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僕らの世界はすべてが言葉で出来ている。  作者: 絢郷水沙
押韻編

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166/226

・矛盾文

 矛盾して聞こえる? ――いいえ、矛盾などしていません。


 ボクシングの優勝を賭けた試合で負けた選手は、チャンピオンベルトを未練がましく見つめる。

「まけたからまけなかった」

(負けたから巻けなかった)


 さて、凍死する人とは。

「さめたからさめなかった人」

(冷めたから覚めなかった人)


 どうして死体を捨てたの? その理由は。

「いきしてなかったからいきしました」

(息してなかったから遺棄しました)


 “こちら側のどこからでも切れます”に対してイライラしないで。

「きれなかったからきれた」

(切れなかったからキレた)


 友達の家に行こうとしたんです。でも。

「よったからよらなかった」

(酔ったから寄らなかった)


 残り物のバナナは。

「うれなかったからうれてしまった」

(売れなかったから熟れてしまった)


 餓死する前に何かしようよ。

「うえればうえなかった」

(植えれば飢えなかった)


 上り坂を前にしたデブは。

「こえたからこえられない」

(肥えたから越えられない)


 湿度高い時期の換気。

「しめるからしめなかった」

(湿るから閉めなかった)


 ついでに集まらなかった理由も。

「むれるからむれなかったのだ」

(蒸れるから群れなかったのだ)


 環境の変化に弱く絶滅した種について。

「たえたのはたえられなかったから」

(絶えたのは耐えられなかったから)


 てことで、採取禁止の場所の思い出に。

「とれないからとっといた」

(採れないから撮っといた)


 そうして、ブラック企業に勤めてはや数年。

「やんだのはやめなかったから」

(病んだのは辞めなかったから)


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