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僕はおならで無双する  作者: 温泉卵


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侵入者達

「小さい頃は、考古学者になりたかったのよね」

 

 遺跡探検にくっついて来た竹井が、意外なことを言い出した。まあ、誰だって子供の頃の夢は素敵なのかもしれない。

 

「なわとびを振り回してムチの練習もしたんだからね。一週間くらいで飽きたけど」

 

 なるほど、そういうオチだったか。セーラちゃんは不思議そうにしている。

 

 この世界の秘密を解き明かすため、遺跡を調査しようと思い立ち、まずは手近な空島から探検することにしたんだ。

 空島は遺跡だらけというか、言ってしまえば島そのものが遺跡なんだけれど、秘密が隠されているとしたらダンジョンっぽい場所が怪しい。

 夕食までの数時間でサクッと終わらせたかったので、島の外縁部に点在する砲台に入ってみることにした。直径50mもない小さな塔だし、見て回るだけならすぐ終わると、まあちょっと舐めていた。

 一人で探検するつもりだったのに、何故か竹井とセーラちゃんがくっついて来た。

 

 新技のおならランプで通路を照らす。マントル式ガスランプのようなもので、白い力強い光が闇を切り裂く。

 

「足跡ね、誰かいるよ?」

 

 ふむ。セーラちゃんよく気づいたな。言われてみれば積もったホコリの上に靴の跡のようなものが見える。

 

「大人の男っぽいね。片道分しかないってことは、他に出口があるか中で死んでる?」

 

 死者や行方不明者が出たって報告は受けてないけど、ここは立ち入り禁止地区だからな。怒られたくなくて隠しているのかもしれない。

 

「死体があったらどうしよう? ミイラならまだいいけど、腐乱死体はイヤ」

 

「匂いでわかるよ? 凄く臭いから」

 

 セーラちゃんは経験豊富だなあ。いいとこのお嬢さまなのに。

 

 でも、死体は無さそうだ。先客はまだ生きている。隠れてる気配がする。

 

「羽山を誘えば良かったなあ」

 

 よく考えたら、虫を使って遺跡調査すればいいんだよ。

 

「えー、あの子ホラー苦手だよ。超ビビリだし」

 

「虐めちゃ駄目だぞ」

 

「いじめてないし、超仲いいし」

 

「イジメっこは皆そう言うんだよ」

 

 通路は一本道で罠も仕掛けも無い。普通に考えて、アクション映画みたいなトラップは建設コストがかかり過ぎるだろう。

 

「あ、階段」

 

 通路の突き当りは下に続く階段で……男が一人隠れていた。

 目が合うと奇声をあげながら斬りかかってくる。剣、というか短剣? 手首を掴んで容赦なくひねり上げる。

 

 少しは剣術を齧ったのだろうか? まあ、ほぼ素人の動きだった。こっちは素手だけど、百回戦えば百回勝てる相手だ。

 でも一万回戦えば? 万に一つって言葉もある。だから舐めプは駄目だ。油断しちゃいけないんだ。

 

「あ、こいつ見たことある。ちょっとイケオジだから覚えてる」

 

 うん、僕もなんとなく見覚えはあったかも。

 ちょっと美形だった顔は、心が折れるまでボコボコにしてやったから、なんか試合後のボクサーみたいになっちゃってる。この世界には過剰防衛の概念は存在しないから正当防衛だし。でもちょっと罪悪感。

 

「あーあ、こうなったらイケメン意味ないし」

 

 まるでゴミのように男を見る竹井。そういえば、こいつはこういう奴だったなあ。

 

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― 新着の感想 ―
[良い点] おや?イケオジ?誰でしょう。長く遺跡に居たようですが。教師? [一言] 考古学者。ムチと二丁拳銃なら私もムチ派ですね。
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