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剣の精の物語  作者: 如月衣都花
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セレスティアー2

主人公の名前が未だ出てきません。

そして、彼の視点です。

お見苦しい点も多いと思いますが、よろしくお願いします。

 都に着いた早々に立ち寄った小道具屋にそれは無造作に立てかけてあった。



 「親父さん、これはいくらだい?」

 しばらく眺め、試しに手に取って素振りを数回した後に価格を尋ねた。

 「手に馴染むいい感じでございましょ?名工の鍛えた剣だけどね~。残念なことに状態が悪い。鍛えなおしたり色々手を加えないと使えないからさほど高くないよ」

 しっかりしたつくりとはいえガラクタ一歩手前だ と店の主人は言う。

 彼の提示した額は、言葉通り武器屋で手に入る銘入りの他の剣と比べて確かに破格であった。

 「買おう」

 「ええ~?言っちゃ悪いけどおまえさん仕官するのにこの街にきたんだろう?だったらこの剣は勧めたくないねえ~」

 購入しようとすると目を丸くして驚き、本気で止めるこの主人は誠実な人柄なのだろう。

 きちんとしたものを武器屋で購入したほうがいいのは自分でもわかる。

 昨日田舎から出てきたのだ、物価の高い都で初めて生活するのに余分な金は使いたくない。

 しかし、手に馴染む柄の感触・重さ・振りの感覚を思うとあきらめがたいものがある。

 宿はしばらく野宿して…いや、当分の間ギルドに登録して日銭を稼いで不足分を補うもありだろうか……。

 柄を握りしめながらしばらく思案に耽っていると

 「余程気に入ったんだねぇ~まあ、どういった経緯で入って来たかも忘れてるくらいずっと売れ残っていて邪魔なものだったし、おまけ程度の値段でいいよ」

 根負けしたような、半ば呆れたような顔で主人は言った。

 お礼代わりと言ってはささやかすぎるが、こちらも主人のご厚意に少しでも貢献できるように殆どの品をこの店で揃え後にした。



 初めは剣の道を目指すとか王を護るとか、そんな高尚な志なんてなかった。

 ただ、先の戦禍で親兄弟と死に別れて着のみ着のままで放浪した先で食料も尽き死を待つだけで途方に暮れていた所、偶然通りかかった剣を教えていたという老人に拾われ、資質を認められて鍛えられそのまま村の自警団に入団してと言う流れで、めでたく団長及び村長の推薦状をもって昨日この街についたところだった。

 推薦状を持ったところでどこまで上り詰めることが出来るか平民ではたかが知れている。

 とりあえず、食べるに困らないくらいは稼いでその先はその時に考えればいいか。

 未だに少年と間違われることが多いに関わらず、現実的な思考を持っているのは戦禍に見舞われ今日明日とも知れない経験をしたからこそのものだった。

 それから数か月、推薦状と実力で程なく、騎士団に入団の運びとなる。


 入団してからは、わき目もふらずがむしゃらに鍛錬や勉強に明け暮れた。

 ただでさえ平民なのだ、皆と同じではくいっぱぐれる。

 その甲斐あってか『とんとん拍子に』とはいかないまでも位は上っていき、気が付けば次は少尉だろうと言われるようになっていた。

 ボロボロに錆びついた剣は上等兵になった頃には既に磨かれ修繕されて、現在の愛剣として片時も離さず過去数度の遠征の供になっていた。

 しっくりと手に馴染んだ柄はもとより磨きあげて修繕に出して戻ってきた刀身を見てさすが銘刀、名のある職人が打った剣だと鞘から抜いた瞬間、感嘆の声があがる。

 刀身は曇りの一遍も無く刃の部分は青味すらかかってあたかも刃から水が滴り落ちそうなそんな清らかな風情を醸し出していた。

 「なんて…なんて綺麗な刀身なのだろう……!」

 その日は何時間でも飽きずに見入っていた。

 戦場であればそれは自分の身を守る物であり、故郷をはなれた寂寥を慰める物でもあった。

 既に血縁はなく、故郷も遠く拾ったときに既に高齢だった養い親は半年前病で亡くなり帰る家もない。

 年間を通して官舎で暮らす身だ。

 暇があると、愛剣の手入れをするか鍛錬に費やした。

 時折団員たちと飲みに行くには行ったが最低限の付き合いだけでそれ以上の事は好まず、飲み直しに梯子することなく部屋に戻ることもしばしばであった。

 色恋沙汰に至っては花街でそれなりに経験はあったものの、付き合うまで想う女性は現れないでいる。

 自分はどこか人として足りないではないかと思わなくもないが。


 彼女ーーー『セレスティア』と出遇ったのはそんな日々の中、西の魔物討伐に遠征に行った帰りの事だった。

 

 

 

 

 


 



 

 

 

 

 

 

 

短くてすみません。

投稿している皆さんのようには行きません。

やってみるとものすごく大変なことが実感できます。

ゆるゆるな内容なのに…。

次は剣の視点で始まります。

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