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妖怪手すり

作者: 藤乃花

近頃人の多い駅でスリ事件が多発しており、年々酷い状況に陥っている。駅の評判が悪くなり困り果てた駅係員達は、スリ事件を解決してくれると云われている『妖怪手すり』を呼び出した。『妖怪手すり』は階段や遊歩道などの手摺に宿る妖怪の事。そんな『妖怪手すり』に駅長さんは願いを申し出る。「『妖怪手すり』様、どうか駅に出没するスリを退治して下さいませ」一言願うと、駅長さんは供物くもつとして、お肉を供えた。『妖怪手すり』は肉食妖怪なのでお肉……とくに骨が付いた物を好むらしい。ふざけてはいない。駅長さんは真面目に供物を供えているだけだ。『妖怪手すり』を呼び出してからは、スリ事件は見事に0になった。そしてスリを続けていた輩共が皆、財布をスッていた方の手だけもぎ取られていたと云う。


   

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