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買い物3

ギルドではお金は下せませんでした。


項垂れる私にお兄ちゃんが手を差し伸べる。


私がいた時代では、ギルドといえば仕事及び個人資産や個人の証明書など全ての業務を一緒くたに引き受けてくれる貴重な組合だったのに。

200年たつと色々変わるのだなとしみじみ。

いやぁ…まさかの個人資産の扱いは別だとは。

先ほど、ギルドの受付の可愛いお姉さんに笑顔で「こちらでは、個人資産等の扱いはありませんよ?」と言われた言葉が頭の中を反響している。

その言葉の後で言われた衝撃の事実。


そう。現在のギルドはいわゆる各州を股にかけて仕事をしている騎士や魔術師に対しての仕事を斡旋する所を重点的に特化した場所になっているらしい。

故に、個人資産や証明書の発行などは国が運営している違う場所が管理しているとのこと。

で、その個人資産を管理している場所はというと。

ギルドと反対側に位置していて歩いていくには少し遠い。

この商業地区のブロックを超えて大通りを更に中心部へと進んだ右側にあるという。

で、現在その事実を知り腰から砕けた私に優しく手を差し伸べているお兄ちゃんが目の前にいる状態だ。

ああ、あの時、ギルドはどこですか?という質問ではなく、個人資産を扱っている場所はどこにありますか。と最初の乗り合い馬車の方へ聞くべきだったと後悔。

ギルドに行けば何とかなるという昔の知識で先走ってギルドはどこですかという質問をしてしまった数分前の私を止めたい。

ここから行くの、遠いなーと新たな目的地の方へ死んだ目を向けている私に優しくお兄ちゃんの手が差し出されている。


「とりあえず、お昼でも食べよう?」

ここでこうして後悔してもしょうがないしなと気を取り戻し、お兄ちゃんの優しい言葉と共に私に差し伸べられた手を取る。

「…お金、ある?」

お金を下ろすことに出来なかった私は一文無しなのだ。

「勿論、ある」

お兄ちゃんは私の手を引っ張るとお金はあるから安心してお兄ちゃんに任せなさいとキラキラな笑顔で笑った。

あ、いかん。

お兄ちゃんの顔、滅茶苦茶整っているんだった。

笑顔が目に刺さった。

双子なのに。

双子っていう設定?なのに。

赤くなったら負け。という気がしてスンと無表情を作る。

「…その表情は何かな…」

「何も…ちょっとお兄ちゃんの顔が凶器だなと」

「…ん?」

僕の顔、凶器なの?と不思議そうに顔を触るお兄ちゃん。

心を無にする私。

あー。顔が無駄にいいって罪なんだなぁとしみじみする。

笑顔が眩しいお兄ちゃんに早く慣れなくては。

お兄ちゃんの笑顔に顔を赤らめる妹という場面だけは何となく避けたい。

客観的に見て痛すぎると思う。

確かに大好きだった大衆小説の中には義理の兄に恋をするお話もあったけれど。

現実ではいかがなものか。

まだ全然慣れないんだけど、この状況に慣れないとなぁ…とお兄ちゃんの手を握りながらしみじみ思ったのだった。


短くて申し訳なし。

眠くて。死にそう。

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