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夢探偵。  作者: caem
20/20

おしまい。


「アッハハハハハハハ! もっと頂戴♪」


「いや、気持ち悪いしかないから!」


 相性が悪いとかしか思えなかった。

 悪夢を癒すのが()の全てなら、彼女の異能(チカラ)は相反する。

 ただ、納得できなかった。


「ほぅら、従いなさいな!!」


 依頼主の夢のなかに訪れた。

 漆黒のボンテージを身に纏う女王様はムチムチな美貌と、限りない色艶をさらけ出していた。

 刺のついた鞭を振るう様は妙に板についている。


 遊夜はただーー、その激しく打ち付ける威力に酔いしれつつ。

 入り雑じった複雑な感情に答えを見出だせずにいる。

 宿敵ーー、女王様の執拗な暴行にただ、快楽だけが増してゆく。


「ありがとうございますぅぅぅ!!」


 あくまでも夢の中でのひとこまである。

 そこに、助手である日南子は関われない。

 依頼主である紅葉(もみじ)はまだ、遊夜の寝室兼ーー。

 ソファーでまだ安らかに吐息を吐いているぐらいだった。


「さぁ、決着をつけましょうよ~」


 隙間から見える。

 太ももや、二の腕など。

 況してや……、ふくよかなふたつの塊は夢の中であるとしても、燻らされるを否めやしない。



 だが、これで終わりにしよう。

 遊夜は奥の手を出した。


「往生、せいやぁぁぁぁぁぁ!!!!」


 その瞬間、火柱が迸った。





 ☞ ☞





「うん、美味しいよ」


 珈琲を嗜むのは日常だった。


「エヘヘ~、そうですか?」


 助手による毎朝の、いつものやり取り。

 レタスとハムによる、絶妙なバランス。

 とある伯爵の功績を称えるしかなかった。


 サンドイッチは朝食としてじつに相応しかった。


「ずず~う」


 少し擽るぐらいで良い。

 夥しい活字は眺めるぐらいで良い。

 新聞を片手にして遊夜は。

 ありふれた日常と異世界の。

 その狭間(はざま)で楽しむ。


 しゃきしゃきとした食感がこれまた嬉しかった。


「レタス、ちょっと多めにしてみました……」


 決して彼の機嫌を損なわないように。

 日南子は遊夜の返答にドキドキを隠せなかった。


「うん、美味しいよ♪」


 諄いぐらいが丁度良い。

 そんなーー、日常染みた景色にタンポポの綿毛がふわふわと。

 暑苦しい、向日葵が咲き誇る。







「邪魔すんで~」


「邪魔すんのやったら帰って~」


 また、始まる。

 喧しい日常が。


 これはーー、心理カウンセラーに成り損ねたカフェイン中毒の探偵による短い物語りだった。


「あ、来てますよ~」


「お、どれどれ~♪」


 ポストから取り出して、また新たに紡がれる。

 それはまるで、いつものように。


 夢探偵ーー、遊夜の1日はまた始まる。

 終わることなどは決して、有り得やしなかった。


ほんのちょっとした作品でした。

お付き合いくださり、ありがとうございます。

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