四話〜幸運な不幸〜
マジか!!
どうしよう。内容とか言われても、分からないからな。また凌ぐしかないのか。
「私は、羅生門、河童、鼻とかが好き。あなたは?」
………???
「えっと………羅生門は好きだよ。」
適当万歳。羅生門って何だっけ?
「芥川龍之介の作品のどんな所が好きなの?」
「作風かな。」
「河童は、28号が狂ってると思う? 私たちが狂ってると思う?」
「に、二十八号。」
「…………?」
「…………。」
もう10分以上質問をされつづけただろうか。今まで切り抜けてきたが、正直もう無理だ。って時に、良いタイミングで、今の俺にとっては幸運のような、不幸がやってくるのであった。
「紅羽!岩蕗! もう自己紹介終わってるんだがな。」
はい。担任です。
担任サンキュー。
遠くのほうで、山崎が笑いながらこっちを見ている。なんか妬けにムカつくのは気のせいだろうか?
「はい。じゃあ私も自己紹介します。えー、一年六組の担任になった、大谷です。一年間よろしく。」
その後、入学式も無事終わり、山崎と共に帰途についていた。
「なんだなんだぁ。いきなり女の子狙いでいったのか? 羨ましいな。」
山崎がにやけながら、厭味っぽく、話し掛けてくる。
「違うから。馬鹿じゃないのか。」
「だから、馬鹿って言うな!」
とりあえず、三分待ちましょう。
三分経つ前に、俺の住むマンションに着いてしまったので、山崎の機嫌が治らぬまま、別れを告げた。