妹は運転士!
俺は路線バスの運転士だ。別に、なりたくてなった訳じゃない。ただ、親父が会社で重役をやっていて、無理矢理親父がねじ込んだから今運転士として働いてる。大型2種の免許も取らされた。だから、やる気なんか出ない。だから、「運転の荒いバス会社と運転士を晒すスレ」みたいなので度々俺の名前が挙がる。別に、事故さえしなけりゃそれでいいだろ。
しかし、俺の妹は違う。俺の妹も同じバス会社で運転士をやってるが、妹はわざわざ入社試験を受けて運転士をやっている。なんか運転士に憧れているらしい。それなら電車とかでもいいのでは?と思うが、おそらく親父の影響が強いのだろう。
具体的にどんなとこが違うのかといわれたら、運転技術だろうか。あいつは10m級の大型バスを自分の体のように扱う。乗ってるときのショックもだいぶあいつのほうが優しい。
しかし、妹には最大の欠点があった。それは、機械系がまるでダメ、という事だ。
その例として、バスの方向幕が回送のままだったり、Suicaのチャージのやり方がわからなくて「対応してません☆」とか言ったり、運賃の清算ができなかったりなど、結構致命的なのである。
そんなときに妹はいつも俺を頼ってくる。教えた事を何回も聞くのでかなり面倒だが、なんかそんな事をどうでも良くさせる力を持っている。
ある日、あいつが「方向幕の変え方が分からない」とか言って俺を尋ねてきた。この質問はもう10回くらい教えただろうか。俺はいつもと同じ答えを口にすると、「すご~い」とか言って笑顔を見せてくる。そのとき俺は気づいた。ああ、俺はこいつの事が好きなんだな。と。だから、これから何百回何千回と同じ事を聞かれようと、その人の笑顔が見れるなら、いくらでも答えよう。そして、あの人が俺の元を離れる事がないようにしようと思った。