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僕はおならで無双する  作者: 温泉卵


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地母神の恵み

 バッタと遊んでいたとばかり思っていたけれど、あれでセーラちゃんは農作業をしていたらしい。

 

 エノコログサと丸イモの生育ぶりがちょっとおかしい。

 おまけにソバまで収穫できるようになった。オーリィさんの村で育てていたピンク色の花は、実はこの世界のソバだったという驚愕の事実。確かにソバの実が収穫できた。

 

 ソバの実は殻からむいて、お米のように炊いて食べる。ご飯っぽいけど、本物のご飯の方が美味しい。

 むくのに失敗して潰れた実は、粉にしてソバを打ってみた。この世界では珍しい食べ方みたいだ。

 

 十割ソバは日本だと有難がられるけど、正直つなぎに小麦粉が欲しい。

 ぼろぼろでも麺つゆがあれば美味しく食べられると思うけどね。残念ながら麺つゆの再現は無理だった。

 

 試行錯誤の末、イカの塩辛とあえてシーフードパスタっぽくすればそこそこ美味しいことが判明した。

 新鮮なイカはいくらでも捕れるから、塩辛はいくらでも作れる。極上の奴を。

 

 

 まあ、ソバのことなんかどうでもいい。凄いのはセーラちゃんの農作業だ。

 種を蒔いたら地母神に祈るだけ。いい感じに実ったら収穫すればいい。ソバだと50日かからないくらいだ。

 

 祭壇に使っているストーンサークルから見える範囲全てに祈りの効果があり、雑草や病害虫を抑制し、作物が元気に育つ。

 耕したり水をやったりも一切しないから楽でいい。収穫は大変だけれど、楽しいからまあいいんだよ。

 

 そりゃあ肥料や農薬を使った近代農業に比べれば、収穫は落ちるかもだけど、どうせ食べきれないんだからこれで十分満足です。

 

「すごいよ、セーラちゃんは土属性の魔法使いだったんだね」

 

「地母神への祈りは、チキュウじゃ土属性なんですか?」

 

「地球というか、日本の物語では大抵そんな感じだね。土属性は不遇で、土魔法使いの主人公は最初虐げられるけど、すぐにチートで成り上がって自分を馬鹿にした連中に復讐するんだ」

 

「ああ、ざまあって奴ですね。面白いけど教育上良くないかも」

 

 こっちの人ってわりとそういうの気にするところがあるね。

 

 

 ソバは好きだけど、毎日食べ続けると飽きてくる。その点、米は偉大だよ。小麦のパンもまあアリだけど。

 せっかくのセーラちゃんの力、生かすにはもっといろんな作物が必要だ。

 

 世界中飛び回ればいろいろ見つかるだろうけど、まずはあそこだな。

 弾道コースで因縁の地に向かう。前回は蠱毒の術式を破壊するだけでいっぱいいっぱいだったけど、僕達が召喚された時の観光バスは確かにまだあった。

 

 森の中にぽっかり開いた空き地に、ストーンサークルとバスがある。すでに術式は力を失っているのに、賢王の兵隊が相変わらず警備している。

 賢王もあのリッチの手駒だと思うんだけど、良く分からないまま上手いこと利用されていたんだろうなあ。ラスボスは倒したのに、他の敵はそれに気づいていない状況だ。変なことになってるよ。

 

 少し離れた場所に、気になる耕作地を発見。小規模だけどまるで日本の田舎の畑だ。

 田んぼじゃなく畑に、黄金色の稲穂が垂れている。収穫の終わったトウモロコシ畑。大きなカボチャがゴロゴロしている畑もある。

 

 ここって明らかに日本人が作った畑だよね?

 

 稲の種籾は絶対欲しい。ついでにカボチャも。他にもいろいろある。足元の葉っぱはサツマイモかな? 芋ほりに行ったことあるから知ってるんだ。

 

「コラッ! うちの畑で何してる!」

 

 鍬や鎌を手にした農家の人達が、小屋から走り出て来た。

 

 違う!

 

 いや、違わないか。芋のツルとかちぎって持って帰る気だったし。サツマイモって、ツルを挿し木すればいくらでも増えるんだ。

 

 ホクホクの焼き芋をセーラちゃんに食べさせてあげたかったんだ。


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― 新着の感想 ―
[良い点] 意外なセーラちゃんの才能。おかげで食うに困らず。 げにありがたきは人の縁。 慣れると色々食べたくなっちゃうのが人の欲。 [一言] 食べ物収集から亀ハウス組(笑)と遭遇するとは。
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