買い物2
乗り合い馬車に揺られる事数分。
街の入り口に到着した我々は、ギルドへと足を運ぶ。
「本当に行くのか?」
「はい!」
「お金は大丈夫なのに~」
ぶつぶつ何かを呟いているお兄ちゃんを引っ張って先ほど、乗り合い馬車に一緒に乗っていた方から聞いたギルドへと足を運ぶ。
馬車から降り、街へと入った瞬間から道が舗装されていることに驚く。
「…石、かな」
「薄く加工された石だな。大型の馬車もこれで楽に行き来できるようになったらしいぞ」
歩くとコツコツと足音がして、そても面白い。
私は立ち止まると足をトントンと何度か地面につける。
「へー・・・・」
どうやって敷いたのだろう。
平面になっている石畳はとても綺麗で驚く。
大通りを連ねているお店たちも、外観がとても綺麗だ。
魔獣被害が減ったり、他国から攻められる脅威がなくなったからかな。
道は本当は広い方がいいんだけれど魔獣が大群で攻められると困るという理由で道幅は以前狭かったはず。
道幅が広く商業施設がこんなにも立ち並ぶ現在は本当に平和になったんだなとしみじみする。
「ピンクや青、様々な外観で何だか可愛いね」
街中もカラフルな色であふれていてとても綺麗だ。
「確かに可愛いな。街を離れると茶色とかの色合いが強いが、ここは歩くだけで面白い」
お兄ちゃんの言う通りだ。
まるで魔法みたいなお店が立ちならぶ。
その昔、獅子の称号を持つ者だけが通うサロンのようなところがあった。
随分と通っていなかったけれど、それらの小型版のような店が立ち並んでいて面白い。
早くお金を工面して、お店の中まで見てみたくなり再び奮起する。
金だー!
世の中は金なのだー!!
ふふふふーん。
私、こう見えてもお金を使う事がまるでなかったため貯金には自信があります。
なんてったってお金をかける相手もいなかったしね!
血涙。
昔を思い出して涙が少し。
くっそう。
余計な事まで思い出してしまった。
今世は必ずやベタベタなお金の使い方をしてしんぜよう。
着飾る。とか、美味しい物を食べるとか。あ!お父さんお母さんにお土産も買って行きたい。
夢が大きく膨らみます。
あー嬉しくなっちゃった。
ここで祝福をひとつー!
祝福魔法を打ち上げようと両手を高く頭上に挙げる。
「しゅ!」
祝福ー!!と祝福を打ち上げようとしたら後ろからお兄ちゃんに頭を掴まれた。
痛い。
「何するんですか」
「何するんですかはこちらのセリフだ。お前は何をする気なのだ」
大きな手が私の小さな頭をがっつり掴んでいる。
「興奮したので祝福を放ってあげようかと」
「…お前は興奮したら祝福を放つのか・・・」
大きなため息が頭の上から聞こえてくる。
「ダメなんですか?」
ダメなのだろうか?昔は滅多に幸せな気分にならなかったから祝福なんて魔法使う事はなかったから、たまに使うとそれはそれは喜ばれたものだったので。
「いや、僕はいいんだがなぁ、たぶん、ここで放つと捕まると思うぞ」
…え…何それ怖い。
「捕まるの?」
「捕まるなぁ」
教訓。
街で祝福魔法を使うと捕まるらしい。
誰にだろう。
分からないが今後は気を付けようと心に誓った。
っていうか、お兄ちゃん私よりこの世界に詳しい気がする。
私、人間なのに。
何故か悔しくなる私だった。
「お兄ちゃん、何でそんなにここの世界の事詳しいんですか」
「それはな、お兄ちゃんだからだ」
精霊のお兄ちゃんに人間の世界の常識を教えられた私は自慢げな顔をする兄を少しにらむのだった。
久々の休日って、録画したドラマみてうとうとしていたらもう夕方で泣いちゃうよね。
そしてドラマは中々消費できなくて、泣いちゃうよね。




