だから俺は命を絶った
これは私が少し病んでいる時に聞いた話と実体験を混ぜ合わせたお話です。少し盛っているところがあるので暖かい目で見てください
死のうとしている人間が、生きる理由なんてないと誰かに言ったとしようそうすれば大半の人間は生きるのに理由なんていらないと言うだろう実際私もそう思う、だがしかしこれは死ぬ理由がないという前提条件の元成り立つ話だ、死ねる理由があった場合生きる理由がなければ必然と死のうと考える……そうだから俺は「命を絶った」
俺は太郎17歳、実家で母親と妹と3人暮らしで過ごしていて県内の高校に通っている何の変哲もない普通の人間だ。
俺は割と生きることに対して苦悩を覚えることがない人間だった、故に自殺のニュースや死にたいなどとネットで嘆いている人達を見ると疑問に思う、「何故生きるのに理由がいるのか?」「明日になれば何か変わるかもしれないだろ?」と綺麗事を並べる程にね。実際に明日死のうとしている人ともネットで話したことが何度もある、だが全くもってなんで死ぬのか分からなかった。「確かに死にたいと思うほど辛いことがあったのかもしれない、だが生きていればいいことがあるかもしれないじゃないか、だから死ぬのは辞めなよ」これが俺の決まり文句だった、しかし次の日に連絡が来ることは今まで一度もなかった…「あ、また救えなかった…」俺は毎回この程度にしか考えていなかった。そんな俺がある日、思いもよらない自体に出くわしたのだ。いつも通り教室で友達達と他愛もない話をしてる時先生が青ざめた様子で「太郎今すぐ帰る支度をして急いで相談室に来なさい」俺はなんのことか全くわからなかった、俺は至って真面目な生徒である相談室など今まで1度も呼ばれたことがない。めんどくさいなと思いながらも相談室へ向かった。「先生なんですか?」俺がそう訪ねると少し言いずらそうにこっちを見た。俺は先生が唾を飲んでいるのがわかった、「実は君のお母さんが今朝亡くなった…」俺は意味がわからなかった「え?…今なんて」聞き返すしか無かった。「君のお母さんが今朝亡くなった…仕事に向かっている途中大型トラックと衝突したそうだ」僕は先生に尋ねた「母は今どうなっているのですか…?」と「今は○○病院で眠っています…」
僕は今までにないぐらいの速さで病院に向かった、足がもつれ何度も転けそうになり、肺に酸素が入ってないと自分でも分かるほど息切れしていながらも走っていた、病院につくとそこには妹や母の親族などが皆涙を流しながら大声で叫んでいたそれが俺には音の外れた曲のように聞こえた。それは今まで聞いてきたどんな音よりも酷く、そして最も感情の籠ったメロディーだった。僕はすぐさま母親の元に駆け寄り手を握った。まだ少し暖かかった、だか顔は真っ白になっていて今日の朝「行ってらっしゃい」と明るく見送ってくれた母と同一人物だとは思えなかった、俺は最後に何を言ったのだろうと考えた「何も無い…」そう何も言っていなかったのだ、「行ってらっしゃい」に対して何も言わずに出ていってしまったのだ。その申し訳なさ、悔しさそして何もまだ親孝行ができていなかった自分に腹がった、できることなら入れ替わりたいそう思うほどに…手を握ると、とても女性の手だとは思わなかった…その手は女手一つで2人の息子を育てる1人の母の手だった。僕は涙が止まらなかった、ひたすら叫んだ、だがそれでも母はもう帰ってこない、そう思っても涙が止まらなかった…今は泣くしか無かったのだ。「今日はもうおかえり、葬式などの手続きはおばさん達がしとくからね」僕は素直におばさん達の指示にしたがった、というより逃げたかったのだ、まだ母は生きている、あれは夢だ、どこがでそう思いたかったのだ。自分でもわかっているだがそうする他なかった、帰る途中妹が僕に対してこう言った「もう生きていけないね…」聞きなれたフレーズだった…だが重さが違った。自分で体験したからだ、妹の手は震えていた俺はぎゅっと妹の手を強く握り締めながら「大丈夫、俺が稼ぐから、心配すんな」そう言った。だが妹の耳には届いていなかったのだと思う。翌日お通夜、葬式が終わりある程度心の整理が出来てきたある日、その日はいつも通り買い物を済まして、俺と妹との分の料理を作っていた、「もうすぐできるぞ」返事はない、これも慣れてしまったものだ、出来た料理を妹の部屋の前まで持っていく、「ここに置いとくぞ」これも言い慣れたものだ、俺はリビングで作ったオムライスを食べる「最近は料理も上手くなってきたな…」嬉しいようでどこが悲しい気持ちだった「かあさんもこんなに苦労してたんだな…」そう思うと自然と涙が止まらなかった。またここからやり直そう妹もいつか元気になって一緒に頑張っていける。どこかそんな自信に満ち溢れていた。毎日が少しずつ良くなってきていたある日家に帰ってきた時俺はすぐに異変に気づいた、家からオムライスのできていた匂いがしたのだ。俺は嬉しくなって扉を開けリビングに突っ走った、「嘘だろ……」そこは地獄だった…妹が座った状態で自分の喉をナイフで切っていたのだ。僕はその場に倒れ込んだ、おそらく気を失っていたのだろう。もうとっくに深夜を回っている「頭が痛い…あれは夢か」と信じて再び目の前を見ているが景色は変わらないむしろ悪化すらしていた、僕は何も言わず、何もせず、椅子に座り、妹が作ったオムライスを食べた。「冷たい…」当然だ、出来てから何時間もたっているのだから、だが今まで食べたオムライスで一番体に染みるオムライスだった、それはまるで妹の叫び声を具現化したような味で心にナイフを刺してくるかのような痛みだった。「ご馳走様でした」食べ終わると僕は机の上に手紙が置かれていることに気づく。それは紛れもない妹の字だった、「背景太郎様へ、お母さんが死んでからいつも家事や料理をしてくれてありがとう、お兄ちゃんがこの手紙を読んでいる時は私はおそらくこの世にいません、ですが悲しまないでください、私は生きる理由がもう無くなったのです。心が壊れ、毎日幻聴が聞こえたり幻覚が見えたりでいつお兄ちゃんを傷つけてしまうか心配で最近は夜も眠れていません。私は先にお母さんのとこにいくね、多分怒られちゃうけど笑、それでもお兄ちゃんは強く生きてね、私はお母さんと一緒に上から見守ってるね。大好きだよお兄ちゃん。」僕はこの手紙を左ポケットに大切に入れた、「今すぐそっちに行くからね」そう言って僕は自殺を図ろうとしたその時「ガチャ」家の扉が開いた、「誰?」暗闇の中から現れたのは死んだはずのお母さんだった「太郎、あなたはどうして死のうとするの?死ぬ必要はあるの?」「僕はもう生きる理由なんてないよ」「生きる理由がなければいけないの?」聞いたことのあるフレーズだった、そうか僕がいつもみんなにしていたことはこういうことなのか「所詮僕もただの偽善者だったんだな…」そんな母の問いに対して僕はこう答えた「死ぬ理由がある場合生きる理由がなければ必然と死のうとするんだよ」
「そう……」
「だから……」
「僕は命を絶った……」
翌日家に警察が通報を受けやってきたどうやら腐乱臭が気になり隣の住民が通報したらしい、警察の調査によるとどうやら死亡推定時刻の時間にこの家に居たのはこの2人だけらしい太郎が見た死んだはずのお母さんは一体誰だったのだろうか…それは誰にもわからない。
太郎が僕と俺を使い分けているのにはちゃんと理由があります、勢いで書いたお話なので、異論は認めます。ここまで読んでくださったかたありがとうございました、是非皆様は太郎と同じ環境下にいたとしても前向きに生きてください。