表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
122/250

庭には鶏

「ミーさん、肉ありがとね。美味しくてびっくりしてね、本気で食用の牛を育てるって、村中で盛り上がったよ」

 

「それはどうも。あの、お腹の調子とか大丈夫でしたか? その、おならとか」

 

「何? 屁? そんなの誰も気にしちゃいないよ。お貴族様のお嬢様じゃあるまいし」

 

 思わずカッシャの方を見てしまう。本物のお貴族様のお嬢様だ。

 

「我々は騎士になると誓った時から女など捨てている。美味い肉のためなら、お、おならなど屁でもないわ!」

 

 いろいろツッコミどころの多いクッコロさんだよ。女を捨てたとか言いながら、おならと言うだけで真っ赤になっている。

 

「あたしまで一緒にしないでよお姉。女は捨てないわ! 肉も食べるけど!」

 

「わ、私もだ!」

 

「裏切ったなお前達!」

 

 クッコロトリオはいつも面白いな。毎日こんな漫才を素でやっているんだから、録画できないのが残念だよ。なんかそういう魔法もあるみたいだけどね。

 

「騎士様だかなんだか知らないけど、あたしに言わせりゃあんた達なんかまだまだ小娘だよ。そこんとこ勘違いしないように!」

 

「ハッハイィ! 今後ともご指導ご鞭撻のほどよろしくお願いいたします!」

 

 仮にも元騎士が、老婆一人を本気で恐れている。何故だ?

 当然、力ではない。力以外で人を従わせる手段があるのなら、勇者が相手でもなんとかできるかもしれないぞ。

 

「あ、ミーさん。頼まれてた鶏が手に入ったんだけどさ」

 

 庭の隅に籠が伏せられている。中には小さな鶏が二羽。雄雌のペアだ。

 

「チャボですか?」

 

「名前は知らないけど、小さい鶏さね。肉は少ないけど、大人しくて飼い易い」

 

 どうせ肉にはしないだろうし、問題ない。なんだかんだ言って、皆現代っ子だからね。動物の解体はハードルが高い。魚なら得意なんだけれど。

 まあ、僕は、生きるためならやるよ。でも、アイナ村がある限りその必要はないんだ。

 

 今日は一人で来たので、鶏もインベントリに入れてしまう。死んじゃったらアイナ村で肉にしてもらおう。まだ今はペットじゃない、ただの鶏だ。

 

 

 

「何こいつらちっさ! チャボ? だったら雄はチャー坊ね。雌はコッコ」

 

 一瞬で竹井に名前を付けられてしまった。これでこいつらはペットだ。もう食べられないよ。

 

「うわあ、可愛い。今日の糸虫持ってきますね」

 

 これからは森の小鳥達の食べ物が減りそうだな。

 

「菜っ葉の端っこ、はないから、何か菜っ葉を使う献立を考えなきゃ」

 

 久保は本末転倒なことを言っている。

 

 

 とにかくこうして、二羽の鶏は島に受け入れられた。イタチみたいな肉食動物もいるから、完全に放し飼いはできないけれど、結界の中なら大丈夫だ。

 放っておいてもあまり遠くにいかないので、そんなに手もかからない。

 

 そのうち卵を産んだら、食べずにひよこにして増やしてみようと思う。ああそうか、卵を食べてしまえば増え過ぎる心配もないんだな。

 

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[良い点] おならなど屁でもないだって。テンパっちゃうクッコロさん可愛い。 竹井の安直ネーミングは覚えやすいですねw [一言] 島の暮らしがまたひとつ充実。チャボなら飼いやすいのかな。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ