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夢探偵。  作者: caem
16/20

マリア。


「うふふふふ……」


 それは変質者(ストーカー)というしかなかった。

 ただ、とびっきりの美女でもあった。

 漆黒の黒髪は腰まで届く、上から下まで……。


 豊満な(バスト)と、(くび)れたウェスト。

 見事な果実の如く、まるで桃みたいな臀部(ヒップ)から爪先に至るまで。

 まさしく現代に甦ったーー、マグダラのマリア(・・・・・・・)みたいに。

 それは『罪深い魔女』が水晶球を眺めていた。

 

「さてどうしましょうか、師匠(マスター)


「焦らないのよ? まだじっくり……観察しましょう」


 夢探偵(・・・)という職業があるならば、対する職業もあった。

 それはむしろーー、その存在があったからこそ成立していたのではないだろうか。


 表向きは疲れきったサラリーマンの憩いの場である。

 昼は喫茶店、夜にはbarを営んでいた。

 歌舞伎町では有名だったーー『胡蝶(・・)』という看板は。


「ママさん、今日もきたよ~♪」

「ねぇ、このあと✕✕しない?」

「ものすごく似合ってるーー、だからさぁ」


 賑わっていたその場は、彼女(・・)にとってただの食事会でしかなかった。

 歌舞伎町の女王蜂が、それらすべてを平らげてゆく。

 やがて…………


「あのひとはワタシだけのモノなんだからぁ」






「…………なんか、寒くない?」


「? 暑いぐらいですけど??」


 もうすぐやってくるだろう正念場に。

 遊夜と日南子は互いの趣味に費やしていた。

 

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