じゃ結構有名な学校なんだよ?普人と魔術師とビーストがお互い手を取り合って学園生活っていうキャッチコピーを掲げてさ」
「実際は校舎を分けてるがな」
「まぁ、それは仕方ないよ。………んでそんなキャッチコピーを掲げて積極的に受け入れてるから、他の学校よりかは次世代の戦乙女やハウンド候補の子が見つけやすい。戦乙女は兎も角ハウンドはまぁ見つからないから定期的に講演会を開いて候補を見つけてくるのさ。
今までは第一近衛部隊が主体でやってたけど、例の事件でブチ切れた局長に解体されちゃったからね。副隊長の銀ちゃんが不在だから僕が行く事になったのさ」
「……………そしたら俺はどうすればいいんだ?お嬢の側に付くか、それとも生徒として参加するのか」
「リクにはその日、僕と一緒にいる事になってるよ。そろそろ僕のハウンドだってことをお披露目しなきゃね」
そう言って愛莉珠は腕の中にいる理玖に向かって笑いかけた。
2人がバディ契約した直後はハウンド成りたての理玖がまだ能力が安定しておらず、メディア割れにより要らぬストレスを受けて暴走したらまずいと考え、敢えて公表しなかった。
現在では能力も安定して、更には現テルゼウス第一近衛部隊隊長兼レイブンハルト家次女のアリス・ドラゴローズ・レイブンハルト……礼華 愛莉珠のハウンドという立場も安定した為で今回の講演会で最初のお披露目をする事になった。
「………普通、そういうのって記者会見とかが最初じゃないか?」
「僕、記者会見とか嫌いだから」
「……………ファッション誌のモデルとかは良いのか」
「あれは基本的に僕の姉さんかそれ関係からの依頼だからね。………………そういえばこの前姉さんがリクを被写体にしたいって言ってたな。今度一緒に行こうか」
「邪魔じゃなければ行く………………あと休憩終わり」
「……………はーい」
そうして愛莉珠は理玖に促されて渋々残りの仕事を片付けに入った。
私の中での主人公の武器の形のイメージはF/G/Oの抑止力のオルタ様の魔改造双剣銃であります。
…………あれはロマンたっぷりな代物




