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僕はおならで無双する  作者: 温泉卵


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約束は破るもの


「チャンスよ、あいつらしばらく戻ってこないから」

 

「チャンスって、あんまり仕事サボったら梅木さんに叱られるわよ」

 

「馬鹿ね、干物なんか作ってる場合じゃないっしょ」

 

 治とセーラが飛び去るのを確認した竹井は、花村を誘い出して塚に向かう。

 

「あんたまさか、あそこは近づいちゃいけないってルールじゃない」

 

「三井寺が勝手に言ってるだけっしょ。あいつの癖に生意気よ」

 

「でも、バレたら島を追い出されるわよ?」

 

「いつまでもこんな島にいたいわけ? お宝を手に入れればこっちのもんよ」

 

「お宝?」

 

「島に来る時に持たされたプレートみたいなのあったっしょ。あれで多分、魔法の目を誤魔化せるやつ」

 

「魔道具か何かでしょうね。でも、あれを盗んだところで、島からどうやって逃げ出すの? 船もないし」

 

「空を飛べる魔道具もある筈。三井寺の奴は本当は無能なおなら男なんだって」

 

「そうかなあ?」

 

 竹井の推測に納得した訳ではないが、なし崩し的に塚までついて来てしまった花村。

 

「ここってお墓じゃないの? 古墳みたいな?」

 

「なんでもいいよ、ピラミッドだってお墓っしょ。お宝があるに決まってるし」

 

「いや、それ呪われるやつだから。ダンジョンとかだったらモンスターが出るかもしれないし」

 

 モンスターと聞いて竹井の足が止まる。

 

「花ちゃんより赤松とか連れて来るんだったかな。あいつら結構レベル上げてんじゃん」

 

「赤松さん達は運転手さんが好きなんでしょ、島に残るんじゃないかなあ」

 

「え? オッサンとできてんの? キモッ」

 

「竹ちゃんはお子ちゃまだから、そういうのはまだわからないんだよ」

 

 花村はほぼやる気をなくして、近くの岩に腰を下ろしてしまう。

 

「モンスターでもスライムとか弱いのいるし。三井寺でも勝てたんだから、多分スライムだし」

 

 竹井はブツブツ言いながら、塚の入り口に置かれている大岩をどけようとする。レベルの低い彼女に数トンはあろうかという岩が動かせるわけもなく……

 

「待って、なんかモアイとか動かせる豆知識があるのよ、動画で見たわ。岩を揺すって歩かせるのよ」

 

「……花村って成績はいいけどたまに馬鹿だよね」

 

「いいから見てなさい」

 

 花村は大岩を押してみて、ビクともしないのを確認すると上によじ登る。

 

「危ないわよ、離れてて」

 

 大岩の上でリズムに合わせてステップを踏むと、やがて重い岩がユラユラ揺れ始めた。

 

「やるじゃん! 踊り子のパワーって奴?」

 

「……物体の固有振動とかじゃないかなあ?」

 

 大岩は少しずつズレていき、入り口との間に50センチほどの隙間ができた。

 

「どうだ! 三井寺め! ざまみろ!」

 

 見ていただけなのに勝ち誇る竹井。

 

「竹ちゃんはどうしてそんなに三井寺君を目の敵にするの?」

 

「どうしてって……あいつキモいじゃん? 絶対あたしらをエッチな目で見てるって」

 

「ないない、セーラちゃん可愛いし。相思相愛のバカップルだよ。私達なんてイモかカボチャにしか見えてないって」

 

「何よそれ! ロリコンじゃない! キモいキモいキモい」

 

 ヒステリックに地団太を踏む竹井を見て、花村は察した。好きな相手に意地悪する小学生と同じだと。当たり前だがこの手の不器用な恋愛感情が成就することはない。小学生なら相手に嫌われるだけだが、大人がやれば犯罪行為になりかねない。

 

『お姫様抱っこされて勘違いしちゃったかなあ?』

 

 だとするとこの掟破りも、問題行動を起こして相手の気を引きたいだけだろう。ならこれくらいで止めておくべきだ。

 

「もうやめようよ。今なら謝れば追放は赦してもらえると思うよ」

 

「だ、誰が! ここまで来たらあとにはひけねえ!」

 

 塚の中は暗かった。

 

「塚というか、かまくらじゃん」

 

「そういうのを塚って言うんじゃない? 骸骨とか転がってないでしょうね?」

 

「怖いこと言言うなよ」

 

 暗さに目が慣れて来たが、やはり内部には何も見当たらない。

 

「ほら何もないでしょ? 帰りましょ」

 

「あたしの勘じゃ、この辺に地下への通路がある筈なんだ」

 

 中央付近で竹井が飛び跳ねると、そこだけ違う音がした。

 

「ほら! 絶対何かある!」

 

 よく見ると地面に木の板がかぶせてある。その上に土を薄く撒いてあった。

 

「小細工しやがって。三井寺の癖に生意気なんだよ」

 

 板をのけると石の蓋が現れた。持ち上げるための金具がついている。

 

「やめよう竹ちゃん! 本当にやめよう!」

 

「ちょっと見るだけだって」

 

 竹井が金具に手をかける。石の蓋がずらされ、地下への階段が見えた……

 

 

 花村は突然胸が苦しくなる。声が出ない。急に真っ暗になって、竹井の姿も見えない。

 

『ああ、約束を破ったから罰が当たったんだ』

 

 薄れる意識の中で最後にそう思った。


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― 新着の感想 ―
[良い点] 期待を裏切らない多数決ちゃん。 本当は三井寺君が気になる?ええー…。彼は大人なのでお子様論理で裏切ればサヨナラされるだけ。その道にまっしぐらでしたね。 催眠ガスかな?まあ予期してたんですね…
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