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5月[ミサンガと記憶] 2.出会い その3

2部終了です。

物語の起の部分終了?

俺は改めて若葉の顔を見た。白い肌が夕焼けの赤に染まっていて、なんというか・・・・芸術的だった。やっぱり若葉には、まわりの女子とは違った魅力がある。多分。半分ぐらいの高さになったところで若葉が口を開いた。少し悲しそうな顔で。

若葉 「今日、すごく楽しかった。」

俺 「俺もだよ。」

若葉 「もう、帰らなきゃね。」

俺 「・・・うん」

そうだった。時間的にもう俺は、駅のところまで行っておかないといけない。あまりクラスの皆を心配させすぎるのは良くない。多分T(先生)やらが学校側で決めた集合場所で待ってるはずだ。本当に今現在の出来事が、夢のように感じた。

若葉 「実は・・・私ね。」

また若葉が口を開き始めた。

若葉 「なんでここにいるかが良くわからないの。」

俺 「は?」

若葉 「気づいたら、叶汰クンの前にいたんだよ?」

俺 「・・・・」

俺は本当か冗談か問いただそうとした。しかし、その前に若葉が

若葉 「なんてねっ♪冗談だよ!」

と言った。それは丁度、観覧車のてっぺんに来た時だった。眩しくて良く見えなかったけど、若葉は涙目だったような気がする。理由は、わからない。俺の気のせいかもしれないし。

そして、若葉は俺の隣に移動してきた。少し観覧車が斜めになって驚いたけど、心臓の鼓動が大きくなっているのはそのせいじゃなかった。ほのかにいい香りが漂ってくる。理由はわからないけど、懐かしいような気がする。なんだか暖かくて眠ってしまいそうだ。

・・・・・・・・

それから観覧車の乗り降り口につくまで俺達は2人とも無言だった。それは、遊園地を出ても同じだった。

わからない。この気持ちがなんなのかはわからない。会話のネタ切れって訳でもないし、ただ、なんか喋っちゃいけないような・・・

・・・・・・・・・・・・・・・

若葉 「着いちゃったね」

俺 「・・・・うん。」

夕日がもうすぐ沈もうとしていた。さっきよりももっと眩しかった。ここは大通りから外れた人通りが少ないところだった。

若葉 「今日は、本当にありがと!」

俺 「俺のほうこそ」

若葉 「バイバイ!叶汰。」

俺 「うん。じゃぁね」

俺は、自分のできる精一杯の笑顔で見送った。そして、若葉は俺に背を向けて駆けだした。

俺 「あ・・・」

俺は手を伸ばして、若葉にもう一声かけようとした。しかし、若葉は俺の視界から消えて、街の大通りの雑踏の中に消えていた。俺は、また、会えるかな?なんて聞こうとしてた。

なんでだろう。1日だけだったのに。そりゃぁ外見の魅力と言うのもあるけど、違う。そうじゃない・・・・やっぱりわからなかった。ただ、寂しいだけだった。


俺が集合場所のベンチに腰かけて10分ぐらいしたころ、聞き慣れた声が聞こえてきた。

「きょーーーーたーーーーーーー!!」

真琴の声だ。すごいスピードでこっちに走ってくる。さっきまで考えていたことやら寂しさがふっとんだ気がした。

真琴 「ハァ・・ハァ・・よ・・・良かったぁ!心配したんだよ!」

どうやら俺の無事を心から喜んでくれているらしい。

それに続くように、みんなが来た。あの5人と、幹彦Tだ。教師はもちろんのこと、仲のいい友達まで一緒に連れてきてくれるところが幹彦Tらしいな。・・・ん?4人だ。豪がいない。

幹彦T 「佐野!すまんかった!しかし、おまえも悪い。」

俺 「ごもっともで。」

俺達はバス停前歩いて行くことにした。

未早矢 「・・・それでねー!真琴がヤバかったんだよ〜!涙目になってたし。」

未早矢が意地悪っぽく笑いながら言った。

真琴 「だって、本当にビックリしたんだよっ!」

未来矢 「そう言う未早矢こそ、警察とか消防車とか訳のわからないこと叫んでたけどね〜」

未早矢 「う・・」

俺 「そういや、豪は?」

未来矢 「寝てたから置いてきた。」

ニコニコしながら未来矢が言った。

真琴 「寝言でお化け屋敷が〜・・・とか言ってたよ。ハハハ♪」

俺 「ブッハハハ!マジかよ!?おまえらひでー!」

(ん?お化け屋敷?まさかな・・・)

その後も、みんなで爆笑しながらバス停まで歩いた。俺はこの時だけ、若葉とさよならした時の訳のわからない寂しさを忘れていた。うん。やっぱりこのメンバーは最高だ。豪いないけど。


でも、その日の夜に、また若葉と遊んだ時のことや、観覧車の中でのぬくもりを思い出しては、寂しくなってしまった。


・・・・・・・・・・・・


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