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不適切文学

作者: Akira

「みんな違ってみんないい

これは差別を助長する旨が含まれておりますので、作者の死刑を要求します」

私は差別や犯罪を助長する文学を取り締まる仕事をしている

多感な時期の子供にこれから文学を見せると、みなこぞって悪の道へ走るからだ

一時期は成人雑誌のように、子供に見せないような工夫をしていたが、今はネット社会

どんなに隠そうと、子供たちは簡単に閲覧することができてしまう

だから私は今日も作者を裁き、これ以上不適切な文学が増えないよう努めているのだ

「羅生門ですが、これは当然不適切です

悪人には何をしてもいいと間違った偏見を子供たちに植え付けてしまう

こんなものを教科書に載せた責任も問いたいところだ」

不適切な文学は一向に減ることはない

当然といえば当然だ

殺人を否定すればほとんどのミステリー文学は死滅することがその最たる例だ

触法行為は甘い蜜なのだ

文学とは切っても切れない関係にある

「さて、今日はこの文学についてですが」

「待ってください裁判長」

若い書記係が声を上げた

「なんだ、何か問題でもあったのか」

裁判長が怪訝な声を上げる

「その、大変申し上げにくいのですが、

差別や犯罪を助長する文学について審議しすぎた私たちは、そのような憎き考えに精神をむしばまれている可能性があるのではと思いまして」

法廷は静まり返った

以降、この国ではカウンセリングを受けることを条件に、かつて不適切とされた文学も読むことを許されることになった

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