狂気キャラという枠組みの意味が分からない
みんな大好き「狂気」について、色々な疑問符を投げかけてみます。
狂う:精神の正常な調和がとれなくなる。 物事・機械の働きや状態が正常でなくなる。ねらい・見込みなどが外れる。物事に異常に熱中して見さかいがつかなくなる。おぼれる。普通の程度を越えて激しく動き回る。神霊・もののけが取りついて、普通ではない行動をする。神がかりになる。
創作世界でも、現実世界でも、狂気を孕んだ人物は多く登場する。
マッドであったり、マニアであったり、メランコリーであったり、パラノイアであったり、エクストリームであったりする人物のことを指すらしい。
男も女も、子供にも老人にも持たせられ、時代も場所も問わず、それどころか世界そのものにすら、使用できるものらしい。
「狂っている」と文章に加えるだけで、対象をヘンテコにしてしまえる、魔法の呪文だ。
そこで、ひとつ聞きたい。狂っているとは一体、どういう状態のことを指すのだろうか。
「かっこいい人」やら「イケメン」ならまだわかる。テレビに出ている美形と称されるアイドルを見て、それに姿が似ている人物ならば、かっこいいのだろう。
「悪い人」ならまだわかる。法律に違反していれば、悪人なのだろう。事情はさておき、そこには明確な基準がある。
だが、狂っているとはなんなのか。てんでわからない。
似たような意味を持つであろう、病んでいる、壊れている、というのもよくわからない。
人を殺せば、狂っているのか。
事あるごとに高笑いすれば、狂っているのか。
喋っている台詞が突然カタカナに変化すれば、狂っているのか。
同じ言葉を何度も反復すればいいのか。
それとも、突飛な発想で突飛な行動をすればいいのか。
動物に性欲を抱くズーフィリアは、狂気キャラにならないのか。
虫を残酷な方法で殺す子供は、狂気キャラにならないのか。
好意に鈍感過ぎる男子高校生は?
暴力でしか好意を表せない女子高校生は?
一秒の誤差なく、毎日決まったルーチンで生活しづけるサラリーマンは?
少し前に流行ったファッションキチガイというのもよくわからない。
狂人を気取って法律に抵触してみたり、奇抜なことをする輩のことを指すようだが、
犯罪をしている時点で、奇抜なことをしている時点で、狂人の仲間入りではないのか。
いやいや、狂人というのは、もっと自然体なんだよという意見を聞く。
狂気に本気やら、わざとやらがあるのか。軽い、重いがあるのか。
コンビニ一件潰しておいて、それでも本物ではないのか。
理性がある輩は、狂人とは言えない、とも。
最近、創作作品でも良く見受けられる「サイコパス」という存在。
理性を持っており、表向きは非常に優秀に見えるそうだ。
その裏では躊躇いなく犯罪を起こし、他人を簡単に傷つけられるそうだが、そんな彼らは、狂っていないとでも言うのだろうか。
目立つことや、話題に上がることを目的として、つまり、異常行為そのものではなく、それによって発生する副次的な影響こそを目的としているから、狂ってなどいない…自分からすれば、それこそ理解し得ない、狂っているとしか言いようがないのだが。
狂っているとは便利な言葉だ。いや、便利すぎる言葉と言った方が良いか。
異常な存在、状態を簡単に形容出来る。自分にとって理解しえないもの、都合が悪いものを、すべてこの一言で片づけることが出来るのだ。
創作でも人気になるはずだ。ストーリーを盛り上げるための「異端」を簡単に表現できるのだから。
敵にも味方にも、コメディリリーフにも、カリスマを持つボスにも、ギャグにもシリアスにも、悲劇にも喜劇にも、何にでも適用できる。
だからこそ、どんな時に使えば良いのか、よくわからなくなってくる。
その便利さゆえに、すべての人間は全員、狂っているのかもしれないし、狂っていないかもしれないという結論に至ってしまうからである。
最後にひとつ。この表現だけは、本当によく分からないのだが…
「狂気を孕んだ眼」ってどういう眼のことを指すのだろうか。
狂気キャラが常識人枠に入ったり、常識人キャラに思わぬ狂気が宿ってたりすると、なんかもうってなりますよね。