『Prologue』
「はぁッ…はぁッ…はぁッ」
私、狐葉恋雪華はその男…魔術師から逃げていた。
その男は私の親友…霊獣のルルを狙っているようだった。
「雪華…私のことは大丈夫だから雪華だけでも…。」
「そんなこと…できるわけないでしょ!!」
ルルは自分が犠牲になってもいいと言う…。
だけど、そんなこと…できるわけがない。
私の体力の限界も近い…こうなったらあいつと戦うしかないのか…。
『追い詰めたぞ…?ちょこまかと逃げ回りやがって…』
「くッ…」
私は魔法が好きだ…。
だから、あらゆる魔法を極めてきた……。
魔術師にも通用するはずだ!!!
「火炎魔法:大豪火球」
『防御魔法』
「チッ…。」
『強力な魔法だな…だが相手が悪かった。』
「まだまだだよッ!!」
私は術式を展開する。
すると周囲に紫の電光が迸る……。
「紫電光電」
水色と桃色の瞳が混ざり合い、深紫に染まる
その名前を叫ぶと…周囲の紫色の稲光が膨張し…収縮する。
そして、その紫電は一直線にその魔術師に向かっていった。
『グハッ…チッ…こんな大魔法を…。』
『だが、この程度か…悪魔の力もたいしたことないな…。』
「うるせぇ……。」
もう大した魔力も練れない……。
潮時なのかな…
「雪華…。」
「ルル…逃げて…」
「私がそれをするわけないでしょ…意地悪だな…」
「これ持ってて」
そうしてルルは私に…ルルが大事にしているぬいぐるみを渡してきた…。
そのぬいぐるみを見た時…私は何をするのかわかってしまった…。
「ルル…!?やめて!?私…貴女を失ったら…!?」
「……雪華、顔を上げて。 私はね、あなたのその綺麗な瞳に映る、 この街の明かりが……大好きだったんだよ。
だから……私のために、魔法を嫌いにならないで。
……少しだけ、おやすみ。 また、いつか……笑って、呼んでくれるまで。 ……大好きだよ、雪華……」
『どうした…霊獣風情に…なにができる!?』
「私はね…雪華を守るためだったら何でもできるんだよ。」
「”スーパーノヴァ”」
『なッまさかッ…』
…スーパーノヴァ。史上最強の自爆魔法…。
自分のほとんどの魂を魔力へと変換し…爆破させる魔法。
術者を死…もしくは意識不明に追いやってしまうため魔術師にとって禁じ手とされている魔法だ。
それをルルは使ったのだ…残ったのは…ぬいぐるみに残った僅かな残滓。
『ゲホッゲホッ…チッ…』
『おい!逃がすな!!あの餓鬼を探せ…』
私は…その魔術師が立ち去るまで…なんとか隠れて過ごした…。
どうやらもう逃げたと思ったみたいで…隠れていることには気づかなかったようだ…。
そうして、その魔術師が立ち去った後…私はぬいぐるみを抱きしめた…。
「る、ルル……。」
「と、とりあいず逃げなきゃ……ルルが私を生かしてくれたんだ…。」
「行きなきゃ…ルルの無駄死にを証明してしまう……。」
私は…身体を引きずりながら…なんとかその場を立ち去るろうとした…
少しずつ…歩かなきゃ…。
私が…悪魔の力なんて持っていなければ!ルルが消えることなんて…
魔法なんて嫌いだ…。復讐してやる……。
私が好きだった魔法を魔術という道具として…。
あの魔術師を…殺してやる……。




