七話〜あの日の天井〜
「……ふみ。…さふみ。おい、正文。」
ふと、目を覚ますと、目の前に兄貴がいた。
「正文。飯出来たぞ。」
「ああ。」
まだ眠気が覚めないまま、ベッドから起き上がる。どうやらあの後、寝てしまったようだ。
俺の頭の上には、あの日と同じ天井がある。
時計を見ると、もう7時だ。帰ってきたのは、1時過ぎだったから、それから6時間も寝てたみたいだ。
いろいろと、することもあったが、もう過ぎてしまったことだから、どうしようもない。
とりあえず、飯を喰おう。あの天井から逃げるように、ダイニングへ向かう。
テーブルの上には、ナポリタンに唐揚げ、フライドポテト、ハンバーグと、見るからに、カロリーの高そうな物が並んでいた。
「なんじゃこりゃ!!」
思わず声をあげてしまった。
「今日は、入学祝いに、正文の好きな物ばかり作ってみたんだ。美味しそうだろ。」
「体に悪そうだな。」
「うぅ。……確かにそうかもしれないな。」
なんか兄貴が落ち込んじまった。
飯を喰い終わり、気のせいかもしれないが、腹の底が油の膜で覆われているみたいだ。
なんとなく、動きたく無かったので、今日は早めに寝ることにした。
あの天井を見上げながら。
また、来てしまったの?
こちらの世界へ。
あの時言ったはずなのに。二度と来ない方が良い、って。
でも、あなたは毎晩来てしまう。
そんなにこちらの世界が好き?
それなら…………。
続く。