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第十四話、こいつが勇者ぁ?、あんたが魔王!?

第十四話です

よろしくお願いします

 なにはともあれ、俺はミゼルと契約し、現状を打破するための手段を手にすることが出来た。実感は湧かないがこれで俺もファンタジーの仲間入りという訳か。

 

「無事に契約を結べたようじゃな。おぬしから流れてくる魔力を僅かにだが確かに感じるぞ」

 

 いやしかし、本当にすくないのう。

 なかば呆れるような顔をしながら、こちらの視界に写り込んでくる。もう既に本体は仕舞っているようで影も形も無くなっていた。

 

「さて、こちらとしては早速能力の扱い方を教えていきたいのだがの。どうするのじゃ?」

「・・・・・・お前さんが俺にどんな評価下してんのかわからんがな、こちとら完徹状態でここまできてんだよ。無理に決まってんだろ」

 

 実際顔に表れていないだけでかなり疲労が貯まっている。連日の精神的な疲れに加え二時間近く爆走を繰り広げ、説明会までやりきっているのだ。疲労度はそれこそいうまでもないだろう。

 

「それに、今回のあらましをある程度は説明しないといけないやつがいるんだよ。異世界云々は置いといてこっちの認識で始めたことにはちゃんとケリ付けとかないと」

「あー、あの不審者がどうこうというやつか。そんな扱いは甚だ不本意じゃからの、それはよい。だがどう伝えるのじゃ?」

 

 確かに、核心の部分を隠して話せばあまり要領を得ない話になってしまうだろう。

 

「しょうがねぇから今回は来なかったことにする。こんだけやったんだから満足したんじゃないかって具合にな」

「まあ言えぬならそうするしかないかの」

 

 そいじゃちょいとばかし眠るとするかね。仮眠でも取らなきゃこのあとに必ず響いてくるだろう。

 

「そういうわけだ。これから俺はちょっと休む、時間は・・・・・・スマフォでいいか。タイマー掛けっから鳴ったら教えてくれ。たぶん起きれると思うが念押ししとくわ」

「そういうことであればわしも少しは貢献できよう。寝とる間にいくらか疲れを癒すようなものは使えるでな。これもおぬしの魔力あってじゃが」

 

 もともと持っておった魔力ではかつかつでのうと呟きつつ、スマフォに興味があるのかしげしげと見つめている。あっちにはこういうのあるんだろうか、また今度聞こう。

 

「そんじゃ・・・たのん・・・・・・だ---」

「うむ、よく休むがよい」

  

 気が緩んだとたん襲ってきた睡魔に身を任せ、俺は久しぶりに自分の意思で眠りにつくことが出来た。咄嗟に探してしまった目覚まし時計がもうないことに若干の寂しさを感じながら、意識はどんどんと深い眠りに落ちていくのだった。



 

 

『気に入ったぜ、お前のその目』

 

 あ、これ夢だ、と。

 すぐに気付いたのは、それが過去の光景であったからか。

 あまり夢を見ない質なもんだから、なんとも珍しく、そして懐かしい場面だった。 

 

『大事なんだぜ、その目がよ。それがなきゃ始まらねぇ』

 

 俺と同じ目をしてやがる。

 そんな風に言われたことが何度かあって、ああ、やっぱりそうなんだなと、納得している自分がいた。

 

『意思ってのは、魂ってのは、言葉で語るもんじゃねぇ。両の目に自然と浮かぶもんよ』

 

 これを言われた時は、大抵大きな変化を受け入れた時だった。そうか、ここでもあんたが、ああ・・・。

 

『思うまま、好きにやれ』

 

 そうするよ。

 記憶の言葉にそう返し、景色がぼやけていく中で笑みを浮かべる口元が見えた。それがまた何とも楽しそうで、つられて俺も笑っていた。

 

 もうそろそろ起きるんだろう。そんな予感にもう少し寝ていたかったと内心思いつつ、意識が覚醒するのを待った。

 

 

 

 

「・・・--きよ。・・・-起きよ時間じゃ」

 

 自分に掛けられた声に反応してあやふやだった意識が固まっていく。もう時間か、やっぱりもうちょっと寝ていたかった気持ちもあるにはあるが、まあいい、起きるとしよう。

 

「おーい、起きんか。時間じゃぞ」

「・・・あー、起きてる。起きてるって」

 

 いまだ起床を促してくる声に返しながら、伸びをするように身体をほぐしつつ、声の主に視線を向けた。

 

「おはようさん」

「うむ」

 

 うなずきつつこちらとの距離を空けるミゼル。どうやら近くから声を掛けてくれていたらしい。

 

「どうじゃ、調子は?」 

「ちょっとはマシになったか、ってくらいか」

 

 肩を回しつつ身体の具合を確かめる。さすがに一時間じゃどうこう出来ないが気休めにはなったか。

 

「じゃ、いくか」

 

 完全に覚醒した意識と身体で動き出す。さあ、学校だ。

 

 

  

 

 学校に行くにあたってミゼルはどうするかというのがあったが、どうやら右手の甲にある紋様から出入り出来るらしく、姿を見せることもないだろう。

 

 さて、まあ、学校なんだが。

 

「なぁにこれ?」

 

 この光景をもはや嫌気が差すほど見てきたが、見慣れている奴らが見慣れないもん付けてるもんだから、俺は驚いてるよ。いやほんと。

 

「正道くん、あなたまたっ!?・・・・・・」

「妙ねぇ、そんなに怒らないでよ。わざとじゃないんだ」

 

 いつもの二人に加え、離れたところにスカートを押さえる女子、その子の隣に立つように蛍川が佇んでいる。

 状況から見るにまた神田橋がやらかしたんだろう。あの女子の秘密のゾーンを見てしまったんだろう。で、それを前畑委員長に咎められてると。

 

「わざとじゃなくたってあの態度はなに? あれじゃ謝ったって言えないわ!」

「そんなこと言ったって、わざとじゃないんだし・・・・・・」

 

 どうやらトラブった後のことについて一悶着やっているらしい。

 ここまでならいつものことだ。だが、さっきも言ったようにとてもじゃないが無視できない点がちらほら見えている。

 

「・・・・・・嘘だろ」

『どうやらそのようじゃぞ』

 

 こいつ、直接脳内に!?

 というのはそういうもんだと説明は受けているので、今は認められてしまった現実に対応しよう。

 

 まだまだ言い争っている二人をもう一度見やる。

 

 まずは委員長。

 この人は分かりやすい。いつも前髪をカチューシャで上げ、キラリと光るおでこには、左右から中心で交差するように角のような紋様が。色は紫だ。

 

 次に神田橋。

 こいつは分かりにくいがよく見れば左耳にピアスのような物がある。これもなんか光ってる。黄色に光って見える。

 

「(これってあれなん?)」

『Exactly』

 

 確定ですわー。

 再度ミゼルの確認を取り、あれが昨夜見たコスプレ、もとい勇者と魔王であることが発覚した。

 

「(いや、でもなんか・・・普通だな)」

『なんのことじゃ』

「(あいつらさ、一応敵対してんだろ? こんな距離でなんでこう、るんじゃねえの? 見る限りいつも通りなんだけど)」

 

 脳内会話を繰り広げつつ様子を見れる脇の方に移動する。俺の考えだと敵対関係でこんなことやってるなんてありえないんだが。

 

『これはあれじゃな。あの娘の方、魔王の魔神はどうやら戦闘時の記憶を娘に見せておらんらしいの。こちらの知識も教えておらんようじゃ』

「(あれま)」

 

 だったら今委員長には神田橋が付けてるピアスはただのピアスに見えてる訳か。そんで記憶がないからいつも通りの行動をしていると。

 

『こちらの世界でもああやって、素質が高くても戦闘向けのでない精神性の者には身体だけ使って戦う、ということをしておった』

「(やっぱ魔王なんすねぇ)」

 

 さすが魔王。結構ゲスイことをするもんだ。

 

「(じゃああっちは?)」

『はっはっは、勇者側の魔神がそんなことすれば旗印にできんじゃろ。あいつら一応正義を名乗っておるんじゃぞ?』

 

 協力体制でやっておるじゃろう。

 ミゼルの台詞に「え、あんなのと?」と、自然と声に出してしまっていた。だってあいつ良い奴の皮被ったキチガ頭おかしくなってるような奴だぞ。

 

『ちょうどよい。あそこにいくぞ』

「ちょっと何言ってるのかわからない」

 

読了ありがとうございました

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