弐話〜新たな世界への階段〜
5分程で自分の名前を見つけ、隣にいる山崎に聞いてみる。
「お前はどこなんだ?」
「六組だけど、正文は?」
「よりによって、お前と同じか………。」これで、四年連続で同じクラスだ。
「よりによってってなんだよ。少しは喜べ。」
「ばーか。」
さて、そろそろ教室に向かうとするか。
「おい!ちょっと待てよ。馬鹿って言うな!」
山崎がなにか騒いでるようだが、どうせ三分も経てば鎮まる。カップ麺と勝負させたい位だ。
そう思いながら、この学校への階段に足を踏み入れてしまった。
階段を四階まで登り、やっと、これから一年間過ごすであろう、一年六組へとたどり着いた。
黒板に貼ってある座席表を見ると、<1番、紅羽正文>の名前をすぐに発見できた。俺の名前は<あかう>なので薄々感づいていたが、やはり出席番号は1番だった。だから勿論、席も、窓際の一番前だ。誰でもそうだと思うが、前の方の席は好きじゃない。なにかと面倒なことが多いからな。そして山崎の席は、当然廊下側の後ろの方である。
まぁ正反対だ。とりあえず席に座り、今日提出する書類などを、かばんから、机にぶち込んでいると、間もなく、四十歳位の何の変哲も無いおじさんが入ってきた。
「出席を確認しつつ、皆さんに自己紹介をしてもらいます。」なんか嫌な予感がする。
「では、出席番号1番の生徒から順に自己紹介をしてください。」
はい、予感見事に的中です。なんて喜んでる場合じゃない。自己紹介かぁ………。