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極氷姫の猟犬  作者: 骸崎 ミウ
第2章
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これから始まる同棲生活〜2

「…………疲れた」



あれから理玖は愛莉珠に蹂躙された。さすがに恥ずかしい部分は死守したがそれ以外……特に胸をやられた。



そして今は精神的な疲労でソファにぐてっとしている。




「いや〜、リクの身体は柔らかったねぇ。それに若さっていうのかな?肌が吸い付いてくるっていうか張りがあるよね。……はい、葡萄ジュース」




そうコップに注がれた葡萄ジュースを差し出したのは妙にツヤツヤしたパジャマ姿の愛莉珠だった。




「………ありがとう」




理玖はお礼を言ってコップを受け取り、ちびちびと飲み始める。それを愛莉珠はなんとも言えない表情で見て笑っていた。




「…………なに?」



「いやさ?リクって警戒心無いよねって思ったんだよ。普通、さっきみたいな事された後じゃ素直に受け取って飲まないよ?もし僕が媚薬やらなんやら入れていたらどうするのさ?」



「そんなもん入れてないだろ」



「いやまぁ、入れてないけど……」



「お嬢に対して何故か知らないけど、警戒心とかそういうの全く湧かないんだよ。別にまだ信用はしてないけど、ただ……敵じゃないって感じ?よくわからないや」




理玖の掴みどころの無いふんわりとした説明に愛莉珠はキョトンとした後、すぐに笑みを浮かべて理玖に抱きついた。




「ちょッ、溢れるからやめろ」




理玖が注意するも愛莉珠は気にせず抱きついたまま、理玖の胸に顔を埋めていた。自分の胸に埋もれてのほほんとしている愛莉珠に理玖は呆れながらも跳ね除けようとはしなかった。




「……ねぇリク。寝る前に魔力補給しようか」



「前から聞きたかったんだけど、それって口以外じゃ駄目なのか?」



「駄目じゃないけど、粘膜接触の方が効率がいいんだよ。あとは血を与えるとかだけど、痛いの嫌だしリクだって血は飲みたく無いでしょ?」



「確かに血はちょっと………。…………わかったよ。ほら」




理玖はそう言って、だらけている彼女を持ち上げて魔力補給(キス)がしやすい位置に調整し、愛莉珠の方からする様に促した。




「たまにはリクからして欲しいなぁ?」



「…………………………………恥ずかしいから無理」



「恥ずかしいとかそういうのは慣れるんだよ。さ、目を閉じて………意識しながらゆっくり呑んでね」



「………んっ」




愛莉珠はそう言って理玖の頭を逃がさない様に抱いて軽くキスをした。何度か口をついばまれて、その後に長い唇の押し付けが始まった。



閉じていた口が舌先で歯茎を舐められ、優しくこじ開けられ、舌を吸い出されて、ゆっくりと舌に触れ絡ませられる。愛莉珠はその過程で理玖に自身の唾液を魔力と一緒に飲ませていく。



目を閉じたことで理玖は口の感覚に体が支配されて、反射的に愛莉珠の体をつかんでしまう。2本の尾もぶわりっと膨れ上がり、やがて嬉しそうに揺れだした。2人が繋がる口の境目からは愛莉珠の魔力が可視化され、紫色と水色が混ざった微光が少しだけ溢れていた。



やがて、数分の後に唇が離され、2人の混ざった唾液が糸を引く。



まだまだ余裕そうに舌舐めずりをする愛莉珠に対して理玖は既に限界だった。ぼんやりとした潤んだ瞳をしており、顔も朱に染まっていた。




「僕はまだまだいけるけど、リクは無理そうだね」



「…………ねむい」



「そうだね。お腹いっぱいになったからね。…………ほら、安心して眠りなさい。………大きく息を吸って、気持ちを楽にして」



「…………………」




愛莉珠はぼんやりとして思考が定まらない理玖の鼻先を自らの首筋に押し当てる。あの日、病院の中庭での出来事から習慣化した動作。魔力補給の終わりの合図といった感じである。



今の理玖にとってそこから感じる愛莉珠の焼き菓子の様な妙に甘ったるい香りは心が安らぐ睡眠導入薬である。



ただでさえ魔力補給により思考が定まらなかった理玖はその愛莉珠の匂いにより意識がドロドロに溶かされて………そのまま眠りについた。




***




〜side愛莉珠〜




「…………眠っちゃったか。まるで幼子だね」




僕は自身の下でスゥスゥと寝息を立てて眠る理玖を起こさない様に退いてから隣に座る。まだ寝るには少し早い。だって、まだもう一方のリク(・・・・・・・)にご飯をあげてないんだから。




「──ほら、出ておいで。ご飯の時間だよ」




僕がそう呼べばリクの足元の影が漣の様に波打ち、ズルリっと異形の狼が出てきた。



身体が中身がスカスカの鎧の様な外皮でできていて、強靭な前脚のみ生やした宙に浮いている狼。



狼だってわかる理由は顔かな?だけど、その顔の顎から生える牙はまるで剣歯虎(サーベルタイガー)の様に鋭い。




「今日は君だけかい?……ほら、ご飯だよ。リクが寝ているから静かにね」




僕は掌に魔力を集めてその子に与える。するとその子は僕の掌に口先を押し付けて食べ始めた。



この子たち(・・)がやってきたのは僕がリクと仮契約した次の日からだ。



夜中に数十匹でやって来た時にはそれはもう度肝抜いた。窓の外を見たらギラギラと目を輝かせて屯っていたからね。まぁ、幸い夢で彼らのことを知っていたからよかったが。




「……………ん、ぅ」




と隣からそんな耳に触る声を漏らしながら、リクがこちらにすり寄ってきた。たぶん、僕の魔力を感じて無意識にそっちの方へ向かおうとしているんだろう。



本人は言わないけど、リクは僕の魔力が好きみたいだからね。だって、いつもがっついてきてるんだから。



今のリクは寝間着として簡素なジャージを着ている。チャックは胸が邪魔して閉じれなかったのか、前を開けたままにしている。つまり今は下着のシャツの上にジャージを羽織っているだけである。もちろんブラなんて物無しだ。



そんな格好で身体を押し付けながら擦り寄ってくる。更に垂れ気味の耳を時折パタパタさせて、尻尾もゆ〜らゆらさせながら……………




「ん、ぅ……」



「……………………」




よし食べるか(性的に)。



だって我ながら10日もよく我慢したもんだよ?この僕が。



本当なら目が覚めてからすぐにお持ち帰りする予定だったのにリクの保護者代わりの執行官の2人と何故か神崎(女狐)が待ったをかけて連れて行けなかったし。



我慢したご褒美は欲しいもんでしょ。



………あ?魔力補給でキスやってるしお触りしてるんだからいいだろ?馬鹿言うんじゃないよ。



魔力補給はあくまで『補給』だし普段のあれはスキンシップだよ。僕がしたいのは『自主規制』とか『やべー方の自主規制』とかだよ。



リクは強く押せば流されていく子だから、起きたらそのままベッドでレッツファイヤッ!できる…………筈。



僕ってそっち系(百合)じゃないとは思っていたけど、案外いけるかもね。ちなみに戦乙女(ヴァルキリー)はその特性上、レズが多い。男との出会いが無いわけではないが、圧倒的に少ない為である。



まぁ、いいや。…………さてさて、まずは起こさない様に脱がしていってみようか。



そうして僕がリクのシャツに手をかけて脱がそうした時、背中をグニグニと押された。見てみるとさっきの子が器用に拳を作って呆れた顔で僕を小突いていた。




「………………わかったわかった。やらないからそんな目で見ないでよ」




無機質な鎧みたいな見た目だけど、この子たちは感情豊かである。リクと仮契約しているおかげか何を思っているのかなんとなくわかる。



ちなみに今この子が思っているのは『あんまり度が過ぎるとマジで嫌われるぞ』である。



僕はそのままリクを抱き上げて寝室に行き、起こさない様にベッドに下ろす。そして電気を消して僕も入って眠りにつく。








もちろんエロい事はしなかったよ?

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