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black out  作者: 舞織
11/13

李焔編第参話







何もかも総て、ぶっ壊れてしまえばいいのに







その日の夜、僕は物思いに耽っていました。

遠い記憶の遥か奥底にある、昔のことを思い出していたのでございます。








「李焔、俺はいつか絶対景軍に入る。だから、お前も――――。」







遠い昔の、僕の友人。

彼は今、どうしているのでしょうか。







「李焔だって、いつかこの町を出たいでしょう――――?」







遠い昔の、僕の恋人。

しかし彼女は友人と違って、僕自身が彼女の死を確認しました。


彼女の死は、避けられるものでした。

僕の身代わりに、彼女は命を落としてしまったのです。


運がよければあいつはまだ―――りぇん、は。

人としての寿命を、全うしていればいいのですが…。




そして僕と蓮は軍隊に入り、それぞれ別の道を生きました。

いつか会おうと誓いあいましたが、僕は心の片隅でもう会うことはないだろうなと思いました。


戦争です。


人と人とが、殺しあうのです。


僕だって、今まで人を何人殺めたかわかりません。

数えることなど、致しませんでした。


きっと彼も、同じことをしていたのでしょう。


頭がおかしく、なりそうでした。











そして気付いたら、僕は―――――!










捕虜として捕まり、その後のことは思い出したくもありません。

だって、あまりにも。


あまりにも、辛すぎました。


きっとあの時の僕も、周りの仲間も、心が壊れてしまったことでしょう。


ずたずたに


ぎたぎたに



引き裂かれてしまったことでしょう。










そして僕は、目を開ける。

周りは真っ暗でした。

聞こえるのは、秋の虫たちの鳴き声だけ。


他は――――何も、ない。



無。



しかし、恭子さんが息も絶え絶えにやって来ました。


「御機嫌よう―――――恭子さん」


「御機嫌よう…李焔」


彼女は笑っていました。

しかし僕には、彼女の心が泣いているようにしか見えませんでした。


彼女の命の灯は――――消えかけて、いました。






                      


                      やはり人の命とは、儚いモノだったのです。











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