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ONLINE  作者: 海風 渚
2/6

最初の冒険

雨が降っている。


幼い日の記憶、何かの漕げた匂い、煙と炎、妹との別れ、あの夏の日・・・


「いつまでねているんだい?さっさと起きちまいな」


体を起こして食卓へと向かった、ここは下宿先の家だ。


「おはようございます」


「さっさとご飯食べとくれよ、いつまでたっても片付きやしないじゃないか」


家主のおばさんに急かされて手早く食事を済ませた。


「村長さんがアンタに頼みがあるってさ、行っといでよ」


「わかりました」


そうして、扉を開けて外へと出て行った・・・



村長の家はこの村の一番大きな家になる、丁度右上に見える赤い門が見えるのがそれだ。

階段を上り、扉を開けた。


「よう来たなヤマト」


「村長さん、なんですか頼みって?」


「ふむ、実はの・・・この村を出て東へ進んだ森を向けたところに湖があるじゃろ?そこに生えておる水晶草(クリスタルリーフ)を取ってきて貰いたいのじゃ」


水晶草(クリスタルリーフ)ですか?」


「左様、近頃はあの森にもモンスターがよう出るでな、村の者であそこの湖まで行けるのはお主ぐらいのもんじゃろ・・・どうじゃ?頼まれてくれるかの?」


「わかりました、それでは行ってきます」


「頼んじゃぞ・・・あぁコレ、待ちなさい」


「?」


「これを持って行きなさい」


最初の剣を手に入れた


「気を付けて行くんじゃぞ」


村長の家を出てまず向かった先は先ほどの下宿先、装備か心元ないからだ。


「なんだい?お使い頼まれたんなら早く行っといで」


家の中を色々と探し回ってもみたけど、手に入ったのは薬草が2つ程だけだった。

剣を片手に森の中を入っていく。


「キシャアアアア!!!」


蜂?にしては大きめのモンスターが襲ってきた、まぁ蜂は決して「キシャアアアア!!!」なんて声は上げないし。


最初の戦闘だった。まず体を支配したのは恐怖感よりも緊張感だった、高揚感といったほうがいいのかもしれない。

まだ成れないせいかいくつか攻撃を受けてはしまったが、俺の斬撃が確かにその蜂?を捉えていた。


斬撃を受けたソレは煙のように消えてしまった。


「ん?何だろうコレ?」


蜂蜜を手にいれた。


「なるほどね、こうしてアイテムなんかを手に入れる訳だ・・・よし」


意を決したというよりは興奮に支配されている感覚だ、次々に現れるモンスターに対してひたすらに剣を振るっていく。


何度目かの戦闘で自分の力が上がったような気がした、これがLvアップというやつなんだろう。


どれぐらいそうしていたのかは記憶には無く、ふと眠気に襲われた。


「まずいなぁ・・・とにかく先に進んで、その水晶草(クリスタルリーフ)だけでも手に入れてからじゃないと」


時刻はもうすぐ深夜になろうとしているところだった。

森を地図に沿って進んでいくと目的の場所に到着した、ここで村長からの依頼品である水晶草(クリスタルリーフ)を手に入れればいいわけなんだけど。


湖に視線が移り、水面を捉えていた。波紋を広げ光と轟音と共にソレはヤマトの前へと姿を現す。


「うわ、凄いなこれは・・・」


優にヤマトの3倍ほどの体格、お馴染みの「ドラゴン」である。


「汝・・・何ゆえ我が眠りを妨げるか・・・」


ドラゴンがこちらに話しかけてきているようなのだが、何故か身体が思うように動かない。

妙な焦りを感じ、いつしか掌と背中にはじっとりと汗をかいていた。


「グルルル・・・封印の証欲しくば・・・汝の力、我に示せ」


封印の証?一体なんの事かさっぱりだ。村長は確か水晶草(クリスタルリーフ)って言ってたのに・・・と思考をまとめる暇も無く、ドラゴンはヤマトへと襲い掛かってきた。


「くっ!!」


なんとか身体を動かす事に成功した、以降は動けなくなる様子はなかった。しかし、問題はまだ別に残っている。この目の前のドラゴンをいかにして倒すかという事だ。


ドラゴンの口から放たれる炎がヤマト目掛けて放たれる。その炎をまともに受けてしまい、ヤマトは岩場の方へと吹き飛ばされてしまった。


「な、なんだよこれ・・・Lvが足りなかったのか?」


動揺をするのも無理は無く、先ほどの一撃でヤマトの体力は底をつきかけていたのだ。薬草や途中に手に入れたアイテムを使っても、回復量は50パーセント程にしか至らなかった。


「くそ、一旦逃げるしかないか」


そう思って行動に移すも、事態は改善にはならなかった。


「嘘だろ?・・・出られない?」


結界のようなものが張ってあるようで、湖一帯からは抜け出せなくなっていた。

その間にも、ドラゴンの炎はヤマトに襲い掛かる。

かろうじて避けながらもひたすら出口を探したが、遂には見つけることは叶わなかった。


「てことは・・・力押ししかないのか!!」


ドラゴンへと向き直り、ヤマトは剣を構えた。


「汝・・・力・・・我に示せ」


「うわあぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」


ガキンッ!!!!


「え?」


一瞬何が起こったのか把握できなかった。ヤマトの剣はドラゴンに届きはしたが、ダメージを与える事は出来なかった。それどころか、彼の剣が折れてしまったのである。


「やばい・・・やられる」


ドラゴンから炎が放たれヤマトを襲った。先ほどと同様に吹き飛ばされてしまい、今度は完全に体力も底をついてしまった。

ドラゴンがヤマトに迫るも成す術は残されてはいなかった。もう彼には、戦う力など残ってはいないからだ。


「だらしありませんね」


「!?」


刹那、雷撃がドラゴンの頭部を打ち抜いた。凄まじい威力だというのは見て取れた、灰色に石化したようになりドラゴンは崩れ消えていったのだ。


「ほら、コレ差し上げますわ」


何かのアイテムを使ってくれたのだろう、体力も全回復して仮死状態から脱する事が出来た。


「まったく、この程度の敵も倒せませんの?貴方全然素人ですのね」


助けてくれた少女の見た目は髪は茶色のショートヘア。服はドレスにも似たような感じだった。


「ははは、ありがとう。ホント助かったよ」


「耐性も付けずに挑んだんじゃありません事?それに見たところ、剣も折れているようですし」


「今日初めて来たからね、色々と判らない事だらけで」


「初めて?」


少女の表情が曇ったように思えた。


「まぁいいですわ。では私はこれにて」


「あ!ちょっと待ってよ」


「まだ何かありまして?」


「ぼ・・・俺はヤマト、君の名前は?」


「ホント素人さんですのね。私の名前はアイリスですわ」


そう告げると光と共に少女は消えてしまった。

いい人もいるなと思いながらも、本来の目的である水晶草(クリスタルリーフ)を探す事にした。


「あ、これだな」


湖の奥の方へと進むとソレは見つかった。


「コレを村長に届けなきゃな」

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