42.クマリー・トーン(กุมารีทอง)【後編】
グラーン川のそばでジョットマーイのジャンク船が空に向かって浮上する。
文字保有者たちを乗せた船が渦巻く雲に吸い込まれて消え去る。
あらためて俺は大声で言った。
「ありがとう……! 一緒に戦ってくれて……」
すでに小さくなっている地上のジャムークやガムランたちにも聞こえるようにさけんだつもりだ。
* *
そして太陽が沈み始める。
俺はグラーン川のほとりの薄緑の原っぱに腰を下ろしてあぐらをかいた。
赤茶色の高床式都市が対岸の向こうに小さく見える。
さらに俺の左後ろには直径百メートほどの色あせた赤い地面の円が草を失った状態で広がっている。
グラーン川は東から西へとゆるやかに流れながら斜陽の光を反射した。
今の俺は南側を向いているので川の水は左から右へと運ばれていく。
(終わったんだな……)
兵隊に反乱を起こされる悪夢にさいなまれていた俺はトータハーン(ท)の文字を手放そうとスーンに会いに行った。
湿地帯でクマリーと会ったのち、ウォーウェーン(ว)の文字を取られて殺されていたスーンの遺体を見つけて焼いた。彼のかたきをとろうと思った。俺を下手人と勘違いしたジャムークと戦った。
(ここからクマリーは文字保有者に刻まれた字を一つ一つなぞって覚えていくことになる)
一夜明け、俺たちはジョットマーイのジャンク船に乗ってホーノックフーク(ฮ)の図書館塔を訪ねた。
ホーノックフークに無罪を証明してもらったあとはジャムークと別れ、エーンのもとに向かった。エーンは文字保有者たちへと招集要請をおこなった。
さらに翌日、俺はサラサルアイにプリアさんの居場所へと案内してもらった。ここで俺はプリアさんから、スーンが無理やり彼女に文字を刻んだという話を聞いた。
塔に帰ったときキアからスーンを殺した犯人暗殺の手助けを求められた。とはいえ俺はスーンという人物が分からなくなっていた。そんな俺をクマリーが元気づけてくれた。その日はクルムのあずまやで眠った。
とうとう文字保有者全員が塔の大部屋に集合する日となった。俺はクマリー・トーンという名前を書く際に必要なンゴーングー(ง)の文字を持つリアンゲとも話した。だがそのリアンゲこそがスーンを殺害した犯人だった。
キアによって首を落とされたリアンゲはスープパンの「箱」に収められた。ただしリアンゲがあっけなく殺されたため、どうも今回の事件は腑に落ちない。
そこで招集要請に応じなかった唯一の人物であるディアオがなにか知っているかもしれないと俺たちは考え、ホーノックフークが彼と直接会うことになった。ホーノックフークは通常であれば塔を離れられないが、ガムランの「鎖」で塔と連結することにより外出が可能となる。
サラサルアイが俺とホーノックフークを足かけ二日かけてディアオの都市まで運んでくれた。しかし同行していたクマリーがディアオのゴーガイ(ก)の字をなぞった直後、ディアオの体がスーンに乗っ取られてしまった。
スーンの魂は自身が完全に死んだと見せかけていた。最初からホーノックフークの目をかいくぐるかたちでクマリーのなかに潜みつつ、ディアオの体を乗っ取る計画だったのだ。
ウォーウェーンとゴーガイの力を持ったスーンに俺たちは追い詰められた。しかし窮地のさなかに援軍が駆けつける。これまでクマリーがなぞった文字を持つジョットマーイ、キア、ガムラン、スープパン、エーン、クルム、ジャムーク、プリアさんが共にスーンと戦ってくれた。
最後に俺はディアオから分離したスーンの魂にとどめを刺した。その時点で、さらに一夜が過ぎていた。ここに駆けつけ……参戦できなかったみんなもすでに帰った。
(振り返ってみれば、都合六日の出来事か。スーンを殺した黒幕がスーン自身であったことを考えれば……ある意味、俺のいのちの恩人であるスーンさんという人間のかたきをとったとも言えるのかもな。ともかく、かたきうちという俺の目的は果たされた。でも――)
グラーン川から目を離し、視線を落とす。
あぐらをかいた俺のふくらはぎに精霊の少女が座っている。
バナナの房が重なったような茶髪を持つ精霊、クマリー・トーンだ。
(クマリーの夢はまだ終わっていない。文字全部に出会うことと、その文字を使ってクマリー・トーンという名前を作り上げること――この二つの夢は続いている。前者の夢の達成率は全四十二文字のなかの十四字と出会っているから三分の一ってところだが……後者の夢は今すぐかなえられる)
ここでクマリーは服のなかに右手をそっと入れ、自身の腹部をなでた。
その軌跡は彼女の腹部に移ったウォーウェーン(ว)の文字をえがいていた。
一方、俺は上着のポケットからメモを取り出す。
スーンの隠れ家で見つけた遺言のメモだ。ホーノックフークに見せたあとずっとポケットにしまっていたのだ。
(一応とっておいたけど、もう使うこともないだろう)
俺は炎の兵隊を呼び出し、そのメモを焼却させた。
それから天幕の兵隊も俺のそばに出現させ、腹のなかの氷室から冷たいバナナを引っ張り出した。
クマリーにも渡し、一緒に食べた。
「冷えてて、やわらかくて……あまくておいしい……っ!」
ふにゃふにゃした声を出しながら、クマリーが俺のふくらはぎの上で揺れる。
「やっぱりバナナは神ですね……なんか、救われます~」
「そうだな」
俺はバナナをほおばった状態で答えた。
ふとクマリーが対岸の赤茶色の都市を見やる。
「都市の人たちも無事で、よかったです……」
「ソールーシー・ジウのおかげでな」
ついで口内のバナナを飲み込み、俺は聞く。
「……でもクマリーは、ソールーシーの文字をなぞらなくてよかったのか」
「そういう気持ちも確かにありましたよ。文字保有者のみなさんのこともクマリーは気になるし好きですから」
みんなはここを去る前に、ウォーウェーンの文字保有者となったクマリーを気にかけてくれていた。クマリーに直接声をかける者も少なくなかった。クマリーはそんなみんなに律儀に感謝を伝えていた。なお俺はホーノックフークから「クマリーをよろしく頼む」と言われている。
首を真後ろに倒し、クマリーが俺を見上げる。
「だけどそれは、またの機会に。今はお兄さんと二人きりでいたいって……なにより強く思うんです」
バナナをすべて食べ終わったクマリーが、俺に頭をこすりつけてくる。
「お兄さん……。これからもずっとクマリーと一緒にいてくれますか……?」
「ずっとかは分からない。ただし」
クマリーを見下ろし、俺は言う。
「少なくとも……クマリーがウォーウェーン(ว)の文字と一体化した以上、しばらく一緒にいないといけない。もうクマリーは、俺たちの仲間だからな」
「やったあ……っ」
小さな体が大きく揺れ、その声がはずむ。
「クマリーはこれからも、お兄さんのおへそで眠って……お兄さんの隣でバナナを食べて……お兄さんと一緒に文字を学んでいきたいです……」
「今まで十四文字をなぞったから」
俺もバナナを食べ終わり、小さく笑う。
「全四十二字をコンプリートするまであと二十八字だ」
「順調ですね~。まだまだクマリー、がんばりますよ~!」
ふにゃふにゃ声をクマリーが元気に張り上げる。
ちなみにクマリーはウォーウェーンの文字を腹部に刻んでいる状態とはいえ、その着脱する力は現在使用できない。
かつクマリーの心にもともとあったスーンやリアンゲとの記憶も戻っていない。
したがって文字の知識もリセットされたままだ。
(クマリーは学びなおしているわけだ。だけど……もともと知っていたことをもう一度学ぶことだって無意味なことじゃないと俺は思うよ)
ここで俺はバナナの皮二つをプルーンに焼かせた。
さらに俺は上着のポケットから、また別の紙を取り出す。
今度は遺言のメモじゃない。六つの四角形が横に並んだ書きかけの紙だ。
四番目の四角と五番目の四角はそれぞれトータハーン(ท)とオーアーン(อ)の文字でうまっている。
三日前、図書館塔の館長室でクマリーが書いた字だ。
鉛筆と一緒にその紙をクマリーに渡す。
俺は空の兵隊を呼び、空気のクッションを作ってもらった。
それは不可視の固い小さな机になってクマリーの前に置かれた。
「……クマリー。今なら自分で名前も書けるはずだ」
「はいっ!」
彼女が元気に返事をし、見えない机に紙を載せて右手の鉛筆を動かす。
一から名前を書きたいようで、四角形の並んだ下のスペースに新しく文字をつづり始める……。
なんの文字を書けばいいのか、俺はあらためて確認していく。
「今まで君が学んだ子音字はそのまま言葉の音をあらわすことができる。たとえばトータハーン(ท)の字を使えば『タ・ティ・トゥ・テ・ト』といった音を、オーアーン(อ)の字を使えば『ア・イ・ウ・エ・オ』といった音をあらわせる。今まで学んだ文字から音をあらわすのにふさわしいものを選んで、左から右に書いていけばいい」
「はい……!」
それでも実際に字をしるすのはクマリー・トーンだ。
「つまりクマリーの『ク』をディアオさんのゴーガイ(ก)で、『マ』をサラサさんのモーマー(ม)で、『リー』をプリアさんのロールア(ร)であらわすんですね」
自分で考えながら鉛筆を丁寧に動かす。
「クマリー・トーンのトーンのほうは……『ト』がお兄さんのトータハーン(ท)で、ちょっと伸ばす感じの『オ』がジャムークさんのオーアーン(อ)で、『ン』がリアンゲさんのンゴーングー(ง)であらわせるわけですかっ!」
「そうだ、クマリー。天才だな」
思わず俺は過剰にほめてしまっていた。
(正確には……この場合のオーアーン(อ)の文字は一種の母音記号と見なすこともできるな。子音のあとにオーアーンがついたら基本的に「オー」という母音になるし)
こうしてゴーガイ(ก)、モーマー(ม)、ロールア(ร)、トータハーン(ท)、オーアーン(อ)、ンゴーングー(ง)の六字が並んだ。
クマリー・トーンという名前の基礎ができあがったわけだ。ただしクマリーには、モーマー(ม)とロールア(ร)のあいだにスペースをちょっとあけてもらった。
「よくできたな、クマリー。とくにトーン(ทอง)はもう完璧だ」
「えへへ~」
頭を俺のみぞおちに軽く当て、クマリーがとろけた声を出す。
「お兄さん、もっとほめてください~」
「よしよし、書き順もちゃんとしているし、クマリーは本当に字がうまいよ」
見えない机に載せられた紙を見て俺は返した。
「ただしクマリーの名前を文字として完成させるには……前にも言ったように『母音記号』を子音字のそばに付け加える必要がある」
「それです。その母音記号とは具体的になんなんですっ」
バナナの房のような髪をクマリーがなびかせる。
「六つの子音字をコンプリートしたあとに教えるって約束でしたよね、お兄さんっ!」
「そうだ。今から俺が書いてみせる」
俺は鉛筆を返してもらって直接クマリーの書いた字に記号を加えようとした。
しかしクマリーは鉛筆を離さず、首を左右にかたむけて頼む。
「クマリーは……お兄さんと一緒に自分の名前を完成させたいです……っ! 二人で刻みたいんです……お兄さんにクマリーの手を取ってほしいです……」
「分かった」
静かにうなずいて、俺はクマリーの小さな右手に右手をかぶせた。
クマリーを戸惑わせないよう、ゆっくり鉛筆を動かしていく。
「母音記号というのは、子音字だけではあらわせない音をあらわす際に使う記号だ。クマリーの名前を表記する場合は、子音字に加えて新たに三つ……いや四つの母音記号が必要になる。まずはクマリーの『ク』だが……子音字のゴーガイ(ก)だけだと『ゴー』といった音にしかならない。そこでとくに『ウ』という音に近いことを示すために母音記号の『ティーンイアット(◌ุ) 』を右下に加える」
ゴーガイ(ก)の右下に鉛筆の先をつける。
小さな丸を時計回りで書いたあと、その丸の右から下に突き出る縦棒を加える。
ゴーガイ(ก)にティーンイアット(◌ุ)を付加した場合、その文字は「กุ(ク)」という音に変化する。
クマリーが「おお~っ」と声を上げる。
「これがティーなんとか……っ! これでクマリーの『ク』ができあがったんですねっ!」
「そう、今ゴーガイの右下に追加した記号がティーンイアット(◌ุ)。この調子で残り三つの母音記号も書いていこう。次はクマリーの『マ』だな。ただ、クマリーの『マ』はちょっと伸びる感じの発音でもあるか。こっちもモーマー(ม)だけだと『マ』あるいは『マー』という音をあらわしきれないから、とくに『アー』という音に近いことを示すために『ラークカーン(า)』という母音記号を右横に書く」
モーマー(ม)の右隣にあけていたスペースに鉛筆を移す。
モーマーの右上のすぐ横から書き始め、上のほうに盛り上がるカーブを引き、そのあとは下まで縦線を一気に下ろす。
モーマー(ม)にラークカーン(า)を付加した場合、その文字は「มา(マ/正確には長母音なのでマー)」という音に変化する。
クマリーが「あ、そういうことでしたか」となにかに気づいたようにつぶやく。
「さっきモーマー(ม)とロールア(ร)のあいだにスペースをあけたのは、このラークなんとかを追加するためだったんですね。これでクマリーの『マ』もあらわせたということですかっ!」
「ああ、モーマー(ม)の右横に追加した記号がラークカーン(า)だ。じゃあ最後の母音記号に移ろう。最後はクマリーの『リー』か。もちろん子音字のロールア(ร)を使うわけだが、とくに『イー』という音に近いことを示すためには『ピンイ(–ิ)』と『フォントーン(')』という母音記号を文字の上に加える必要がある」
「ここにきてダブル母音記号ですかっ。おしゃれさんですね!」
「そうだな。ピンイ(–ิ)は帽子で、フォントーン(')は髪飾りのようにも見えるしな」
ロールア(ร)の右上のすぐ上に鉛筆の先端を当てる。
左に線を引っ張ったあと、上に湾曲するカーブをえがいてもとの場所に戻ってくる。それでピンイ(–ิ)が完成する。
ここでいったん鉛筆を紙から離し、その上から短い縦線を下ろす。
(ただしこれは俺が習った書き順。人によってはピンイを書いたあと筆を紙から離さずそのまま下から上に縦棒のフォントーンを加えるかもしれない)
ともあれピンイ(–ิ)とフォントーン(')を組み合わせた母音記号ができる。発音は「イー(–ี)」となる。
ロールア(ร)にピンイ(–ิ)とフォントーン(')を付加した場合、その文字は「รี(リー)」という音に変化する。
こうして――。
「わあっ……これが……っ!」
紙に浮かんだのは、六つの子音字に母音記号を加えた「กุมารีทอง(クマリー・トーン)」という名前だ。
――そう、ようやくクマリー・トーンという名前が、文字として刻まれたことになる。
「これがクマリーの名前……」
……「กุมารีทอง(クマリー・トーン)」という名前が書かれた紙をギュッと両手でかかえ、クマリーが紅潮した顔を俺に向ける。
それから右人差し指を動かし、何度も何度も自分の名前を空中につづる。
「……これでクマリーもお兄さんたちと一緒で、自分の文字を持てたんですね。こんなイカした文字で……クマリーは新しいクマリー・トーン(กุมารีทอง)になれたんです……っ! うれしいです……」
少し涙をにじませ、ほほえむ。
川の表面に反射した夕焼けが彼女のはじける笑顔を照らす……。
それから――日は完全に沈む。
俺もクマリーも、いつの間にか深い眠りに落ちていた。
* *
そして再び太陽がのぼってから、俺は目を覚まして立ち上がった。
プルーンとグラジョームとアーガートはすでに姿を消している。
(俺はこれから、どうするか)
もはやトータハーン(ท)の文字はウォーウェーン・スーンが消えた以上、どのみち手放すことはできない。
いや、たとえそれが可能だとしても――。
もう俺はトータハーンを手に刻んだまま生きていくと思う。
(なぜなら、さっき眠ったときも悪夢を見ないで済んだから。もう俺は俺の兵隊を恐れる必要はないんだ)
そして俺自身も一個の兵隊だ。
使役するピーたちも例外なく。
だから俺たちは、いずれ戦いのなかで死ぬ。
けっして立派なものじゃない。誇れることなど、ありはしない。
いっそのこと……。
現実のタハーンが消え去り、文字にのみタハーンが残されればいい。
(兵隊としてあるまじき考えだな)
そしてトータハーン(ท)という文字が、誰かの名前をしるし、誰かの思いを伝えるためだけの、ただの言葉になればいい。
トータハーンの文字から自分の世界が広がったと……そう言ってくれた存在に恥じないように俺は生きたいと思う。
ただ自分が生きるためだけの「タハーン」は、もうやめる。
これからは――。
ただの「トータハーン(ท)」の一字として、誰かの世界を守り、誰かの世界を少しだけ広げるために戦いたい。
(一人の兵隊ができることなんてたかが知れているけれど……兵隊はただの兵隊だ。神じゃないなら、それでいい)
* *
精霊の少女も眠りから覚め、俺の左隣を飛び始めた。
うれしそうに自分の名前をくりかえし宙に書いたあと、川のそばで俺に微笑を向ける。
「お兄さん……アーティットお兄さんっ」
バナナに似た茶色い髪を揺らしながら、ふにゃふにゃ声でささやく。
「あらためて、お兄さんの字をなぞらせてくださいっ! やっぱり文字って何回なぞっても、飽きませんからねっ!」
黙って俺はうなずき、左手の平をひらいた。
ひじを曲げ、その手を立てた。
そこに浮かんだ赤い線をたどり、少女の指が手の平をくすぐる。
小さな丸をえがく。
線を下ろす。
右斜め上に突き上げる。
再び線を下ろし、指を離す。
少女が両手で、そっと俺の左手にさわる。
そして俺の目と手の文字とを交互に見て、ややおとなっぽく笑ってみせた。
「この文字も、それを使うお兄さんも――」
照れくさそうにほおを赤らめ、子どもっぽさも混ぜながら言う。
「――やっぱり最高にイカしてますよ!」
ああ。
そうであればいいなと――俺も思う。
ピーの少女が見守るなか、俺自身も右手の指で左手の平をなぞってみる。
ただの模様を、そこに刻む。
そうして自分を確かめる。
誰かの思いも、存在も……一つの字から広がって、また同じ字に帰っていく。
俺にとっての、その文字の名は――。
〈ท(トータハーン) 第一章 完/๛〉
次回「番外編01.化け物係・パネークサットプララート(แผนกสัตว์ประหลาด)」に続く!
今回出てきた単語の元々の意味は以下の通り
ティーンイアット(ตีนเหยียด)→「ウ」の母音を表す記号「◌ุ」/大きな丸にはゴーガイ(ก)といった子音字が入ります。文字の右下に付ける「q」に似た記号です。
ラークカーン(ลากข้าง)→基本的に「アー」の母音を表す記号「า」/子音字の右横に付けます。この母音記号を持つクマリー(กุมารี)の発音も正確には「クマーリー」と言ったほうが正しいかもしれません。
ピンイ(พินทุ์อิ)→基本的に「イ」の母音を表す記号「–ิ」/横棒の部分には子音字が入ります。単独では「イー」にならないようです。
フォントーン(ฝนทอง)→ピンイ(–ิ)に追加して「イー」といった母音を表す記号「'」/ピンイ(–ิ)にこのフォントーン(')を加えると「–ี」というかたちになります。ピンイにフォントーンがない場合(–ิ)は「イ」という短母音の発音になりますが、フォントーンが一つある場合(–ี)は「イー」という長母音の発音に変化します。
๛←これは「コームート(โคมูตร)」または「イアウア(เยี่ยววัว)」という記号です。昔のタイで章や本の終わりに付けていたらしいです。今どき使っている人がいるかは分かりませんが……。




