#0001 絶望
俺の名前は小柳 陶治。インキャぼっちの高校3年で、大学進学も決まっていた。
そして今、俺はビルの屋上に立って、足を空に投げ出し死のうとしていた。
何故か。それは
幼馴染に告白したら「あんたなんかと付き合うなんて無理」と言われ、
家に帰ったら
陶治、お前灯火(俺の妹)のことをいやらしい目で見た上に、襲い掛かろうとしたんだってな。
お前がそんなことするなんてな。失望したよ。だから灯火の安全のためにも俺たちは引っ越すことにしたよ。
そして、お前とは絶縁する。大学の費用も、生活費も出さないからな。
ま、灯火にこんな事をしなければ良かったのにな。精々、警察の世話になることだけはするんじゃねぇぞ。
それじゃあな。最後に、お前に対する教育を俺たちはどこで間違えたのかな。
お前の元父より
という手紙が残されていた。
え、ちょっと待てよ。服は。バイトの収入用の通帳は。全部何もかもなくなっているじゃねぇか。
と考え、そして、「じゃあ、俺もう生きる意味ないじゃん」という考えになり、「じゃあもう死のう」となって屋上に来たわけだ。
よくよく考えてみたら、俺の人生ってなんだったんだろうな。
幼稚園では友達が1人もできず園の方から親に連絡が行き叱られて
小学校では近所に同い年の女子が引っ越してきて遊んだりしたものの、四年生ぐらいから疎遠になって以来またぼっちの状態で卒業式を迎え
中学校ではどんどん影も薄くなっていって、卒業文集には集合写真以外は写っていなくて
高校では青春の「せ」の字もなくて帰宅部で
卒業したら親と絶縁されて
ほんと、俺の人生ってなんだったんだろうな。
よし、そろそろ死のう。
そして、足を空に投げ出そうとした時、
「ちょっと、何やってるの?」
と声がしたかと思うと思いっきり体を引っ張られた。
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