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天下夢争  作者: ヌマッチ
2/4

第二話 「重なり会う歪み」

「なんだって、赤謝が車に跳ねられたって本当かよ!」

学校に来て早々、先生にとんでもないことを聞かされた。

「ああ、だがたいしたケガもなく明後日には学校に来れるそうだ。お前達は赤謝と仲が良かったからまず最初に知らせてやりたかったんだ。」

キーンコーンカーンコーン

「おっともうこんな時間か、お前達席につきなさい。」

呆然と席に座っていると後ろから肩を叩かれる。

「ねえねえ軽、崗ちゃんって二重の意味で可哀想だよね。」

こいつは北条(ほうじょう) (あい)昔からの幼なじみだ。

「二重の意味?」

「そうそうだってさ

「赤謝は昨日車に………」

俺達の会話をよそに先生が赤謝の事故について話している。

 車に跳ねられたってのにたったの2日しか休めないんだよ。」

「だよな、たしかに可哀想だけど明後日には来るんだから正確には今日1日しか休めないだぞ。」

「いちいち細かいわね。」

『えーーー』

今ごろ教室が騒がしくなる。

「ヤバイぞ、赤謝のやつ今度こそ本当に死んじまうんじゃね。」

「ああ、赤謝さん、私はあなたのことをずっと忘れないわ。」

「あなた達何言ってるの、赤謝さんは明後日来るって先生が言ってたじゃない。」

「良いツッコミですな委員長、でも内心おかいけいのストッパーがいなくなって焦ってるんじゃないっすか?」

そうそう、俺、タ(たぜき) (けい)と北条と赤謝のことをみんなは[おかいけい]と呼ぶ。

「そ、そんな事あるわけないでしょ、な、何言ってるの。」

「つーかなんで俺達が悪者扱いされなきゃいけないんだよ。」

俺達がいったい何をした、何も悪い事なんてして……

「えー軽、自分のやってる事分かってないのー」

「そうよ、だいたいあなたが……って北条さん、あなたがタ籍君をそそのかしてたのね!」

「違うって私は軽が楽しそうな事しようとするからそれについていっただけよ。」

「なんでそこで止めないのよ、だから赤謝さんが倒れたりするのよ。」

「いや、それ関係ないし。」

キーンコーンカーンコーン

「こらー授業を始めるぞ。」

「やべっ授業の用意してねえ。」

「あっ私も。」

「あなた達ホント赤謝さんがいなきゃダメなのね。」




キーンコーンカーンコーン

「んーやっと終わった、帰れるぞー。」

たいしたもんだ、あれだけさされたってのにピンピンしてやがる、ロクに昼寝出来てないのは同じだってのに。

「ほらほら帰るよ軽。」

「ヘイヘイ。」


学校の帰りで赤謝が一緒にいないのはこれが初めてではない。

あいつはしょっちゅう身体を壊したり無理をするから欠席する事が多く俺達にとってはよくある事だ。

「最近は事故が多いよね。」

「ん、ああ、そうだな。」

「いつ頃から増えだしたんだっけ?」

「そりゃアレだろ、特権生法が始まってからだろ。」

「ああそれそれ、フルでなんて言うんだっけ?」

「ええと、特別…権利……、やべっテストに出すって先生言ってたよな!」

「えっとそうだ!特別免許権利生徒法だ!」

「ああ思い出した、んで特権生法がなんだって?」

特別免許権利生徒法、通称[特権生法]それになると歳が足りなくても免許が取れる、つまり、18歳じゃなくても車の免許が取れたり、二十歳じゃなくても煙草が吸えたり出来るという滅茶苦茶でうらやましい法律だ。

しかし、それになるには東大級の学力が必要だとか、最近はこの話題で持ちきりでこの法律が始まってから特権生やそれと関係のある人達の事故が増えている。

「だって崗ちゃんは資格取ろうとしたけど落ちちゃったし他に特権生と関わる人はいないんだよ。」

「次の機会に資格を取るんじゃないかと思った野郎がいるんじゃないか?」

「それでもひどいよ。」

そう言ってると赤謝が事故にあった場所についた。

「花束でも置いてくか。」

「勝手に死んだことにしないの!もぉ。」

ん、なんだこの感覚は

「なんか変な感覚しないか?」

「ううん、しないけどどうかしたの?もうそろそろで信号赤になるけど。」

「いや、なんでもない。それより早くしないと赤にな……」

突然のことでわけが分からない、突然身体がいうことをきかなくなったのだ。

助けを求めようと北条に話そうとしてもしゃべれない、動けない。

「け、軽…た…助け……て」

俺達はそのまま車が行き交う交差点へゆっくりと一歩また一歩と近づいていく。

もう駄目だと思い目を閉じる

(そうか、これが死ぬ直前に時が止まるってやつか)

だがなかなか終わらない時の停止に苛立ちを感じ目を開ける。

「あ、ああ…あ……あ」

目の前にいるのはピエロの様な格好をしたゾンビだった。

それは両手から糸の様なもので俺達を引き寄せてくる、抵抗はしたもののそれは無意味だった。

「ヒャハハハ、とっとと喰われちまいな、ヒャハハハ」

そのゾンビのとんでもない大きさの口が開く、

(もう駄目か)

「解限」

そう思った次の瞬間にゾンビの糸が切れ、抵抗してた勢いでしりもちをつく、

そして目の前に(同い年ぐらいであろう)青年がゾンビと向き会っていた。

「お遊びがすぎたか。」

そいつは俺達を向き少し驚いた。

「驚いたな、想像以上だ。」

「テメェ俺の餌に何しやがる!聞こえてるのかオラァ!」

「うるせえ、黙れ、消えろ。」

するとそのゾンビが真っ二つになり悲鳴を叫ぶ間もなく霧の様に消えて無くなった。

「な、ななな…な」

「ああ…あ……あ」

「おっともうこんな時間か、じゃあな、また明日。」


気がつくと俺達は信号の前で腰をぬかしていた。

俺達はさっきの出来事を忘れるようにどうだっていい話を話し合った。するとさっきの事が嘘の様に忘れられた。




俺達の思ったとうり赤謝は散々みんなにいじられていた。

「みんなひどいよー、どうしてちょっと休んだだけで死人扱いされるのー」

あ、あと委員長も

「委員ちょさーん、おかいけいのストッパーが戻ってきて良かったスねー」

「まあね、でも赤謝さんがいようがいまいが彼らが悪事を出来ることは私がいる限りないわ。」

「あれー委員長、それは赤謝さんに失礼なんじゃないですか。」

「あわわ、私なんてひどい事を」

「こらお前達、席につきなさい。」

教室が静かになるのを待ち先生がしゃべり始める

「突然だが珍しくこの高校に転校生が来た。」

『えーーーーーー』

突然の重大発表に教室が一気に騒がしくなる。

静かになったところで先生が転校生を呼ぶ。

「入りなさい。」

「はい。」

ガラガラガラ

「どうも初めまして、田沼(たぬま) 風神(かざかみ)です、以後よろしくお願いします。」

『あーーーーー』

あ、あの人は……

あいつは昨日の……

なんすか、コレ……

ようやく、ようやく主人公を出せた、まさかこんなに時間がかかるとは思いもしてなかったぞ。

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