プリンの歴史がまた一ページ
案ずるよりも産むが易しってね。
心配していた鈴木達との会談だったが、結局ただのお茶会だった。成り行きに任せていたら、なんとなく終わっていた。
吉田は鈴木のことを怖い悪女だって言ってたけれど、同族嫌悪的なアレだと思う。仲がいいのか悪いのか。
これといって重要な情報交換も無く。ああ、スイーツを定期的に卸すって話だけ決めていたな。
吉田の決めた超ボッタくり価格だけれど、今でも鈴木達は超お高い砂糖とか輸入してるらしくて問題ないらしい。宗教って儲かるよなあ。
プリンの材料とか文字通り世界中飛び回って集めている訳だし、航空便の輸送費とか計上していけば月の石並みのとんでもない額になる筈。案外良心的な吉田価格なのかもしれない。
あれれ、おかしいぞ。もしかして僕が一番扱き使われてる?
まあいいさ、それで美味しいプリンが食べられるのなら。世界中から集めた最高の材料と、吉田の飽くなきスイーツへの拘りが生み出すプリン。もうね、食べると舌が喜んで勝手にダンスするんだ。
人は何のために生きるのか? プリンを食べるためだと迷わず言い切る女子が、1,2,3……既に両手で数えきれない程いるな。
最早これは新しい文化、文明と言っていいんじゃないだろうか? プリン文明だ。
荒唐無稽? ただのコショウだって地球の歴史にどれ程影響を与えたことか。スイーツが歴史を作ってもいいじゃないか。来年か再来年にはカカオ豆が収穫できそうだと聞いてるし、チョコレート革命が起きるだろう。吉田の野望は果てしないぞ。
あと、帰り際に赤松が妙な遺跡を見つけた。不可視の結界を構築するクリスタルが配置されており、古代の祭祀施設か何かのようだ。
そんなものが今でも動作しているというのだから、なんともロマンがある話だ。
赤松がクリスタルを回収していると、鈴木達が何やら言いたそうな顔をしていた。異世界ではこの手の遺物は発見者の総取りと決まっている。土地の所有者なら権利を主張できたかもしれないが、今回はわざわざどこの所属でも無い無人島を会談場所に選んだんだからな。
楽しそうなオモチャを手に入れてご満悦な赤松。羨ましいなあ。
いろいろ忙しくて後回しにしていたけれど、僕もそろそろ本気で遺跡探しでもするかなあ。
この世界には世界征服が出来る程の超兵器が眠る遺跡がゴマンとある。劇場版とかでマッドサイエンティストとかが良く復活させる、ああいった類のシロモノだ。
手近なところでは空島にもあるし、グラさん島の近くにもあった。グラさんは壊すのがいいと言ってるけど、ちょっと勿体無い。
大事なのは馬鹿な奴らの手に渡らなくすること。その前に僕が手に入れてしまえば安全だと思う。だって僕のおならの方が超兵器より強力だから。
今でも世界を滅ぼせるスイッチが僕の手の中にはあるんだよ。それを使う気がまったく無い僕は、かなりの人格者だと思うんだ。
大丈夫、ちょっと遊んだ後は責任を持ってちゃんと宇宙にでも捨てるから。




