スパイ大作戦
「えー。鈴木を仲間にするのはやだよ。あいつ性格最悪だし」
竹井よ、お前がそれを言うか?
「協調性にちょっと問題あるよねえ」
「結構仕切りたがるよね」
「鍋奉行じゃなくてすき焼き奉行。私も六班だったから大変だった」
鈴木は思いのほか女子達からの評価が低い。リーダーシップをとろうとするのは悪いことじゃないと思うけど、確かに空回り気味なところはあったかも。
様々な意見を聞いているうちに、自分があまりクラスメイトのことを良く知らなかったことに気づいた。
だってさあ、ストーカーじゃあるまいし、他人のことをあれこれ詮索するのもどうかと思ってたんだ。他人に興味が無さすぎるのも、ちょっと問題かもしれない。
「それじゃあ吉田さんはどうかな?」
吉田は勇者チームのメンバーみたいだけど、引き抜くのに成功すれば奴らの戦力ダウンにもなる。
「吉田かあ。あいつ嫌い」
まあ、竹井の意見は直感的過ぎて参考にならないね。いや、直感的だからこそいいのか?
「意外に腹黒だから、油断していると足元を掬われるわよねえ」
「そうなの? わりと義理堅いところあるよ」
「掃除当番はサボってなかったよ、あの子」
真面目に掃除するとかいい奴じゃないか。竹井と花村なんて掃除の時間に見たことなかったぞ。
義理堅いんなら簡単に勇者を裏切ったりもぢないか。
「一応聞いておくか。先生も人探しの魔法を使えるらしいんだけど」
「キモくて無理」
「絶対裏切るよね」
「反面教師は必要ない」
「あいつだけはやめて。お願いだから」
うん、こうなるのは知ってた。
「となると、うーん。他に人探しの魔法が使えそうなジョブに心当たりはない?」
「はいっ! 私、私!」
羽山が張り切って挙手している。日本にいる時は普通の女の子に見えたのに、彼女も不思議ちゃんだったか。
「じゃ、羽山さん」
「はーい。実は私、虫の目が使えます。あ、鈴木さんの魔法の目みたいなやつ? あれの虫版?」
ほう、虫使いもいろいろ応用が利くねえ。
「そりゃ凄い。魔法の目玉とかいかにも怪しいから気づくけど、虫だったらその辺にいくらでもいるから、相手に勘づかれずにスパイできるんじゃない?」
「そう、そうなんだけどね。ほら、虫ってすぐ死んじゃうから、あはは」
「ゴキブリは? ゴキブリで試した? あいつら簡単に死なないよ?」
竹井って便利かもしれない。言いづらいことを平気で言ってくれる。
だけど空気を読めないのと、あえて読まないのは違うからなあ。
「いやああ! Gはいやあっ!」
僕もあいつらは嫌だよ。
トンボとかが良さそうだと思えるんだけど、要研究だな。
運転手さんは植物の声を聞けるから、合わせ技でなんとかならないだろうか?
うーむ、それにしても人探しの魔法が高性能過ぎる。なんとか吉田を引き抜けないだろうか?
「吉田の大好物? プリンに決まってるし」
「プリンね」
「そう、プリン」
「私もプリン食べたい」
なるほど、そういうことか。将を射るには馬からと言う。猫にマタタビ、吉田にプリンだ。
その手でいってみよう!




