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王子、入学するってよ


 王子、入学するってよ…。

 

 全生徒の好奇心の固まりである目線を気にすることもなく、警護の者を従えて堂々とした風格で王子は壇上に立つ。

 王子の髪色は、艶やかなシルバー色だ。

 200年も絶てば王族の髪色や瞳の色もそりゃ変わるよなーとぼけっと眺めた。

 瞳の色は、澄んだブルー。昔の濃紺の深海の色の瞳とは違っていてどこまでも誠実な

印象を受ける。

 ルドガーと名乗った彼は、今まで隣国へ留学していたと話す。

 …隣国へ王子が留学かぁ…やはり200年の月日は大きいと感慨深く思いをはせるも、周りの生徒たち、特に女性との羨望のため息が聞こえ現実に戻された。


 なるほど、澄んだ鮮やかなブルーの瞳と言い、シルバーの髪といい、壇上から聞こえてくる美声といい、まさしく王子様らしく誠実な印象を受ける。どうやら民衆の心はがっちりと掴んでいるらしいなと思う。ここに来てから日も浅いけれど、どの時代も王族…特に王子様人気って一定数あるんだな…。まぁ…王子の風体にもよるんだろうけれど…。


 しかし。

いやぁ、まさか本当に王子様でしかもご入学されるとか驚きです。そしてなんと何故か騎士学校の方に。いや、確かに騎士学校の方に入学されそうだけれども。

 いやぁ、まさか王子がねぇ。御学友になりあそばされるとは…。


 見た目から察するに今の私よりは年上に思えるのだけれど、もしかしたら入学するといっても違う学年に編入というかたちでご入学あそばされるのかもしれない。違うが学年にご入学あそばされるのだとしてもだ。

 何だか華やかな学生生活になりそうではある。

 まぁ、私には関係のない事だろうけれど、王子様とご学友の恋とか恋とかを遠くから眺めて楽しみたい。

 私の王子様をとらないで!とかなんとか!そういう事件をあくまで遠くから眺めて楽しみたいところである。いや、本当に。

 巻き込まれるのだけは勘弁したいなぁと私は遠い目をしながら、今生ではあまり目立たないように生きようと決意を新たにもんもんと考えていると、淡々と自己紹介をしていた王子の声に一瞬動揺が走る。


 ん?

 どうしたの?

 あれ?

 どうしたのかなと、壇上の王子に目を向けると、王子の視線がとある一点で停止したまま固まっている。王子の声も一緒に止まってしまったために一瞬、静寂が訪れ次の瞬間に生徒たちのざわめきが聞こえ始めた。

 ざわざわと周りが騒ぎ始めたにもかかわらず、ルドガー王子の目がひときわ大きくなり「なんと!」という声を発せられる。


 …なんと?

 何がなんと?


 そのまま固まった王子のその視線にそのほかの生徒も注目し、もれなく私もその視線に目を向け納得した。

あ。ええ。…はい。そうですね。

 ええ、ちょっとあの髪、目立ちますよね…。

 私はため息をつきながら、私の隣のお兄ちゃんをジト目で眺めたのだった。


 「む」

 お兄ちゃんは一言そういうと、全生徒の視線が何故自分に向けられているのか不可解だと言わんばかりの表情をすると、不快であると示すかの如く、腕と脚をおもむろに組み、眉の間にしわを作り視線を寄せたまま王子を睨んだ。

 中身が精霊にあるまじき、横柄な態度が全面に出ている。

 いや、むしろ威圧感が全面的に出ている。

 えーっと、これって不敬とかそういうのにあたったりしないですよね。

 「ちょ…」

 お兄ちゃん、精霊ですよね。

 その態度と表情、いいんですかね…。っていうか精霊って私が知らなかっただけでこんなに人間ぽかったんですねー。

 お兄ちゃんの態度にどよどよと周りの生徒からもどよめきが走る。

 睨まれたルドガー王子はというと、失礼いたした、と言いながら目線をお兄ちゃんからそらすと何事もなかったかのように自己紹介を続けたのだった。

 偉い。

 偉いな、王子!

 大人だな、王子!

 うん、その対応だけでも立派ですね王子!

 よく、この対応をとられたにも関わらず、失礼したと謝罪しこのお兄ちゃんの横柄な態度をスルーしましたね!王子!素晴らしい対応です。

 グッジョブ、王子!!


 現在ルドガー王子の評価が私の中で爆上がり中です。

 そして反対に、お兄ちゃんの評価は絶賛爆下がり中です。勿論、ええ。


 「…お兄ちゃん…顔、顔が滅茶苦茶険悪になってますよー…」

 「ふん……」

 面白くもなさそうに再度王子を眺めるとお兄ちゃんは王子から目線をそらし首を傾け少し考える顔をし、次に私に顔をぐるんと向ける。

…いや、だから、それ、怖いんで一気に顔を持ってくるとか身体を持ってくるとか止めてほしいなぁ。人間の身体にまだ慣れていないのかなぁ。

 

「ところでケイト」

 はいはい、なんですか。

 「なんですか?」

 どうしましたかね、お兄ちゃん。

 「この国の王子はあいつだけなのか?」

 「え、なんでですか」

 「鼻たれ野郎のバカ息子とは違う気がするのだ」

 「えーっと、その鼻たれ野郎のバカ息子という表現が王子様を指すのかどうかもわかりませんけど、そもそも私、ここの世界の知識まるっとないので全くわかりませんけど」

 「…そうだったな…」

 「そうですよ…」

 何を言っているんだろう、このお兄ちゃんは…。

 っていうか、鼻たれ野郎のバカ息子って王子様の事だったのか…。


 「では、あの壇上に上がっているやつはただのバカ野郎なのか…」

 「…」

 ん?

 えーっと、うん、お兄ちゃん?口が悪すぎませんか?

 っていうか、今、ルドガー王子ですっていっている彼が王子でなかったとしたら、それこそとんだ馬鹿野郎ですし、結構な大事件になっちゃうと思うんですけどね。

 そもそも、彼が王子でなかったら色々驚いちゃうんですけどね。ええ。

 

 っていうか、王子じゃなくても『ただのバカ野郎』って…


 「…お兄ちゃん…」

 「なんだ?」

 「お口にチャック!」

 「む?なんだそれは」

 「入学式が終わるまで、何らかの言葉を発したらお兄ちゃんと今日一日、口をきいてあげません。それに、腕と脚を組むのは止めてください。お兄ちゃんともう呼びませんよ!」

 「む…」


 何故だ…という顔をしながら、それでもお兄ちゃんは腕と脚を組むのを止め素直に姿勢を正すともう興味を失ったという顔をすると熟睡体制に入ったのだった。

 うむ、よろしい。


 私はそんなお兄ちゃんを見つめ頷くと姿勢を正し、再び熟睡するべく瞳を閉じたのだった…。

 いや、実はお兄ちゃんの所為でまだこちらをチラチラ見る視線に私が耐え切れないので。これはもう、目を閉じて素知らぬふりをするに限ると思うんですよ、ええ。

 っていうか…よく分からないけど、お兄ちゃん、王子様とか嫌いなんだなー…鼻たれ野郎のバカ息子って、何それ…まぁ私も好きではないけれどねー…でも…王子様と学園イチャコララブを端からみられるかもしれないだなんて…それは、それで、レアかもしれない。

 うん、そうだよね。


 くふふふ。


 うん!この学生生活、楽しみです!!

 

 色んな人からの視線が少し気になったけれど、せっかくの転生生活なので気にしない事にして学生生活を楽しもうと決意を新たに眠りについたのだった。

 



パソコンがねー、何故か時間帯によって文字を打つのが異常に遅くなる事があってやる気をそぐそぐ。

「ぱそこんが欲しい」この文字を打つのに、途中で固まって途中で動かなくなって…。

何度かそっと強制終了をしていましてね。

そうか、今日は小説を書くのは止めなさいって事かーと小説を書くのを止めた日が何度かありましてねぇ。

つまり。

パソコンが欲しいー。文字を打ち込んでも止まらないパソコンがほっすぃーい。


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