真っ赤に繋がる物語
さあ、物語の幕を開けよう。
※
「ちょっと、」
あれ、おかしいですね…
なぜか恭子さんの、声が聞こえます、よ…?
「李焔!」
「あ、痛!」
思い切り蹴られました。
真面目に痛いです。
「いつまで私の身体を、抱きしめてるつもりなのよ!」
恭子さんが、いました。
僕には、驚きと嬉しさがこみ上げてきました。
彼女はなぜか真っ赤になって、「ふん、」とそっぽを向きました。
そして、
「言ったでしょう…さっき、」
「え…」
「二度も言わせる気!?」
「え、あ、う…すいません…?」
さすがの僕でも気が動転ですよ。
恭子さんはため息をつくと、僕に向き直りました。
「だから話してよ…李焔の、李焔だけのお話を。
それに私は―――――今更帰るとこなんてないしね。どうせ李焔だって暇でしょ?あんたのお話を聞き終わる頃には、もしかしたら世界がどうかなってるかもよ?」
「じゃあ僕のあとは、恭子さんのお話を聞かせてくださいね」
彼女は笑っていました。
そして僕はそんな貴女に――――惹かれっぱなしなのです。
もし語り終えたとき、世界がどうかなっていなくとも。
また違う話をすればいいのです。
「そうですね――――、一体何から、お話しましょうか……」
物語は、まだ終わらない。
せめてこれから語る物語を――――僕が、語り終えるまで。
貴方だって、そう思うでしょう?
そして舞台は、真っ赤に繋がる物語へと。