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僕らの世界はすべてが言葉で出来ている。  作者: 絢郷水沙
エッセイ編

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5.作業風景について綴ってみました。

 皆さん、こんにちはです。

 今回は、私が実際にどのようにして作品を作っているかについて書いてみよう思います。

 と言いますのも、読者である柴野いずみ氏に「どのように作っているか教えてほしい」と頼まれたので書かないわけにはいきません。

 以下、それぞれざっくりとした作り方を書いて、そのあと詳しい説明やテクニックなんかを書いていきたいと思います。


 ●パングラム

 ・ 専用のアプリをインストールする。

 ・「ぬ のつく言葉」や「絶対に入れたい言葉」を一番初めに考える。

 ・ その言葉にあった状況や言葉を余った文字から作っていく。


 ●しりとり

 ・ テーマを決める。

 ・ 語尾を調整しながら書く。


 ●回文

 ・ 使いたい言葉を一つ決める。

 ・ その言葉を逆から読む。

 ・ その言葉を色々な箇所で区切り、意味の通じそうな文に繋げる。


 ●アナグラム( 二種類あります。)

 ① 使いたい文字を初めに決める。

 ・ あとは専用アプリに打ち込む。

 ・ 以下パングラム同様に作成。

 ② 一つ文を書く。

 ・ その文に使われている文字を組み合わせて新たな文を作る。

 ・ 足りない文字が出てくるので追加する。

 ・ 追加した文字を最初の文に加える。

 ・ 追加した文字を使って新たな文を作る。

 ・ 以下これらを繰り返す。


 ●リポグラム

 ・ 使わない文字と書く内容を決める。

 ・ その内容に沿って書き始める。

 ・ 使えない単語が出てくるたびに修正する。


 ●縦読み( 斜め読み )

 ・ 縦読みさせたい文章を考える。

 ・ その文字に合わせて周りの文を作る。


 ●ぎなた読み

 ・ 使いたい言葉を決める。

 ・ その言葉をいろいろな箇所で区切ってみる。

 ・ その区切った位置で意味が通じるような言葉を探す。


 ●ナンセンス文学

 ・ 特に決まりはないので自由に作ってください。


 ●押韻( 駄洒落 )

 ・ 辞書を漁って似たような言葉を探す。

 ・ 専用のサイトを利用する。


 ◇◆◇


 ●パングラム作成について。

 まずパングラムは紙やこのサイト内だけで作るのは結構厳しいです。なのでスマホやタブレットを持っている方は専用のアプリが存在するので是非それを利用しましょう。アプリストアで「パングラム」と検索すると出てきます。

 もしもアプリが使えない方は厚紙を46枚用意してそれぞれに1文字ずつひらがなを記入したものを用意して、それらを使って作ってみるのはどうでしょうか。

 アプリの利点はどの文字が今どこにあるのかすぐにわかる機能がついていることと、ボタン一つで作りかけの文章をセーブできるということです。

 では具体的な作り方の話に移りましょう。

 まずパングラムにおける高いハードルは「ぬ」をいかに消費するかです。「ぬ」は使い勝手が悪いです。

 なのでまずはここをクリアしましょう。

「ぬ」の使い道は主に三通りです。

 ①「ぬ」を含む名詞を探す。( 犬、布、Nなど。)

 ②「ぬ」を含む動詞を探す。(「抜く」「死ぬ」「塗る」など。)

 ③ 否定の意味で「ぬ」を使う。( 「出来ぬ」「去りぬ」「知らぬ」など。)

 紙の辞書で探すのでも良いのですが、これも文明の利器に頼りましょう。

 検索サイトで「クロスワード検索」と検索するといくつかサイトが出てきます。これらを利用し「ぬ」を含む言葉を探してみましょう。また「ぬのつく動詞」と検索するのもありです。


 ①~③のいずれか決めたら、あとは残りの文字でそれが登場するにふさわしい状況を考えていきましょう。

 最初の一文ぐらいはそれほど難しくないでしょう。問題は残り数文字まで使い切った時です。

 そんな時に、それらを使い切るテクニックがあります。

 ⑴ 語尾にする。( ~~よ。~~わ。~~ね。~~さ。など。)

 ⑵ 感嘆詞にする。(「さあ」「ほら」「ねえ」など。)

 ⑶ 類語辞典を利用して、使用済み文字を別の文字を使う同じ意味の言葉に置き換える。

 ⑷ 助詞として使っていた文字を抜いて、余っている文字と組み合わせる。

 ⑸ 抜いても差し障りのない単語を抜いて、余っている文字と組み合わせる。


 助詞は抜けていても意味が通じる場合が多いです。なので思い切って抜いてみましょう。

 これらを使ってもどうしても思いつかない時は、最終手段として作っていた文を分解しましょう。三つほど作っていたなら「この文は変えてもいいかな」というものを一つ選んで、残っていた文字と組み合わせます。最悪、一から作り直すのが手っ取り早い場合もあるので、行き詰まったらそうしましょう。


 大まかなパングラムの作り方は以上です。上手いパングラムが作れるかはどれだけ語彙を知っているかにかかってくるので、日頃から知らない言葉には敏感になると良いでしょう。


 ●しりとり作成について。

 これに関しては特筆して書くことはありません。強いて書くなら使いづらい語尾をひたすら避け続けると書きやすいです。


 ●回文作成について。

 テーマを決めていない場合は作りやすいと思います。まずなんでもいいので3~5文字程度の言葉を一つ決めます。今回は例として「太鼓たいこ」で作ってみたいと思います。

 言葉を決めたらそれを逆さに読みます。「たいこ」なので「こいた」ですね。

 次にこの「こいた」を色々なところで区切ってみましょう。

 3文字なので「、こいた」「こ、いた」「こい、た」「こいた、」の4種類ができます。

 この4つを見た時、文章として都合の良さそうなものを選んでみましょう。

「こ、いた」を「子いた」と捉えるとなんだか「子供がいた」という感じの文が作れそうで良さそうでね。

 今回は「子いた」とすることにします。

 ここまでで「太鼓~~子いた」という感じになりました。

 次に、間に入る文を考えてみましょう。

 太鼓ですることをイメージすると「叩く」「打つ」「演奏」などが思い浮かびます。

 そこでまずは「叩く」を色々変化させて文に入れてみましょう。

 ①「太鼓叩く~~くたた子いた」

 ②「太鼓叩いた~~たいたた子いた」

 ③「太鼓叩けば~~ばけたた子いた」

 ④「太鼓叩かれ~~れかたた子いた」

 ⑤「太鼓叩き~~きたた子いた」

 ⑥「太鼓叩こう~~うこたた子いた」など。

 あとはこれらを見て適宜調整していきましょう。


 ①の場合、後半が「くたた子いた」になったのでこれをどうにかしかしましょう。

 やり方は三通りです。「~くたた」になるような言葉を探すか、「くたタコいた」のように区切る場所を変え「~くた」になる言葉を探すか、そもそも①で作らないか。

 最後のは最後に取っておくとして、ほか二つの場合はまた文明の利器に頼ってみるのも一つです。

 今回「くた蛸いた」と考えて直してやってみると「~くた」となる言葉に「ディレクタ」というのが思い浮かんだのでこれを入れてみましょう。「太鼓叩くれでぃ~~ディレクタ蛸いた」

 この時点で完成しそうな兆しが見えたので、ちょっと読点を加えたりと修正してみると、

「太鼓叩くレディ、ディレクタ、蛸いた」

 となりました。いかがでしょう。

 完成しなそうであれば、別の言葉で試すか、諦めて次に行きましょう。

 以下②~⑥で試してみた結果です。

 ②「太鼓叩いた蛸いた」「たいこたたいたたこいた」

 ③「太鼓叩けば、化けた蛸いた」「たいこたたけばばけたたこいた」

 ④「太鼓叩かれて顔赤いか青か、照れ方。蛸いた」「たいこたたかれてかおあかいかあおかてれかたたこいた」

 ⑤「太鼓叩きに来た蛸いた」「たいこたたきにきたたこいた」

 ⑥「良い太鼓叩こう。中古叩こ。痛いよ!?」「よいたいこたたこうちゅうこたたこいたいよ」


 短いものでも言葉が浮かばない時があります。そんな時の小手先のテクニックは、自分で単語を作ってしまうことです。人名などの固有名詞を自分の都合の良いように作ってしまいましょう。


 ●アナグラム作成について。

 ①の場合、文字群を決めた後、パングラムで紹介したアプリに打ち込むことができるので打ち込んでみましょう。あとはパングラム作成と同様です。

 ②の場合を実際に作りながら説明していきましょう。

 試しに「私は花子です」からアナグラムを作ってみたいと思います。

「わたしははなこです」←ここに使われている文字を並び替え作れそうな文を考えます。

 試しに「すなははこのした。でわ」と並び替えてきました。よく見ると「でわ」が余っていて、「の」が追加されているのがわかります。

 次に「でわ」を消費したいので「でわ」が登場する文を考えます。試しに「でんわはうえ」という文を作ってみました。ここで新たに「んはうえ」が追加されました。先ほど「の」と合わせると「のんはうえ」です。

 この5文字で最初の文を調整します。

 そこで今回は、飯之上はんのうえという架空の苗字を作成してみました。

 以上により完成です。

「私は飯之上花子です」⇄「砂は箱の下。電話は上」

 短くまとめるために今回は架空の苗字を作るという荒技を使いましたが、そうではなくて例えば「んは」を残して「うえの」から「上野花子」にするのもありです。その場合まだ「んは」が余っているので先ほど同様に新たな文字を加えて調整していくという作業になります。

 大まかな流れは以上となります。


 ●リポグラム作成について。

 まず初めに使わない文字を決めます。次に内容を決めて話を書いていきましょう。そして使えない単語を使いたくなったら適宜修正していきましょう。初めに一気に文章を書いて後から調整するのもありだとは思いますが、かなり難しいと感じます。使いたい言葉が使えずどうしようもない時は内容ごと変えるのも一つの手です。そして壁にぶち当たった時はぜひ類語辞典を用いて別の言葉に置き換えてみましょう。


 ●縦読み作成について。

 縦読みで難しいのは文字の位置が思う場所に来ない時です。

 文字数調整で悩んだ時のテクニックは、

 ① 読点を入れる。

 ② 漢字をひらがなに変える。

 ③ 都合の良い文字数の類語に変える。

 ④ クロスワード検索、漢字クロスワード検索、を利用する。

 などがあります。


 ●ぎなた読み作成について。

 ぎなた読みに関しては誤変換をもとに作る場合が多々あります。なので適当に打ち込んだ文章を変換させるときにたくさん出てくる候補をよく見てぎなた読みのヒントを得てください。

 そのほか意図的な作り方をご紹介します。

 ポイントは助詞です。

「私は~~」や「私が~~」の「は」や「が」にあたるものが助詞です。

 そこで例として実際に作ってみましょう。

 まず助詞として使われる文字を含んだ3~5文字程度の言葉を一つ見つけてきます。

 今回は「が」を含んだ言葉として「鏡」を選んでみました。

 次にこの「鏡」を「~か、が、み~」と分解して、【「かで終わる名詞」が「みから始まる動詞」をした】というふうに文章を作っていきます。

 まず「かで終わる名詞」としてシンプルに「蚊」が思いついたので今回はこれにします。

 次に「みから始まる動詞」を考えていくのですが、主語に蚊を選んでいるので、蚊がしなさそうな動詞をなるべく避けながら探していきます。色々探す中で「身に付けた」という言葉がよさそうだったので今回はこれにします。

 するとここまでで「鏡につけた」「蚊が身に付けた」のぎなた読みが完成しました。あとは、続く文章を調整して「鏡につけた血の取り方」「蚊が身に付けた血の取り方」なんていかがでしょうか。


 そのほかには他の所同様、オリジナルの固有名詞を作るなどするとうまくいくかもしれません。


 ●押韻( 駄洒落 )の作り方。

 韻を踏むためには似たような音の言葉を探してくる必要があります。そこで辞書を使うのも良いのですが、韻を踏む言葉を教えてくれるサイトがございます。「韻ノート」というサイトなのでぜひ活用してみてください。



 以上となります。これを参考にぜひ言葉あそびに挑戦していただけると筆者としても嬉しい限りです。




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― 新着の感想 ―
[良い点]  ありがとうございます!  ぎなた読みは難しそうですが、頑張って書いてみます!!
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