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騎士総長エドワード1

国の重要人物が一同に介し、王立の騎士学校及び魔術学校の二次面接を行うその日の夜は王とベルグマント主催の夜会が開かれる日として毎年、お祭りの様な騒ぎになる。

城下では、騎士学校及び魔術学校に通う者は勿論の事、晴れて入学が許された者たちやその親類縁者が集まり祝宴を上げる。

それに伴い、普段は厳重に閉じられている城の門も開放され一般の者も庭園までの往来が許されており、この庭園を一目見ようと騎士学校及び魔術学校に縁のない者も、この日を目当てにやってくる者たちも多い。

城門を入って左の庭園は、幻想的な魔術のランタンにより、ほのかに青く照らされた王妃自慢の庭は王立の魔術学校に通う者たち総出で様々な催いが奏でられている。

人の気配でほんのりとピンクや黄色、水色といった淡く優しい色合いの光が幻想的に庭園を包み込むさまは、まるで精霊の世界へ足を踏み入れたかの様だと称され、庭園中央にある噴水では、水の精霊を模した女神の像が微笑みかけては水と氷の魔術により水の結晶が円を作り噴水の周りを色鮮やかに飾り立てている。

例年、魔術学校に通う成績優秀者を先導に様々な趣向が凝らされているため魔術学校に通う最上級学年の者の何人かはあまりの過酷さ故に姿を消すと言われていたりするが。それ程までに力を入れられた庭園は若者の告白の場をしても有名で、庭園には若い男女が所狭しとあふれている。

逆に右の庭園は広大な芝生が広がっており、芝生の上に一定の間隔をあけた者たちが夜空を寝ころびながら見たり、愛を語ったりなど様々である。

そんな庭園を上から眺めながら昼間と変わらず金の刺繍が施された白い軍服に身を包んでいる金髪の男が苛立ちを隠さなずうなっていた。

「もう!僕、帰っていいかなぁー!」

普段は喧騒にも慣れているはずの白士団長のローレンスが珍しく苛立っている。

「どうした、ローレンス。お前、こういうお祭り騒ぎ好きだっただろう?」

銀獅子と有名な黒士団団長のーハロルドの言葉にローレンスの側近であるネイサンが強く頷き返す。

「好きだよ?好きだけど!本来なら僕だってあっち側なのに!」

あっち側とは、今いる城の中ではなく、城の外。つまりは庭園にいたのにと言いたいのであろう。

現在、ハロルドとローレンスを筆頭に騎士団の重要人物たち。

つまりは、それぞれの士団長であるハロルドとローレンス。そして副団長である、ネイサンとニコラスの四人は今日の獅子の紋章が現れた羊皮紙を持ってベルグマントの騎士総長を担っている人物に会う所なのである。

「もー。なんであの時、僕、帰しちゃったんだろう」

そういうと、ローレンスは両手を顔に埋める。

合格だよ。お家に帰っていいよ。と、獅子の紋章の訳を聞くわけでもなく士団長自らが帰宅を促してしまったのだから言い訳の仕様もない。

「本当にな…」

ハロルドも遠い目をする。

ネイサンに関しては死んだ目をしている。

因みに、ハロルドの側近である副団長のニコラスだけは通常通りの真顔である。

ネイサンに関しては、いつもローレンスのミスをカバーしているが故に今日の失態は許せないのかもしれない。

「何故か、あの時はこんな幼気な少女を脅すような真似はしてはいけないんだ!って強く思っちゃったんだよね。あれって実は、何かの魔術だったの?」

「いや、精神に関与する魔術を使用しているならば、それこそ悪行として羊皮紙に記載されるはずだからそれはない。むしろ、善行としてのこの獅子の紋章が浮かび上がっている事が問題なのだから」


獅子の紋章はそれぞれの業績により色がある。

今後、王立の騎士団に通うはずのキャサリン・ヴィルフリートなる少女の羊皮紙に浮かび上がった獅子の紋章の色は光り輝く白銀。

慈愛の色だ。

慈愛の色の紋章が浮かび上がる事はとても珍しく、初めて見たといってもいい。

だからこそ、騒然としたのだ。


因みに、ハロルドとローレンスの獅子の色は国を魔物の脅威から救った善行により現れた、赤い獅子の紋章が浮かび上がっている。

以前、龍を倒した時の業績である。


いずれにしろ、これから騎士総長に会って指示を仰がねばならない。

分かっている事は、本人が確かに16歳の少女であったことだけという前代未聞の事態に目を伏せたくなるハロルド達である。

四人が何とも言えない顔で並んでいると、王立騎士団の群青色の制服を纏った者が扉の中から現れ彼らを招きいれた。

中央の椅子には、にこやかな顔をした騎士総長エドワードが悠々と座っていた。


「よく来たな阿呆ども」


金色に縁どられた群青色の軍服に身を包み、年齢にそぐわない、いたずらっ子のような瞳で四人を眺める。

後ろには、これまたにやりと微笑んだ魔術総長のエドウィンが腕を組みながら控えている。

魔術総長だというのに、鍛え抜かれたその体躯は騎士総長エドワードと大差ないようにも思える。

「で、見せてみろ」

挨拶など後でいいから見せろと態度で言われ、そっとハロルドは問題の羊皮紙を差し出した。


まるで面白いおもちゃを与えられた子供の様に二人から羊皮紙をのぞき込みながら、おおとか、これはまた、などの声が上がる。

「面白い!」

ドンと音を出し、エドワードが問題の羊皮紙を机の上に叩きつける。

そして、さらに言葉を紡ごうとしたその時だった。


ドン!!エドワードが先ほど机の上で音を出したものとは比べ物にならない、まるで大砲が空から降ってきたかの様な大音量の爆音が響いたかと思うと、きらびやかな装飾にシャンデリアが飾られていた天井が一瞬のうちに夜空へと変わる。


「なんだ!?」


それぞれの手に携帯していた剣が握られ、構えるものの、天井があったはずの頭上には星が煌めき一瞬にして空間は夜空へと変貌を遂げ圧倒されて動けない。


ため息が出る程、美しい夜空に圧倒され動けなくなっている一同を嘲笑うかの様に、爆音と共に中央に上がった光の柱は頭上高く上がり天まで上っていく。

天まで届いたかの様に見えたその光の柱は、一瞬夜空に隠れたかのように見えた次の瞬間。

眩しい煌めきと共に、火の玉が色とりどりの色彩を放ちながら大輪の光の花を咲かせ州全体を包みこむ様に煌めきながら消えていった。

後には、余韻と共に光の粒子がそれぞれの頭上へとキラキラと煌めきそれが永遠の出来事だったかのような余韻をもたらしている。


誰かが動いた音がして、己が息を止めていたのだという事にハロルドは驚く。

既に天井は夜空ではなく、見慣れたきらびやかな白と金を基調とした装飾のそれに戻っていた。


一瞬遅れて、今度は外から人々の感嘆の声が響きわたる。

と、さらに続けて3発、先ほどと同様の爆音が聞こえ天井が夜空に代わり天から光の大輪がまた花開き騎士総長及び魔術総長含めた彼らを圧倒したのだった。







明日もー仕事ー。

寝るー。

もう、寝るー。

なにやら今回は真面目な文章というか似合わない文章を書いたわけですが次回はまたふざけた感じに戻る予定です。お兄ちゃんが足りない。

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