第十五話、俺、行きまーす(修羅場に)
第十五話です
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これからも励んでまいりますので今後ともよろしくお願いします
「(せんせー、俺あそこ行きたくないっす)」
『なーに、任せておけい』
不安しかねえ。
「(どしてぇ、どしてあそこ行かなあかんのぉ?)」
『おぬしのことを紹介するのに調度良いじゃろ』
そ、それって今しなきゃいけないの?
あんなことをしている中に突っ込んで行かなければならないほどのことじゃないと思う。俺のお披露目なんて些事だよ些事。今夜の戦いでちょろっと紹介するくらいでいいよ。
「それでいいと思うんだ」
『あれを止めるついでじゃ。はようせんと遅刻するぞ』
また出てしまった独り言に近くにいた女子生徒が反応した。いきなり喋り出したこちらを見てくるが目線が合うとすぐに逸らしてしまった。やはり顔だろうか。こういう時、だいたいこういう反応をされるのでちょっと悲しい。
『手を打ってやるから我慢せい』
回りの奴等も困っておるわい。
ミゼルがそう言うが早いか、紋様から魔力光が発し、昨夜の光の壁の様なものを作り上げていく。
『これは認識阻害、認識誘導のための結界じゃ。わしらのような存在以外は抗えん。今ここで起こっていることは誰にも認識されず、近寄らぬようにしておいた』
『(お前が神か)』
『無論、魔神だとも』
ドヤ顔決めながらの発言だというのが分かる態度で答えてくる。これは実にナイスだ。周りの注目を集めることなく割って入れる。
結界の効果出ているらしく、見物人たちがぞろぞろと校舎へ向かっていく。被害にあった娘もふらふらとした足取りだが、無事に校舎へと歩き出していた。
いきなり出現した光の壁に神田橋たちは一瞬警戒したようだが、見慣れているのかすぐに元に戻った。というか蛍川まで残ってんだけど。なに、あいつも関係者な訳?
『どうやら勇者殿は眷族をすでに持っておるようじゃの』
唐突な新ワードに反応しそうになるがどうにもそうはいかないみたいで、三人の視線が残ってる俺に刺さっている。こりゃいかなあかんね。
最近多くなってしまったため息を溢しつつ、俺は三人の元に足を進める。ああ、頭が痛い。
◾
数秒と掛からず対峙する奴等のところについた。若干の距離を空けているのがせめてもてもの抵抗ではある。そうやって俺は改めて顔を晒すのだった。
「やあどうも。朝からお元気なことで」
「誰だい君は? 見ない顔だね」
ちょっと皮肉ってやろうかと思えば神田橋はこちらを覚えていないらしい失礼な反応で返してきやがった。この前勝手に巻き込んでおいてそれはないと思うが相手はキチ、頭のおかしい奴だ。反応せんとこ。
「ふん、昨日の男か」
恨めしげな声を掛けてきたのは魔王委員長。普段の委員長と真逆の冷たい印象を受ける表情をしており、その目は紋様と同じ紫が掛かった色になっている。これが体を乗っ取られてる状態か。
こちらを睨んでくるのはおそらく昨日の夜、ボロクソに言ったのが原因だろう。でも、俺は悪くない。
「わしの契約者じゃよ。ほれ、おぬしらも姿を見せい」
俺の紋様からミゼルが出てきては俺の肩に乗ってくる。さて、どんな奴等なのかね、他の魔神様とやらわ。
「ああ、君の契約者だったのか。だったらこちらも挨拶をしないとね。おいで、レイ」
先に反応したのは神田橋。左耳に着けていたのはイヤリングだったようで簡単に外れ、その手の中から黄色い光と共に人の形の影が現れる。
「ごきげんよう。私が勇者を導く正しき魔神『勇ましき証明』レイですわ。この度はなんともご苦労様です」
「そして僕が契約者の神田橋 正道さ」
開幕早々若干ディスりが入るのなんなん?
魔神と言うより聖女だとか言われたほうが納得できそうな聖職者のような格好。ミゼルとは対比になるような金色の豊かな髪をしている。プロポーションも程よく、客観的に見て美しいと言えるが、こちらに対する嘲りがにじみ出たその顔がいけすかない。なんだこいつは。
「ふん、これでいいか?」
俺に向ける嫌悪感を隠しもせず、今度は魔王がその正体を露にする。委員長の額の紋様が光り、頭上に同色の光源が発生すると、その光を振り払うようにして姿を現した。
「我こそは真に世界を統べる者。魔神にして魔王、『支配する大願』モーンである」
威風堂々とした貫禄ある姿。紫のドレスに鎧甲冑を取り込んだような、バトルドレスとでも呼ぶようなものを着ている。それぞれのパーツが機能的に配置されており、華やかなドレスの印象を落ち着かせ、まさしく王と呼ぶに相応しい。ただし胸部を除く。
「この娘が我の契約者だ。名は知っておろう」
顎で委員長を示し紹介を終えた。その間委員長は意識がないのか薄く目を開けたままだ。自分の意思がない様はどうにも不安に映る。
「『見定めし祭壇』ミゼルじゃ」
「契約者の日駆 蒼一だ」
こちらとしてはあまり関わる気はない。挨拶もこの程度でいいだろう。こいつらに覚えてもらって良いことはない。
「ちょっと、私の紹介もしなさいよ!!」
もういいかと思っていたら、元気な声で割り込んできた奴、そうだ蛍川のことを忘れていた。
「そうだよ、こいつなんだよ?」
ミゼルから眷族だとか言われていたが実際のところどうなんだ。そんな意思を込めながら神田橋の方へ目線を向けた。
「そんな呼び方は良くないな。女の子には優しくするべきだよ?」
うるさいはボケェ!! さっさと答えんかい!!
「これは絹恵から説明した方がいいかな。じゃあ絹恵、頼むよ」
「任せて」
こっちのことなんて気にした風もなく呑気にやってやがる。こっちはさっさと終わらせたいんだけど、空気読めねぇな。
「私はレイ様の力で正道の眷族になった蛍川 絹恵よ。眷族って言うのは従者みたいなものね。正道だけじゃなく私も力を扱えるの!」
「(せんせー! どう扱えばいいですかー)」
脳内会話はまだ有効である。俺はこの事態をどうすべきかを問うた。
『これは・・・そうじゃな。モーンの奴に聞いてみるかの』
「モーンよ、どうする? 今までであれば同数での戦いで勝敗を決めておったが、おぬしに眷族がおらねばそうはならん。此度は一対一を望んでおったろ」
「無論よ。余人を介さず雌雄を決してこそ意味がある。一対一だ。そもそも昨日はその女、おらんではなかったか」
魔王の鋭い目線が神田橋たちに刺さるが堪えた様子もなく、
「勇者に仲間は居るものだよ。絹恵には昨日帰ってからバレてしまってね。協力してくれることになったんだ」
などと言う始末である。
これにはさすがの魔王も反論があるようで。
「そもそも我らはどちらがより世界を統べるに相応しいかを決めるために相争っている。それはより強い個であるべきだ。一人で戦えない者がふさわしい訳がない」
「あなた一人でなにが出来ると? 多くの者たちをまとめ力を合わせてこそ真の平穏はもたらされるのです。数もまた力です」
まずい長くなる。
この感じは確実に長くなってしまう。
なんとか流れを切り早々に終わらせなければ朝礼に間に合わん。
「あのー、ちょっと良いスか?」
お互いの意見を全く曲げない様子の両陣営に対し、俺はある提案を出した。両者の視線が恐ろしいがここは勇気を持って行動しなければ。
「そのー、蛍川の眷族っていうのは、どんなことが出来るんだ?」
「そうですね、基本的には正道と同じです。私を通し魔力を使えるようになります。本人の素質で多少変化はありますが」
だったらいける、か?
「ならよ、蛍川が使える分の魔力を神田橋が使えるように出来ないか?」
「おう、それならよいの。あくまで戦うには一人づつ。勇者側も魔力供給という点で協力できる。解決じゃの」
よし、主審の判定は通った。あとはこいつらが納得するかだ。
「・・・・・・我はそれで構わん。その男の案だというのが癪だが魔力程度の問題であれば多目に見てやろう」
魔王は了承した。神田橋たちはどうだ?
「どうする絹恵。昨日も言ったけれど僕としては君には戦ってほしくないんだ。君の応援があれば僕は負けないさ」
「でも・・・せっかく力を手に入れたのに・・・・・・」
「男には格好付けないといけないときがあるんだ。絹恵、わかってくれないか?」
「正道・・・!! わかったわ、私応援してるから!!」
ありがとう、とか言いながら蛍川を抱き締める勇者神田橋。見ているこちらのことをもう少し気遣ってほしいがこいつらにそんなことはできまい。
ていうかあの蛍川の態度なんだよ。暴力ヒス女がまるでいっぱしのヒロイン気取りでいやがる。気持ち悪さで胸焼けするわ。
「じゃあ双方納得いったってことで。昨日ぐらいの時間にまたここで。じゃ」
一刻も早くここから去りたい俺はそれだけ告げると早足に校舎に向かった。
ちなみに遅刻だった。解せぬ。
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