水幽霊
ある日、私は近くの市民プールに友達と行く事にした。
皆で水着を用意して、ある子はカナヅチだからと浮き輪を用意してからかわれたり。
それでまぁ、普通にプールに行って、普通に遊んだわけよ。
・・・そして、私が一人でウォータースライダーに行こうとした時に、少しだけ違和感を感じた。
でも、この市民プールで何かが出るとかは聞いたことないから、
違和感を気にしないでウォータースライダーをすべるために順番待ちの列に並んだ。
その時だった。私の名前を呼ぶ声が聞こえたのは。
「 」
「・・・え?」
辺りを見回しても、その声の主はいない。
それもそのはず。あの子は、あの子は二年前に海で溺れて亡くなったはずなのだから。
だから、私はこの声を単なる空耳で済ませた。・・・・でも、
「 」
「・・・!?」
あと少しで私の番。その時、また、同じ声が聞こえた。さっきよりも、大きな声だった。
でも、私はまたしても空耳で済ませてしまった。
二度も全く同じ声が、それもさっきより大きな声が聞こえたというのに。
そして、とうとう私の番。二度ある事は三度あると言うもんで。
「 !」
「っ!」
あの子は、また私の名前を呼んだ。
流れる水の「むこう」に、あの子がいた。