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異説・百物語~物部カタルは斯くも語りて~  作者: 八月 猫
其の参 覚 ( サトリ )

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覚(7)

 あれから自問自答の日々を過ごしていた。

 自分が一体何者なのか?

 それまでは特殊な力を持って生まれてしまった人間だと思っていた。それがあの日彼女に「妖怪」だと言われてから、ずっとその可能性について考えている。

 ずっと秘密にしていた力の事に気付いた彼女にそう言われたというのが大きい。きっと彼女も何か特別な力を持っていたのかもしれない。だからこそ僕の力に気付き、そして心を読むことが出来なかったのだろうか。

 それでも最初はそんな馬鹿な事があるはずがないと思っていた。イメージしている妖怪というとアニメに出てくるような異形なモノで、見た目が完全に人間の僕には当てはまらない、と。

 だから妖怪かどうかはさておき、自分は本当に特殊な力を持っただけの人間なんだろうか?と。でも、そもそも普通の人間にはそんな能力が無いのだから、その時点で人間なのかどうか怪しい。

 そんな考えが頭の中を堂々巡りしていた。



 そして五月のGW明け。

 廊下で物部と彼女がまた何やら揉めているのを見かけた。

 相変わらず派手な恰好で登校してきたところを物部に捕まったというところだと思う。

 放課後の一件から以降、萩原愛莉が僕に接近してくることは一度もなかった。

 彼女は何を知っているんだろう?そして彼女と同様に心を読むことが出来ない父と、風紀委員長の物部は何者なんだろう?やはり僕と同じように何かの力を持っているんだろうか?

 あの時は妖怪なんて言葉で誤魔化されてしまったが、一度きちんと彼女に聞いてみないといけない。そうすれば、もしかしたら僕の力の秘密に迫ることが出来るかもしれない。

 その時から僕は萩原愛莉といつ話をするかを考えるようになった。



 週の半ばの木曜日。

 その日は放課後の生徒会活動が休みになったので、今日ならばと彼女を呼び出す方法を考えた。


 昼休み、彼女のクラスへと向かう。

 いろいろ考えたが良い方法が思い浮かばなかったので、正攻法で直接呼び出すことにした。

 そもそも誰かに頼んだとしたら変な風に受け取られる可能性が高い。それならすれ違いざまにでも軽い感じで声をかけた方が安全だ。

 教室内を覗いたが彼女の姿は見当たらない。学食にでも行っているのか、それともトイレか?

 そんなことを考えていると見覚えのある顔が廊下をこちらへと歩いてくるのが見えた。

 彼女の名前は知らない。でも先日の朝、萩原愛莉と一緒に物部と話をしていた子だ。

 彼女は一瞬こちらに気付いた様子だったが、特に顔見知りということではないので、そのまま教室に入ろうとしていた。


「ちょっと良いかな?」


 小走りに駆け寄って彼女に声をかける。


(え?生徒会長?)


「あの……何でしょうか?」


(私何かしたっけ?)


「ああ、ごめん。そんなに警戒しないで、ちょっと聞きたいことがあるんだ」

「私にですか?」

「うん。君はこのクラスだよね?このクラスの萩原愛莉さんて今日は来てるのかな?」

「え……」

「前に君と一緒にいたところを見かけたから友達なのかと思って」


 彼女は明らかに戸惑った表情を浮かべる。


(萩原……愛莉……)


「そう。いや、その、クラスメイトの萩原愛莉さん。ちょっと彼女に用事があるんだけど、教室にいないみたいだから友達の君ならどこに行ったか知ってる――」



「誰ですか……その人?」




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