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極氷姫の猟犬  作者: 骸崎 ミウ
第1章
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日常〜1

月曜日。それは一週間の内で最も憂鬱な始まりの日。きっと大多数の人が、これからの一週間に溜息を吐き、前日までの天国を想ってしまう。



そして、それは大泉(おおいずみ) 理玖(りく)も例外ではなかった。もっとも理玖は前日まで急に入ったバイトをしていたから単に疲れているだけだが……



「よっ、理玖!今日も地獄の月曜から疲れた顔してんな」



と後ろから肩を叩きながら声をかけて来たのは理玖の友人の猪狩(いかり) 隆二(りゅうじ)だ。隆二は運動部らしく短く切り揃えた髪に筋肉質な体格の爽やか青年。女子からはモテて、男子からは兄貴と慕われている。ちなみに陸上部。



「お前は朝から元気だな隆二」



「まぁな。朝練でヘタれるわけがないからな」



「体力あるのが羨ましいことだ」



「お前だってあるだろ。3時間ブッ通しで厨房に立つくらいには」



「飯屋と運動部では明らかに体力の使い方が違うだろ」



「───おーい!2人ともおはよー!」



と理玖たちが朝の挨拶がてらの会話をしていると後ろからこれまたハキハキとした声が聞こえてきた。



振り返ればそこにはよく理玖たちと連む2人いる女子の片方、如月 詩織がいた。



詩織は学校で二大女神と言われ男女問わず絶大な人気を誇る途轍もない美少女だ。腰まで届く長く艶やかな黒髪、少し垂れ気味の大きな瞳はひどく優しげだ。スッと通った鼻梁に小ぶりの鼻、そして薄い桜色の唇が完璧な配置で並んでいる。



更には『ビースト』の証である万民の愛されキャラである猫耳にモフモフとした尻尾という完璧ぶり。



今の時代、ビーストは3人に1人の割合で誕生する為、さほど珍しくない。街を歩けば割と多く見かける。



「よう詩織。美桜(みお)はまだ部活か?」



「そうだよ。そろそろ着替え終わって来るはず………あ、来た来た。おーい、美桜ちゃーん!こっちこっち!」



詩織が理玖たちの元に近づく女子生徒に気づいて手を振りながらそう元気よく言った。



「おはようみんな。朝から元気がいいわね詩織。……そして理玖君は相変わらず疲れた顔をしてるわね」



やってきた女子生徒……岩瀬(いわせ) 美桜は理玖たちにそう挨拶をした。



美桜は詩織の親友であり、柔道部のエースである。長身で長い黒髪に内側に白い綿毛が入った狐の耳がトレードマークである。細い目元と女性的な丸みを持っている為、温和なイメージを持たれるが試合になると非常に勇ましい姿を見せる。



「俺は昨日バイトで急なシフトが入ったんんだ。夜中までやってたからあまり寝れてない」



「あらそう。疲れと寝不足は肌に悪いわよ?ただでさえ可愛い顔つきなのに勿体ない」



「これは生まれつき。というか母親譲りだよ」



理玖は誰から見ても女性的な顔つきをしている。



同年代の同性と比べても低めの背に、やや子供っぽい造形で他人に侮られやすい顔貌に白い肌、そして肩口まで伸ばしたサラサラとした茶髪。



初対面の人との自己紹介の際には女と間違われることもたまにある。



「俺はもう少し男らしくなりたいんだよ……」



「なら運動部に入ればいいじゃねえか」



「時間がない」



理玖、隆二、詩織、美桜の4人は幼馴染だ。家が近く、昔からよく4人で遊んでいたりもしていた。高校も家が近くて平均的だと理由で4人とも通い始めたのもある。



「そういえば……みんな今度の土曜日はちゃんと空けてあるよね?」



と詩織がその場にいる3人に確認を取った。4人は今週の土曜日に街に行くという約束をしていたのだ。



「もちろんだぜ。久しぶりに全員で遊び行けるからな」



「そういうこと。1番心配なのは大泉君だけどねぇ?またバイトに助っ人入られて約束バックれないといいけど」



「今回は心配ない。店長には臨時入れるなって言っておいたし」



「よかった!ほんと久しぶりに集まれるからね!」



と詩織は嬉しそうな表情を浮かべそう言った。



こうして彼らの日常は進んでいくのであった。

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