また明日。
切っ掛けは何であったにしろ、全てを解決するには単純なことだ。
つまりーー、ふたりが出逢わなければ良い
ただ、それだけのことであったと。
しかしこれはあくまでも彼による主張が強かったのだろう。
『夢探偵』としていくつも仕事をこなしてきたなかで、あまりにも甘っちょろい。
正直、彼からしてみれば思春期のラブコメーー、そんな風に思えていた。
実際、泥々の昼ドラみたいであったとしても、だ。
果たして、ドコを切り取れば良いのか。
つまり、ただそれだけの話しであったのではないだろうか。
だがしかし、この職業を選んだからには。
悪夢を取り除き平穏で、克つーー
依頼主に安らかな眠りを提供したい。
使命とは、こういうことだと改めて感じる。
「ひぃ。ふう。みいーー、よう」
これで食ってきた。
札束と小銭を数えて、また明日に繋がるだろう。
ともあれ、それは昨日までの話だった。
気持ちを切り替え、ぜんぶ忘れてしまおう。
早朝、眠たげに眼を擦る。
そんないつものルーティーン。
なんだか、美味しそうな香りがする。
これはーーベーコンエッグだろうか。
「遊夜さ~ん、何かまた、美味しい話ありました~?」
寝癖がひどい助手が切り出した。
フライパンの中身はすでに盛り付けられている。
予想は当たっていた。
「ん~っと…………」
歯ブラシを咥えつつ、手にした封筒に。
もう、勘弁してくれよと。
また、新しい1日が始まる。
「次はね~」
それが宿敵による挑戦状だとはまるで思いも寄らなかった。
この特殊な職業は、そんなに珍しくはない。
同業者もいたし、ラスボスらしき存在もいた。
彼の活躍を疎ましく思う、そんなモノも。
こんがりと焼かれた食パンにベーコンエッグを乗せて二つ折りする。
ケチャップの酸味に遊夜はやがて、いつものように。
まだ悪夢に苦しむ人を救うために、活力源となってゆく。
「珈琲、淹れてくれる~?」
「は~い」
新しく手にしていた封筒に。
まだ、内容には目を通さずに。
手短に済ませました。
続きは、またいつか!
(((((((・・;)