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改造

シュルシュルという音と共に右腕から包帯が解かれていく。


自由になった右腕を見て、手を開いたり閉じたりして口角を上げる。


「一週間で治るものだな」


一ヶ月は包帯生活かと思っていたが、どうにも私の予想以上に『ミストルテイン』の治癒力は高いな。まあ、それもあるがエルミィの回復魔法が主だったと思うけど。


「植物系の種族は治癒力や生命力が高いと聞いていたけど、ここまで高い何て……」

「私もびっくりしている」

「うーん……少し確認させて貰っていい?」

「どうぞ」


私が手を差し出すとエルミィが手を掴む。


それと同時に温かいものが流れてくるのを感じ取る。


「これが、魔力の流れか……」


一週間、定期的に検査してもらっていたが今まで感じなかったが……まさか、身体の方が慣れたのか?適応力がカンストしてる。


「えっ!?魔力の流れが分かったの!?これ、『エルフ』でも殆どの人が分からないのに!?」

「……身体の方が魔力に慣れたのか?でも、どうでも良いか」

「……レスティアちゃんの種族は本当に何なの?」

「さあな。私は何も覚えてないからわからない」


そういう設定にしている。


いくらマイナーな種族だとはいえ、私は古代に絶滅した筈の種族だ。おいそれと口に出すことはできない。と、いうわけでエルミィやメリスには私の正体を教えてない。教える必要もないしな。


「でも、レスティアちゃんは魔法の適性があるのかも。魔法種族に生まれなかったのが惜しいくらい」


検査が終わり、手渡された服に着替えているとエルミィの呟きに動きを止める。


「魔法種族ね……」


身体能力や生命力は平均的だが魔力や魔力量に長けた種族だ。今は『エルフ』系や獣人の一部しかいないが、昔は幾つもの種族がいた。


『ミストルテイン』を選ばなければ、選んでいたのは魔法種族の絶滅した種族だった可能性が高かったしな。


「そういえば、植物系の種族は身体の一部を杖にできるらしいし、そっちの方面が強いのかもしれない」


それが、『ミストルテイン』が絶滅した要因だからな。


「あー……確かにそれもありそう。レスティアちゃんの魔力は一流には届かないけど、二流くらいだし」

「二流でも使い方だけどな」


手を動かして服に着替えてみたが……これは、色々と変だ。

渡されたのは植物の刺繍がされた赤いワンピースと赤い帽子。似合わない訳ではないが、やはり女らしい服を着るというのは少し抵抗がある。


だが、一応ながら女体に転生した以上諦めるか。


だが、それはそれとしてワンピースが酷い。ヒラヒラばかりで動きにくい。もう少し動きやすくしておかないと。


「うんうん、とても似合ってるよ」

「……不快。ヒラヒラして動きにくい」

「え〜、でも可愛いからいいじゃん」

「それとこれとは、話が別だ。少しタンスをいじらせて貰うぞ」

「えっ!?」



そういって部屋の中に置かれたタンスを開けて服を物色し始める。


この隠れ里は他の村との交流がない。そのため、ありとあらゆる物が手製である。エルミィは趣味で様々な服を作っているらしく、服の在庫は山程あった。


とりあえず、これとこれにするか。 


積まれた服の中にあった白いシンプルなワンピースと白い頭巾を手に取る。


ふむ……頭巾はともかく、このワンピースくらいなら少し手直しすれば作り変えれそうだ。


「糸と針はある?」

「あるけど……まさか、そのワンピースを作り変えるの?」

「ああ。これくらいなら十数分程度でできる」

「分かった。ちょっと持ってくるね」


エルミィが立ち上がって部屋から出ると、ワンピースを脱いでベッドの上に置く。


それにしても、この体内に巡る温かい液体のイメージが魔力か。いい事に気がつけたし、少し試して見るか。


手を扉の方に向け、魔力と周囲の空気に同調、支配して周囲の空気を指先に収束し圧縮する。


【魔装】ほど強力ではないが、エネルギーの収束と圧縮は可能か。環境に応じて使えるものは限られるが、これはこれでグッドな武器だ。


空気の圧縮を解除し、空気の支配も解除するとエルミィが部屋のドアを開けて入ってくる。手には裁縫道具が入ったバッグを持っている。


「これでいいの?私は手伝わないよ?」

「構わない」


糸に張りを通し、服のサイズと身体のサイズを目測して針を通していく。それと同時に服に魔力が通っていくのが分かる。


魔力を糸に染めてみたが、この反応は予想外だ。そうだ、少しくらい遊び心を加えても良いかもしれないな。


手早くワンピースのサイズを整えると糸の色を代わる代わる変えて服に糸を縫い付けていく。


イメージは蔓や茨、葉、花といった植物。ワンピース全体に行き渡らせるようにする。長いイメージのある蔓と茨を再現するために全体に行き渡るようにして、葉と花は散らせながら……うーん、まだ足りない。もう少し手を加えてみるか。


「えっと……かなりの時間が経っているよ?」

「それがどうした」


まだ10分も経っていない。塗っている刺繍もまだ半分も完成してない。良いものを作るのに妥協してはならない。


「もう一時間もぶっ続けで縫ってたよ?」

「えっ……?」


そんなに長い時間縫ってたのか。


手を止めてみると今まで感じなかった疲れを感じ、エルミィの言っている事が正しいことを理解する。


「て……ワンピース、凄い事になってるよ」

「どうかした……あれ?」


見間違いかな。今まで縫ってきた刺繍が消えてる。おかしいな……。


まさか、縫っていたと思わされていたのか?と思ってエルミィに視線を送るけど、エルミィも首を横に振ってるし違うのか。


「まさか、これが見えないの?」

「何のことを言っている」


まあ、服のサイズは私の体に合ったものになっているし、別に良いか。 


ワンピースに着替え、白い頭巾を被る。それと同時に形容し難い感覚が肌に染み渡ってくる。


「……気のせいか」

「どうかしたの?」

「いや、なんでもない」


さて、と。家を出て隠れ里の方を見て回るとするか。体調が安定したらすぐにでも出るが、少しくらい見て回るくらい良いだろう。


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