表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
3/223

・受験まであとわずか。

 試験日まで、あと残りわずか。

 俺は日々、その日に備えて、英単語やら数学の公式やらを頭の中に詰め込んでいた。

 なのに俺の頭ときたら、てんで空っぽ。

 無知もいいところだ。

 なにひとつとして覚えられてねえ。

 今度大学受からなかったら就職しろと、親から口酸っぱく言われているってのに。


「こいつは呑気でいいよなあ」

 うちで飼っている犬のゴンを見ながら、思いを馳せてみる。

 犬になったら、さぞや楽な一生を過ごせるんだろうな。

「こいつめ」

 すり寄るゴンの頭を撫でたら、目を細くして嬉しがった。


 ふと、勉強を再開しようと、何気なく机の前にある窓に目を向けると、寒空の下、猫が一匹庭をかけていった。

「猫もいいかもな⋯⋯でも野良はやだな」

 猫が霜を舐めていた。そんな生活は送りたくない。


 部屋に視線を戻してゴンを見れば、ストーブの近くに寄ってあくびをしていた。

 暖かい部屋で寝転び、鳴けば何の苦労もなくエサが出てくるんだからな。

 まったく、いいご身分だこと。


 俺は廊下に出た。

 吐く息が僅かに白む。

「今年こそは実らせないとな⋯⋯」

 浪人生の肩身は狭かった。俺は野良になんかなりたくない。




【パングラム】

 みのらせろふゆおれ無知むち

 ねこそとけまわり、しもめ。

 部屋へやえさ

 いぬ暖房機だんぼうきって、欠伸あくびする。


【解説】

 みのらせろふゆ。おれはむち。

 ねこ、そとかけまわり、しもをなめ。

 へやにえさ。

 いぬ、たんほうきよつて、あくひする。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[一言]  雪の歌と、逆なのがなんとも。  ストーリーを補完してくれるのが、嬉しいです。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ