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極氷姫の猟犬  作者: 骸崎 ミウ
第1章
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日常〜3(休日)

日が変わり土曜日。



人類史最大の災害であった『天災』から最先端の技術を持って復興した都市は活気に満ちていた。十数年前まではボイドの侵攻により瓦礫の山と化していた場所とは思えないほどである。



理玖は待ち合わせ場所に約束の時間より30分早めに来て待っていた。



「おーす理玖。やっぱり男勢が最初か」



「よお隆二。まぁ、女子は準備やら何やらあるから時間がかかるんだよ」



「それもそうか」



2人の格好はとりあえず誰が見ても都会ならどこにでもいる様な若者風の格好をしている。髪は隆二は特に整える必要がなく、理玖は寝癖を直す程度にしてある。



そんなことで男子2名は他愛のない話をしていると約束の時間より少し前に女性陣がやってきた。美桜は清潔感のあるパンツルックで詩織はフェミニンなワンピースだった。



「ごめんごめん、2人とも待った?」



「いいや。俺たちも来たところだ。というか全員時間前に来るとはな」



「まぁ、遅れて来るよりかはマシでしょ?」



と隆二と美桜は挨拶がてらの会話を始めた。一方で詩織はというと……



「ねぇ、理玖くん。その……変じゃないかな?」



「ん?……ああ、可愛いと思うよ。別に変でもないし、詩織はいつも通りいいと思うよ」



「そ、そう? ふふ、ありがとう」



といった感じだ。



その様子を他の2人(隆二と美桜)は小声で会話する。



(今回はいけるかね?あのにぶちん達は)



(さぁ?理玖の鈍感ぶりもそうだが、詩織の空回りも相当じゃねえか)



(あぁ〜〜……確かに。だけど、今日は色々準備してきたみたいだよ?)



(それが空回りに終わらなきゃいいけどな)



「2人共、何話してんだ?早く行くぞ」



「「はいはい、わかってますよ」」



そんなこんなで久しぶりの4人での街歩きは始まった。



街歩きといってもやる事は買い物か買い食いである。服や小物を選んだり、話題になっているスイーツの感想を言い合ったりとそんな感じだ。



その間、隆二と美桜の予想通り色々準備し過ぎて努力が空回りしだした詩織を2人がフォローしたり、理玖が女性と間違われてナンパされ笑い者になったりと色々あったが。



そんなこんなで4人は最寄りの食堂で昼食を取ることにした。



「…………こういうのって普通レストランとかじゃ?」



「近くて安い。学生のお財布事情を考えた結果こうなったでしょ?ま、美味いからいいじゃんか」



「それもそっか」



と美桜は理玖の疑問にそう答えて餃子を頬張った。一方で詩織はどんよりとした空気を纏ってラーメンを啜っていた。



「……あー、詩織?仕方ないじゃない。詩織が探してくれたレストラン、臨時休業じゃね?」



「そうだぜ。そんな落ち込むなって………………ほれ」



どんよりとした雰囲気の詩織を美桜と隆二がフォローして、隆二は隣でレバニラ炒めを無言で食べている理玖にもフォローを促した。



「……ん?………あぁ、まぁ、その詩織。また今度来た時にすればいいじゃないか。別に店が無くなったわけでもないんだし」



「………それもそうだよね。うん!わかったよ!それじゃまた今度あそこに行こうか!」



理玖の励ましで復活した詩織に残る2人は安堵した。



ちょうどその時、少し高い位置に見やすい様に置いてあるテレビでニュースが始まり異形の怪物と戦う戦乙女(ヴァルキリー)とハウンドの姿が映し出された。



「………最近、ボイド多くなってきたね」



とそのニュースを見て詩織はそう呟いた。



「確かに。ただ、山奥とかそんな辺鄙な場所にしか出てないし都市部には防護結界があるんでしょ?」



「それは気休め程度。ボイドは自然災害みたいなものだからあっても最後は人の手で守らなきゃいけないって、父さんと母さんは言っていた」



「………そっか」



「「………」」



ぼんやりとした顔の理玖の物言いに4人を取り巻く空気は微妙なものとなった。



「ま、まぁ、難しい話をしても仕方ねぇだろ。飯食ったら、また街探索しようぜ」



「そ、そうだね!じゃあ、次はこの近くのメロンパン屋さんに……」



「いやまだ食べるの詩織……」



微妙になった空気を隆二が持ち前の切り替えの良さで良くしてそれに詩織と美桜も乗っかった。




「………あんまり食べると太るよ」



その会話に理玖はポツリとそう呟くのであった。

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