ギャラリー。
まだ、始まったばかりです。
どうか、ごゆるりと。
「はい、あなたはもうすぐ夢を見ま~す」
ものすごく胡散臭い催眠術のように。
長年付き添った助手、日南子ですらいまだに眉をひそめている。
そもそも依頼主は寝られずにいたというのに。
だが、そんな特殊なパターンを無視して。
横たわった瞬間から依頼主が眠りに堕ちてゆくーー、健やかに。
これは流石と言うしかない。
「すやぁ……」
「よっしゃ、逝ったな」
「ちょっと遊夜さんっ、表現っ!」
日南子が心配するのも当然だろう。
履き違えれば、最早これは暗殺に等しい。
自由自在に寝かしつけるというーー、まずそこが凄い。
流石。 『夢探偵』と名乗っているだけはある。
「……で、やるんですよね?」
「ん? たりめぇじゃん」
優しく寝かしつけたからには、準備を済ませて。
依頼主の髪型を掻き分けて、その額にくちづけた。
まるで、おやすみなさいの儀式みたいに。
そこに遊夜は飛び込む。
他人の中身へと、物語と人生に。
決して深くは関わらないように。
遥か深い、海原へと。
そして、どうしてこうなったのか。
あくまでも客観的に、冷静にーー。
プクプクと泡をはきだしながら、シュノーケルなど一切装備しない。
一流のダイバーのように、やがて依頼主の悪夢の海原へと飛び込む。
まだ始まりから、中心部分に辿り着いてゆくにつれて。
「ははーん、なるほどね~」
経験値がモノを言う。
夜を遊ぶ者からすればこんなのは、赤子の手を捻るより容易く目に見えていた。
ただ経緯を事細かく知らなければならなかった。
やがて、渦巻く闇に呑まれてゆくのを堪える。
『夢探偵』と名乗るからには、それはどうしても避けられない。
遊夜は、依頼主の決して触れてはならない部分に、さりげなく覗く。
解決するために。
あくまでも不定期連載ですよー。
(^_^;)