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殺人鬼

空紀(あき) 六音(むつね)視点


昔のことだけど、いじめられていた僕は誰も憎まなかったらしい。

自分のことを叱責していたのか、はたまた、なーんにも考えていないのか。

真偽は正直どうでもいいんだけど、僕は誰も憎まずに過ごしていた。

だから、僕は憎み、傷つけてしまった君のことをどうしようもなく申し訳なく思ってる。


「憐れで、憎たらしくて、、、、、謙虚で、頭がいいのにどこか抜けていて、いつも教室の窓から空を眺める可憐な君に。」


『僕の名前は空紀(あき) 六音(むつね)って言います。』


遅くなったけれど、話しかけたのはもう一度、僕の方。


桜花爛漫な一本桜の木の下で───


ーー


ユーリっていう可愛らしい女の子と僕は親友だった。

優しくて、頭が良くて、でも意外と活発な、そんな女の子。

たくさんの友達がいて、誰もが羨むような存在だった。

クラスのみんなが見惚れてたし、ほんと、みんなが憧れるような女の子だったと思う。


だって、僕のアテル君すらも好きならしいし、、、ね。

なんか、引き立て役みたいにされてちょっと困っちゃってる。


アテル君は背が高く、目がくっきりとしている、まるで王子様のような男の子。

そんな男の子が好きになるんだから、ユーリはすごいよ。ほんとに。



「ユーリはアテル君と今、付き合ってるのかな...?」

とか、妄想している僕は手で髪を耳の後ろに回しながら熱い鍋を食べていた。

「あちっ!」

猫舌系美少女の僕にはこの鍋はまだ経験値(じかん)が足らなかったらしい。


「ふ〜。」

くすんだ色の鍋の中身は(くう)になる。

コトッ。


「は〜。」

僕はテレビから目を逸らし、カレンダーを見る、



僕はユーリに憧れていた。



───僕はその後、学校でユーリとアテル君が付き合っているという噂を聞くこととなる。

その結果、僕がユーリのことを避けるようになるのは自然で仕方のないことだったと思う。



7月24日ー夏休みー


その日は僕とアテル君そしてユーリとほかの友達2人と一緒にキャンプをしに行くことになっていた。


実はキャンプなんて行ったことなんてなかったし、僕はユーリとアテル君をあんまり見たくなかったから、行きたくなかったんだけどね。


だから、僕は今日で区切りをつけるつもりで、僕はキャンプに行ったんだ。



キャンプによく行く友達がいてね、テントの張り方とか、教えて貰っちゃったんだ。

みんなで一緒にご飯を食べて、みんなと一緒にテントの中で雑魚寝して。


すっごく楽しかった。


僕が昔からの友達と一緒に魚を釣ってる時だったかな。

そのとき、『ユーリは"誰か"に告白をした。』


ユーリってさ、ほんと、いい女の子なんだよ。

天真爛漫で、思いやりがあって、悩みの無いような、本当に僕にとってのまさに理想であり、目標でもある女の子だったんだ。


「......好き....です」・・・だってさ。

ベタなセリフで、、少し顔を隠しながら。


ユーリの手は震えていたし、苦しそうに目を閉じていて、なんか、僕とは違う『何か』を感じたんだ。


あのユーリが泣きそうになってる。

ずっと笑顔で、嫌味を言わない誰から見ても才色兼備な彼女が。

それだけで、どれだけユーリが思い詰めていたのか僕を理解させるのに十分なほど、僕と彼女の関係は深いものだった。


正直、僕が感じたユーリのその気持ちと比べてしまうと、僕の気持ちは井の中の蛙のような、ちっぽけな物だって感じてしまう。

それぐらい、ユーリの気持ちは大きなものだって分かる。



分かってあげられるはずなのに、


僕が最初に思ったことは、アテル君と付き合ってるんじゃないのか。ということだった。


「僕は思ったよりもそういうのに耐性がなくてね、ごめんね、最初はびっくりして『普通に、引いちゃったよ。』」




けどね、僕はその後にすぐ、ユーリの顔を見て、やっと、気づいたんだよ。


───『ぼくは君のことが好きだったんだ。』


、、、、ってね。


ほんとだよ。嘘じゃない。


、、まぁ、、こんな状態で言うのもなんだけどね。




僕の顔は今、どうなっているんだろう?

分からない方がいい、正直、分かりたくないんだ。

分かってしまうと、今の現状がしっかりと認識してしまうような気がして。


でも、もしその顔を一言で表すとするなら、「絶望」って言葉が1番それに近いんだろう。


きっと、僕は絶望したんだ。


これは、多分、僕はユーリのことが好きだってことが、分かっちゃったせいなんだ。


僕はいつの間にか、目を真っ赤にさせながら、ユーリの首を絞めていた。


ユーリの首をきゅーっと締めていく。

それでもユーリは何も抵抗をしなかった。


その代わりに、ユーリの綺麗な目は僕の顔を薄れゆく意識の中で見ていた。

桜が舞い散り、ユーリの少し明るめの髪に花びらが一輪。




『あ....て...る、、、。』




僕はただ、彼女のことを抱きしめる。


桜には『純潔』とかいう花言葉があるらしい。


彼女は体が動かなくなったが、綺麗な表情で僕を見たままだった。

ユーリのサラサラの髪を撫で一輪の桜を飛ばし、ユーリの目を閉ざしてあげ、僕は密かに周りを見渡した。

気づかなかったが、8月なのに1本の桜がそびえ立っていた。

桜が舞い、もう一度、一輪の桜の花びらがユーリの頭に落ちた。


「.......僕は最低だ。」


殺人鬼はその時、泣いていた─────────────


久々の投稿ですね。

全4話構成になります!

毎週月曜日21時投稿です。

よろしくお願いします!!


キャラクター設定

空紀(あき) 六音(むつね)

この時の年齢は16歳 高校2年生です。

僕っ子で、完璧に書かれていませんでしたが、女の子です。

今回は六音の内面が出てたので分からないと思いますが、他視点から見るとかなりミステリアスなキャラクターです。

身長は161cm 体重はひみつ★

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