入学式2
完徹明けの入学式は拷問か否か。
現在、クラス毎に分かれて左側には魔術学校の生徒が。右側には騎士学校の生徒がキチンと並べられた椅子に腰を掛けている。
制服の襟のところに刺されているピンバッジの色で魔術学校の生徒か騎士学校の生徒かが一目瞭然で分かるようになっている。
…そういえば私…今更だけど魔術学校に行きたいとかお兄ちゃんに言ってなくて本当によかった…。何せ現在、主流の魔術である魔石工魔術のレベルが一般人よりも劣っているというか生活に必須な基本的なものしか使えないという泣きそうなレベルなので、きっと入学すら出来なかったに違いない。
っていうか、あー…。ダメだ。これ、寝るな。
うん、寝るな。
よく分からないが、来賓の偉い人の話しが子守歌に聞こえる。
あー・・・・。
眠い目を寸前のところで止めながら前を見ると、私の前の金髪の男性も頭がゆらゆらしている。
…寝ている…。
一定の緩やかな速度でこっくりこっくりやっていらっしゃる。
…わかるー。
わかります!!!
そういえば、お兄ちゃんはどうしているかなと隣を見ると、爆睡していらした。
ええ。そうですよね。わかります。
眠いですよね。
なんたって身体は人間ですから睡魔もそりゃ襲ってきますって。ええ。
それでは遠慮なく、私も寝ちゃおうと潔く目をつむろうとしたところ、前方右側から視線を感じる。
…ん?
…あれは…もしや…
…ローレンス様だぁ。
ローレンス様が滅茶苦茶死んだ目をしてこっちを見ている…。
どうやら私の前の生徒が盛大に寝ている為か、金髪男子を凝視している。
…。
よかった。私を見ていたわけじゃないわー。
よし、寝よ。
そう思ったのに…何だろう。今度は、もう少し壇上の左側の方からの視線が痛いような…。
そうっと壇上の上を見てみたら、ローレンス様より少し年を重ねた、これまたイケメン男性と目線がばっちり合ってしまった!
「うおっ!」
顔を急いで前の金髪頭の影に隠すも、声が漏れた。
ちょっと恥ずかしい。いや、でも勘弁していただきたい。
いや、だって、あれ?
目、合ったよね‥‥。
なんか、えらく仰々しいローブを纏ったスラリとしたイケメン男性と。
あれ?
そろ~っと再度、前の金髪頭の影から顔を出すも、今度はばっちり目が合ったどころか笑顔で微笑まれ、その男性の視線に気付いた人がこちらに注目してしまう始末。
「う…」
すぐさま顔を引っ込めるも、少し注目を浴びる。
…これはーあれだ。
とりあえず、姿勢を正し、目をつむった。
よし。よくわからないが、なかったことにしよう。
そうこうしているうちに、来賓の方々の祝辞がいい塩梅に子守歌に聞こえてきて知らない間に夢の中に旅立っていったのだった。
…あぁ、そうか。前の金髪男性は寝ているし、お兄ちゃんも爆睡しているうえに、そういえばお兄ちゃんの容姿が目立つんだった…あー…だからかぁ…お兄ちゃんの髪、実は微かにキラキラしているんだよねー…いい素材だよねー…。
また伸びたら、もらうんだ。
そう思いながら、姿勢を正したまま、寝た。
Dクラス、整列が後方でよかったわーとも思いながら。
あまり進まなくて申し訳ナッシング。
ほえー。脳が働かないでやんすー。
台風また来ているでやんすー。フンガフンガ。




