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極氷姫の猟犬  作者: 骸崎 ミウ
第2章
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経過観察〜1

〜side柳龍 夜奈〜



今日も変わらず平和な毎日。空を見れば青空広がる快晴です。



障害物は無し、機材の不備も無し、体調面でも問題ありません。それではもう少しズームして……




「…………あの、局長?何をなさっているのですか?」




と背後から困惑とした様子で私に呼びかける声が聞こえてきました。さっと振り返ればそこには低身長で眠そうな顔をしたメガネをかけた女性……私の秘書の安藤(あんどう)がいました。




「対象の観察と魔導具の検査です。対象は先日発見された覚醒ビーストと礼華隊員の関係観察でちょうど検査対象魔導具の中に使えそうな代物がありましたからそれで」



「は、はぁ………?」




まぁ、建前はそんな感じです。実際は理玖のことが心配ですからこうして見ているわけです。ただ、私と理玖が血縁関係というのは理玖が正式に礼華隊員のハウンドになる時まで隠しておきますが。



本当は早めに明かして理玖の身の安全をと考えましたが、私の甥っ子……今は姪っ子ですが……という理由で近衛部隊が理玖と礼華隊員を引き剥がしに行く可能性が出てきましたので断念しました。



………近衛部隊は名目上私の直轄部隊なのですが、部隊の殆どを副隊長に任せっきりにさせているんですよね。



隊全体を見れば問題ありませんが、その副隊長とその周りの取り巻きが少々問題があります。



近衛部隊副隊長……アナ・グラウシスは魔術師の名家の出身であり、根っからの戦乙女主義者。ビーストや魔力を扱えない一般人、更には純粋な魔術師ではない者に対しても低俗だと見下しています。



更に周りの取り巻きも似たような感じで副隊長を肯定し続けている為、悪化する状況。



………たまにいるんですよね。こういうのが。



階級は一応(・・)特級戦乙女でありますが、魔力量は中の下で先のボイド大戦の後に入隊した為、戦闘経験も豊富ではありません。というかほぼ皆無です。ただし、やはり魔術師の家系の者とあって成績"だけは(・・・)"優秀です。



なんでこの様な者が特級になれたかと云えばそれはやはり権力と財力に物を言わせた為です。



テルゼウス創設当初は組織的にも情勢的にも不安定だった為、魔術師の名家の者を片っ端から受け入れてその土台を盤石な物に仕立てたのが先代の局長。



当時は仕方なかったとしても今ではほぼ必要ありません。というか余程の名家……それこそ三大魔術家系と言われる様な家系以外はテルゼウスの支援で存続している様なものです。ある意味お荷物です。



人は誇りと歴史だけでは食っていけないものです。



………さて話が逸れました。では引き続き観察をしていきましょうか。



今回は礼華が理玖を服屋に連れて行ってます。偶然、澪も鉢合わせたみたいで一緒に選ぶみたいですね。



しかしこの望遠鏡はいいですね。魔力を通せばズームはもちろんのことで視界をクリアにしたりある程度の壁も貫通してみたい対象を見れますから。



難点を上げるなら大きさ故に持ち運びがしづらく、魔力の消費も多いことでしょうか?



さて、理玖はというと最初に選んだ服をダメ出しされて着せ替え人形になってしまいましたね。



…………何故服なんかにこだわるのでしょうか?服なんて見てくれが良くて着れるぐらいで充分じゃないですか。



まぁ、以前それを澪に言ったところ『なんでヌシら2人して思考が同じなんじゃ……。素材良いんじゃから少しはそっちに気を使え』と呆れた様子で言われましたが。



とちょうど澪からメールが届きました。



メールを開くとそこには随分と可愛らしい服を着せられた理玖の写真が数枚添付されていました。目が死んでいるとか首輪を付けているとかそういうのは置いといて。



あとは………やけにムカつくニヤけ顔でダブルピースしている澪の写真とメッセージ。




『ほれほれ〜☆可愛い姪っ子の着せ替えショーじゃよ〜♪夜奈も来るかの〜?あ、来れないんじゃったなすまんすまん(^ω^)』




《………バキッ!!》



………おっと。思わずスマホを握り潰してしまいました。とりあえず予備を出して澪にメッセージを送るとしましょう。



内容は……『そうですね。しかし最近調子に乗りすぎですね。明日と明後日は休みですから今夜貴女をコンコン鳴かせて2日程足腰立たなくしてあげますよ。最近、ご無沙汰でしたし』でいいでしょう。



はい送信っと……。



返事は……すぐに来ましたね。やたら長文でごめんなさいを連呼していますがまぁ無視しましょう。



さて観察の続きといきましょう。



理玖が着飾っている場面なんて滅多にありませんから

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