4.悪運の強いだけの余生
たまたま生き残ってしまっただけの人生を、成功したのだと誰かに言われて、いたたまれない気持ちになっては、逃げ出したくなる。
逃げ出したくなるから、すぐに逃げようとするけれど、十分な勇気が出なくて立ちすくんでしまう。
ただ逃げ遅れているだけなのに、私のことを指差して、あいつは踏みとどまっているじゃないかと、欲しくもない注目を得る。
違うのだと言うけれど信じてもらえず、褒め言葉混じりのやっかみをぶつけられ、やり玉に挙げられて、弾除けに使われる。
明日には裁判にかけられて、公共の福祉の敵として炎上するだろう。
傍目には上手くいっているように見える、死に損なった余生のせいで。
たまたま死に損なってしまっただけの運命を、呪うことを許されずにいて、いたたまれない気持ちになっては、終わらせたくなる。
終わらせたいからって、終わらせようもなくて、冬の海の波を見て呆けるしかない。
みな同じように弱いのに、私のことを指差して、あいつは踏みとどまっているじゃないかと、的を得ない誤解をされる。
違うのだと言うけれど相手にもされず、強いから放っておけと聞こえるように言われ、何となく避けられて、遠巻きに見られる。
明日には棒で追い立てられて、社会の裏切者として追放されるだろう。
終わらせる勇気のなかっただけの、悪運の強い運命のせいで。
別にね、誰かに褒めてもらいたいわけじゃないんです。
逆にね、自分が納得するようにしてるだけなんです。
誰かにね、どうこう言われるくらいなら、一人で道のないとこふらふらしますよ。
どうせね、悪運の強いだけの余生ですから。
そんなに欲しがっているつもりなんてないですから。
みんなね、コウモリ野郎と呼んでくださいますが、そんなのね、どうだっていいんです。
誰かをね、裏切って傷つけるのも、その逆ももうたくさんなんです。
せめてね、少しの平穏な余生だけでも。
そんなに欲しがっているつもりなんてないですから。




