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僕はおならで無双する  作者: 温泉卵


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おなら武闘伝

「ほう、聞き捨てなりませんな。私も武人の端くれ、全力でお相手しましょう」

 

 嘘、やだこの人。煽ったのは失敗だったかな? 魔族がどれほど強いか知らないけれど、おならバリアーを破られたらヤバイ。

 レベルだけは無茶苦茶上がっているけれど、所詮ベースはおならマスターだし。多分非戦闘職だし。

 

 謝って許してもらおうか? テヘペロが通じる雰囲気じゃないなあ。セバスチャンの奴、言葉遣いが丁寧なだけに怖いじゃないか。

 よし、それなら僕も!

 

「やれやれ、相手の力量すら見抜けないおバカさんが武人を名乗るとは滑稽ですね。およしなさい、僕とあなたではそもそも勝負になりません」

 

 馬鹿丁寧な口調で強者の余裕を見せつつ煽る。ハッタリを警戒して引き下がってくれると助かるんだけどなあ。

 

「これはこれは見事な増長ぶりですな。どれ、どちらが強者か思い知らせて差し上げましょう」

 

 セバスチャンが上着を投げ捨てる。ドサリとあり得ない音がしたよ? ひょっとしてオモリ入り? 日頃から鍛えてたの?

 

 全身の筋肉が膨張し、ビリビリとシャツを引き裂いていく。なんかオーラまで背負ってるし、本当に人間か!

 こりゃあ間違いなくイベントボスの人だ。ヤバイのを怒らせちゃったな。

 

 今更謝っても遅い。ならば僕の取る道は、さらに煽る!!

 

「破れたり! 勝つつもりがあれば何故衣服を投げ捨てた?」

 

 ビシッと言ってやった。

 

「グヌヌ! 口の減らない小僧っ子が!!」

 

 お、丁寧口調のキャラが怒り始めたら負けフラグだよね。こうなったらさらに煽るよ。

 

「弱い者虐めはしたくないのに、こういうの困るんですよねえ。勝負にすらならないのでハンデをつけてあげましょう」

 

 インベントリからコップを取り出し、水筒の水を注ぐ。

 それを頭の上に乗せ、ニコリと笑ってみせる。

 

「水が一滴でもこぼれたら僕の負けということにしてあげましょう。これなら万に一つくらいは勝ち目があるかもしれませんよ」

 

 コップを落としてわざと負けする作戦だ。相手の顔を立てつつ、僕は痛くない。

 セバスチャンは一瞬毒気を抜かれたような顔になったけれど、次の瞬間、顔を真っ赤にして怒り出した。

 

「舐めやがって!! こんなに馬鹿にされたのは生まれて初めてだ!」

 

「あなた程度が相手なら、もう少しハンデがいりますね。片手でお相手しましょうか、いや、指先一つで十分ですね」

 

 どうせわざと負けするので、いくらでもハンデをつけてあげるよ。

 おならバリアーを指先にピンポイントで凝縮していく。

 

「ウォリヤアアッ!!!」

 

 突然大声で叫んだからビックリするじゃないか。思わずコップを落っことしそうになる。

 いくらなんでもいきなりこぼしちゃったらバレバレだ。バランスをとろうと体を動かすと、素早い拳の連撃が掠った。

 一発目はフェイントだったようで、本命は二撃目か。フェイントにすら反応できなかったね、さすが言うだけのことはある。

 

 僕はコップを落とさないようにするだけで必死だから、フェイントなんて混ぜなくていいんだよ。

 それでも律儀に虚実の拳を混ぜてくるのは、そういう流派なんだろうねえ。

 

 仕方ないから当たると痛そうなのだけ指を振り回して止めていく。ちょっとズルして複数のピンポイントおならバリアーを使わせてもらったけど、怪しい指の動きでそれっぽく誤魔化す。

 

 おならバリアーは空間に固定して使えば押し負けないので便利だな。セバスチャンの猛攻も別に目で追えない程速い訳じゃない。緩急を上手く取り混ぜて錯覚させているだけだよ。面白い。

 

 武道のことは良く分からないけれど、僕だっておならで空を飛ぶうちにバランス感覚とか磨かれているんだ。

 おならコントロールで複数の作業を同時に処理するのも最早日常だし。

 

 あれ? 結構いい勝負になってる? 僕が受けに徹してるのもいいかもね。まったく攻撃を考えなければ結構余裕も生まれる。攻めなくても別に教育的指導とかされないし。

 

 喧嘩は嫌いだけれど、セバスチャンの技は洗練されていて結構面白い。

 僕が守りに徹しているので、痺れを切らして守りを捨てて攻めて来た。あれ? 今まで芸術的だった拳の動きに、途端に粗が目立つようになったね。

 

 隙があるように見えたので、思わずデコピンしてしまう。

 

「ぶわっふ!!!」

 

 大袈裟にすっ飛んでいくセバスチャン。いや、名前知らないけどね。

 

「大丈夫ですか?」

 

 ムキムキに鍛えている人がこの程度で怪我しないよね?

 あ、わざと負けするの忘れてた。しまったあ。

 

 セバスチャン(仮)の横にコップを置いてやる。まだ勝負はついてないとか言って、コップをひっくり返されて、油断した僕の負けって流れだ。良くあるよね。

 

「完敗です。この私が羽虫のようにあしらわれてしまうとは、完全にあなたの実力を見誤りました。確かに私に武人を名乗る資格はないようです」

 

 うわあ、なんか凄い罪悪感。煽るだけ煽っちゃったしなあ。励ましてあげないと、でも敗者にかける言葉なんて知らないよ。

 

「……精進せいよ」

 

 適当に誤魔化す。

 

 セーラちゃんの視線がキラキラしてる。セバスチャン(仮)もキラキラしてる。グラさんの髑髏の眼窩は明るい場所だと真っ暗なんだ。

 


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― 新着の感想 ―
[良い点] いろいろ混ざってるなあ…でもよく貫き通した。やっぱり精神おかしいわこの主人公w [一言] グラさん「なにやってんのコイツ…」
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