表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/7

壱話〜此処から始まる物語〜

世界には二つのことしか無い。

幸福と不幸の二つだけ。


そう、生きる不幸と死ぬ幸福……………………………それだけのこと。




ふと、目を醒ますと、いつもと同じベッドの上。なにか変な夢を見たような気がしたが、それもすでに遠い記憶となりつつある。


今日は、高校の入学式。やっと、この俺、紅羽正文は、義務教育とか言う、ルールという名のロープで固く縛られた世界から抜けだし、自由という名詞(形容動詞だったかな?)が良く似合う、素晴らしき世界に足を踏み入れることになった。皆で汗を流し、共に笑い、共に泣く。なんて、暑苦しいことをしようとは思わない。青春なんて、正直どうでもいい。まあ、恋愛の一つや二つぐらいならしたいとは思う。俺だって男なんだし。

とか、考えてたが壁の時計を見ると、既に8時を回っている。そろそろ支度をしないとまずいな。

入学式の日から寝坊して、走って学校に向かう途中、曲がり角で、女の子にぶつかって…………それが同じクラスの子だった。なんて、漫画みたいな展開にはしたくないからな。

なんて思いつつ、俺はおもむろに、まだ少し大きめの制服に腕を通した。




辺りが、朝の喧騒に包まれる中を、俺は黙々と歩いてる。幸い、家から学校まで徒歩で行ける程の距離なので、すぐそこに見える駅に吸い込まれる人混みに雑じる必要は無い。毎朝あれだと大変なんだろうな、と心配する余裕すらある。

逆に、吐き出される人達に目を向けると、俺と同じ制服を着た人の固まりが幾つかある。

なんてぼーっと考えてると、いきなり後ろから肩を叩かれた。少し驚きながら、振り返ると、そこにあるのは、良く見知った顔だった。

「なんだ、山崎か。」

中学から三年間同じクラスだった山崎だ。

「なんだとは、なんだ!朝っぱらからシケた顔しやがって。」

「別にシケた顔をしているつもりは無いんだがな。朝だからじゃないのか。それにしても、お前はいつもいつもテンションが高いな。」

どうやったら、そんなに毎日楽しそうに過ごせるのか聞きたくなるくらいに、常にハイテンション、超ポジティブシンキングなやつだ。

とかなんとか言ってるうちに、学校が見えてきた。

掲示板に張り出された、クラス分け。膨大な文字の羅列から自分の名前を探し始める。「俺の名前は…………………」

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ