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極氷姫の猟犬  作者: 骸崎 ミウ
第3章
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賑やかな食卓

同日2話投稿なのでご注意を




「なるほどねぇ……そんなことがあったんだ。それ完全に向こうの自業自得じゃん。魔術師が断りも無しに他人の能力を盗み見ようなんて一昔前までなら両手足の指全部関節と逆側に折られた上に丸裸で鞭打ち千回してソイツの家の前で晒し者だったよ?」



「魔術師ってそんな過激な集団なの?」



「これでもまだ優しい方だよ?やばいところだと問答無用で打首されて家族は豚の餌にされてたし」




時刻は午後7時半で夕食の時間。



理玖が今日学校であったことを愛莉珠に報告すると愛莉珠はそう当然だと言わんばかりにそう言った。




「しっかしまぁ、災難だったねぇその子。その鑑定板(サーチボード)って絶対レンタル品か親の私物でしょ。最近、魔導具はその辺の電化製品くらい安くなってきてるとはいえ、今でも鑑定板(サーチボード) は安くて1枚2万はするよ?」



「確かにそうですね。マリアキリア家が量産態勢を整えた今では魔導具は庶民でも手が届く代物になっています。それでもまだまだ高いには代わりありません。………理玖、おかわりお願いします」



「………なんであたかもずっといたかの様にウチの夕飯食べてるのさ。というかリク!なんでコイツに夕飯用意してるのさ!?」




愛莉珠のぼやきに反応したのは何故か一緒に夕食を食べていた夜奈であった。ちなみに彼女は理玖が夕食を用意し終わってから気配もなく現れた。




「夜奈姉はいつもこんな感じだよ。ふらっと現れてはスゥーっと消えていく。大体わかるんだよ来るのが。はい夜奈姉ご飯」



「ありがとうございます」



「不法侵入だよ!コイツ不法侵入者だよ!」



「礼華隊員。箸で人を指すのはお行儀が悪いですよ」



「………お前のその頭にブッ刺してやろうか?」



「箸は凶器ではありませんよ。………この肉じゃが美味しいですね」



「………………………もういいや」




終始マイペースな夜奈に翻弄される愛莉珠。理玖はその光景をただ眺めている。愛莉珠はこのままやっても平行戦になると考え、夜奈に対して言及するのは諦めた。




「………ご馳走様でした。それでは要件に移りましょう」




そうして夕食が終わった後、夜奈はそう口にした。彼女は元々その要件を伝える為に来たのだ。




「まずは理玖から。今週の土日の休みは用事を入れないでください。幸子と翔太さんが貴女の為に残した遺品の回収に向かいますので」



「遺品?それ父さんと母さんが死んだ後、貰った筈だけどまだ残っていたの?」



「あの時のはあの時点で貴女が相続できる分のです。今回のは戦乙女関連の物品とあの2人が今まで溜め込んできた魔獣などの素材です。ちょうど貴女の戦闘用スーツの製作で材料が必要でしたからそれを使いましょう」




戦乙女やハウンドが戦闘時に着る服や武器はそれぞれが特注品で主に魔獣の素材や特殊な鉱石などを用いて製作される。また素材に関しては本人の能力に最も最適且つ最高級のものが選ばれるので戦乙女やハウンドが持つ物の中で1番価値の高いものとなる。




「………ねぇ、あのさ?まさかあのド鬼畜コンビ、自分の子が覚醒ハウンドになる事を見越して素材集めてたの?」



「おそらくは。あの2人は結婚すると同時に2年ほど世界中を飛び回って片っ端から魔獣やらなんやら狩りまくっていましたから。なんとも斬新な新婚旅行です」



「それ新婚旅行って言えるの?………まぁ、あの2人が集めたものなら間違いなく最高級品だろうね。もしかするととんでもないものまであるかも」



「実際そうですよ。ユグドラシルの地下倉庫の1番最下層が満杯になるほどですから」



「………………待って。今、地下倉庫の最下層が満杯って言った?あそこ400メートル級の貨物船の積載量がすっぽり入る大きさだよね?どんだけ集めたの?!」



「では次に移ります。礼華隊員にはこれを」




愛莉珠の叫びを無視した夜奈はそう言って1つの封筒を手渡した。




「なにこれ?」



「先日、貴女が故意に破壊した付与護符板(エンチャントボード)の請求です。それと故意による隊の備品の破壊の罰として今月から3ヶ月間、通常給与から4分の1差し引かせてもらいます」



「はぁ?!?!ちょッ、それマジで言ってんの!?」




夜奈の解答に愛莉珠はそう叫び、彼女から封筒を奪い取って中身を確認していくと、その中身の請求書の額を見て顔を引き攣らせていった。




「………夜奈姉。付与護符板(エンチャントボード)っていくらすんの?」



「付与されている魔法によりますが、火や水などの基本属性は5〜10万、補助系は15万前後、上位属性魔法や特殊属性、希少属性のは20万くらいです。


今回、礼華隊員が破壊したのは基本属性が9枚、補助系4枚、上位属性4枚、特殊属性1枚で総額約250万ちょっとです。ただ、付与する人材なども考慮して更に上乗せして総額500万ほど。


貴女のバディならば容易く満額現金で払える金額です」



「それでもさぁ?ちょっとくらい経費で落としてよ?リクの能力試験だったんだし……」



「あれは貴女が独断で始めたことです。全額支払いなさい。それが嫌なら交換条件として理玖を2日ほど私と澪の家でお泊まりさせます」



「それが狙いか。………わかったわかった。全額払うよ。これでいいでしょ?」



(ちっ)…………いいでしょう。それではここに印鑑を」



「ねぇ今舌打ちしたよね?」




そんな時でその日は騒がしくはあったがなんの問題もなく終わった。







「ところで夜奈姉。澪姉さんはどうしたの?」



「能力の酷使で気を失ってそのまま伸びています」

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― 新着の感想 ―
[一言] 読ませていただきました。素晴らしい小説に出会えたことを感謝! 更新待ってます!
[良い点] お労しや姉上 澪姉不憫カワイイヤッター! [気になる点] ははーん、さては局長は現代のぬらりひょんだな? [一言] 局長が伯母バカなのはやっぱ姉妹なんだろうなって、両親は相当な親バカだっ…
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